Dragon's nest

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第二話「仲間」


「ああ…お前を忘れていた…ステア、コイツはコケット。小人族だ。」
緑の髪をおかっぱに切りそろえ、両方の髪をリボンで結び、瞳の色も緑の少女…コケットがアシュタルの後ろに隠れるようにして顔をのぞかせた。
「コケット。ヨロシクな?」
アシュタルが言った名前を復唱しながら、ステアはコケットに手を差し出す。
「あ…はい。貴女の事は前々から予知夢で見ていました。」
「ヨチム…?」
「これから起こるであろうことを事夢の中で見る事を予知夢…と言います。」
「ふーん…ヨロシクなー。コケット。」
「はい!」
そう言って、ステアは自分より少し小さい、差し出されたコケットの手を握った。
「話はそこまでにして…そろそろ行くぞ…コケット、出る準備をしろ。」
「あ、ハイ!」
話にけりがついた所を見計らって、アシュタルはまとめていた荷物を肩に背負った。
コケットも樹の近くに置いていた荷物を背負う。
「…ステアも行くよ!一緒に行く!!」
二人の背中を見ていたステアは、決心したように二人に声をかけた。
「な…?」
「だって、ステア戻ってモ家、ナイ。オカーサンもオトーサンもいない。仲間モ、皆居ナイ。ダカラ。」
困ったように少し顔をしかめたアシュタルは、コケットを見下ろす。
「いいんじゃないですか?どうせ、置いていっても後からついて来るのを、夢で見てますから。」
「やれやれ…いいだろう。」
アシュタルから許可が下りると、ステアは嬉しそうに飛び上がった。
「ヤッタ!良かったナ!アルプ!」
「きゅいー!」

暫く森の中を歩いていたステアは、自分の弟の背に乗せたコケットに話し掛けた。
「なー。コケット?」
「はい?」
「何故、アシュタルに付イテ行コウと思っタ?」
暫くの沈黙の後、コケットは呟くように口を開いた。
「…拾われたんです。街で捨てられていた所をアシュタルさんに拾われたんです。」
「捨テラレタ…ステアと同ジ。」
「え?」
「ステアも本当のオトーサン、オカーサンに捨テラレタ。ソシテ、今のオトーサンとオカーサンに拾ワレタ。オトーサンとオカーサン、龍だったケド、ステアにトテモトテモ優しかッタ…」
「両親が居るっていい事ですよ?私なんて…覚えてませんから…」
俯いて言う、コケットの碧の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「デモ…オトーサンとオカーサンが目の前デ殺さレルノ、見テルより、マシ…ステア、ちょっト、アディと出かケテ、帰ってキタ時ニハ、オトーサンとオカーサン殺されテル時ダッタよ…ソレモ、貴方タチト出逢ウチョット前…」
「お前の…両親を襲ったのはハンターどもだろう…」
「ェ…?」
話を聞いていたアシュタルは後ろ目で二人を見ながら、口を開いた。
「龍は長生きをする。そして、単なる噂に過ぎないはずなのに、「その龍の心臓を食べ、血を飲んだ者は長寿を得る…」と言われている。しかも、その骨は強力な武器にもなるしな…だから、そう言うのを欲しがる剣士や魔術師が金を払ってハンターを雇い、狩らせる…」
「ジャア、ステアのオトーサン、オカーサン、狙ワレタハ、ソレガ理由…?」
「多分な…」
「オトーサン、オカーサン、何モシテ無イ…ハンター、酷イ…ステア、憎イ…」
「ステアさん…」
「…ステア、オトーサンとオカーサンの爪使ッテ武器作リタイヨ…アシュタル、加工出来ルか?」
そう言い、ステアは腰に着けていたポーチから二つの爪を取り出し、アシュタルに手渡した。
ステアが何時、両親の爪を取ってきたか…それは、ステアが旅立つ前に、「一度家に帰りたい」と言ったので、寄る事にしたのだ。
それも、数分前に。

「ココで待ッテ居テ欲シイ。」
「大丈夫なのか?」
「…辛イ。ダケド、オトーサンとオカーサンにサヨナラ言ッテ来ル。」
そう言って、アシュタルと離れたステアは、アルプと共に巣に戻っていった。
数時間後、余り二人を待たせないようにステア自身が気遣ったのだろう。
戻ってきた時には、ステアの目は泣き腫らして真っ赤になっていた。
「……。」
「大丈夫ですか?」
「ウン。サヨナラ言ッテ来タカラ、平気」
「きゅー…」
そう言って、ステアは目じりに溜まった涙を服の裾で拭った。

まだ、目が少し腫れているステアから、爪を受け取ると、それをしげしげと見てから、アシュタルはステアに返した。
「強度は最高だが、…俺じゃ加工は無理だ。武器屋で加工してもらう他、無いだろうな…」
「ジャア、加工して貰ウ!…オトーサンとオカーサン居ないケド、コレガステアのオトーサンとオカーサンが形見。」
そう言って、アシュタルから返してもらった両親の爪を、ステアは大事そうに抱きしめた。

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