The door for the blue sky 

The door for the blue sky 

A PLACE IN THE SUN (8月)



今でも雨の中、ハンドルを握るときフロントガラスを流れる雨の雫が彼女の涙に思えて僕は自分が許せなくなる時がある。

だから僕は・・・。


8月


初めて二人で海へ行った日・・・。

夏の嵐が過ぎた朝、僕はひとり駅のホームで彼女を待っていた。

息を切らしてホームを駆けてくる彼女と、朝の日差しが眩しかったことを今も覚えてる。

海へつくと、海岸線の防波堤にふたりで腰掛けて暫らく海を眺めてた。

彼女の髪に、降りかかる銀の波のしぶきがとても綺麗で、彼女のことを僕は言葉なく見つめていた。

ホテルのベランダから見える海は荒れてたけど、水平線と黒く沈んだ雲の間から射す光が印象的で、僕らは暫らく涙を流してた。

これからの先のわからない不安や愛しさ、そんなものを感じながら僕は彼女を強く抱きしめながら・・・。

波の音を聞く度、僕は想い出すのだろうか

まるで、真夏の夜の夢のようなあの日の出来事を・・・










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