Dragon's nest

Dragon's nest

第十一話「何かと不思議な出会いかた」


街中の、人通りの少なさそうな路地から、白い服に水色の瞳、銀色の髪の男性が出てくる。美しい顔立ちの男性は、普段は似合わなさそうな位、暗い表情で溜息をついた。
「また、掴めなかったのか?」
「ロイド…」
壁に背を預け、腕を組んでいた男性が壁から背を離した。
黒の長髪に蒼色の瞳。片方の男性とは余り比べ物にならないが、此方も美しい顔立ちをしていた。
「暗い顔をするな。フォーシル。『お前にそんな表情は似合わない。』って前からずっと言ってるだろうが。」
「ですが…僕の師匠が四年前に殺されてから…もう、何年も経っています…情報が無いと何度も言われて…普通ならもう、絶望していますよ…」
顔を両手で抑えたフォーシルは、壁に寄りかかると、その場に蹲った。
沈黙する二人の雰囲気を壊すかのように、ふいに周囲がざわめいた。
蹲ったままのフォーシルをその場に置き、ロイドは人ごみへと向かう。
その時…
「きゅーいーっ!」
思い切り走ってきたのだろう。灰色の龍(アルプ)がロイドに向かってジャンプをしていた。
「!?!?」
身を交わして、その物体を避ける事も出来たが、何故か反射神経でその物体を捕まえてしまったロイド。
脇を抱え、自分の目線まで持ち上げると、その龍は尾を振りながら「ぎー。」と鳴いた。
しかも、目を細めて。
「お前…どこから来たんだ…?」
そう、聞いてもその龍は尾を振り、ロイドの頬を舐めているだけだった。
『…汚ね…』
口には出さずとも、心でそう、思っていたロイドだったが、ふと視線を感じて龍から視線を外し、斜め下を見ると、黒髪ポニーテールの少女(ステア)が龍の尾を掴んでいた。
「…これ、君のペットか…?」
ぎゃいぎゃいと嬉しそうにはしゃぐ龍を渡すと、少女は言った。
「ワタシの弟…誰も、龍ペットにシナイ。」
「弟ぉ!?」
ステアの言った言葉にロイドが驚いて固まっていると、アルプがステアの頭の上で短く鳴いた。
「ステア!」
「お嬢ちゃん!」
人ごみを掻き分けて現れた姿に、ステアは途端に表情を明るくした。
「アシュタル!ツバキー。」
「ようやく捕まったみたいだな…」
「アルプ、コウイウ所に来ルノは初メテダカラ、張りキッテル。」
自分の腕の中で、辺りを見回しながら尻尾を振るアルプ。
「ステア、そう言うお前も張り切っているんじゃないのか?」
「ウン!」
「大変素直で宜しい。」
ぱああっと顔を輝かせながら頷くステアに、ツバキは親指を立てた。
「ロ…イド…っ!」
「フォーシル?」
「ロイド」と名前を呼び、人ごみを掻き分けて現れた人物はフォーシルと呼んだ人物に近づいた。
「どうしたよ?そんなに慌てて…」
「ロイドがどこかに行くからいけないんです。散々探したんですから。」
「あははは…は…悪かった。」
「すみません。ご迷惑をかけたようで…僕はライズ=フォーシル。こっちはロイド=ハート。僕はハーフですが、ロイドはれっきとした人ですので。」
「ワタシ、ステア言ウヨ。コッチアシュタルとコケット。」
ステアが手をさすと、アシュタルは頷き、コケットは頭を下げた。
「俺はツバキ。で、コッチは俺のパートナーの…」
「誰がパートナーだ。リーフ=タイリスだ。」
「で…こっちが…」
「狼の獣人のガルム=ビックバンです…」
「取り合エズ、捕虜v」
「捕虜って何ですか!?」
語尾にハートマークをつけて笑うステアに、ガルムは焦る。
そんなステアを見て、またもふと考えたアシュタルとコケット。そしてツバキ。
『また、ステア(さん/嬢ちゃん)の背後に黒いオーラが…』(汗)
その晩、アルプが逃亡を図った町で、一向は宿を取った。
女性三人、男性三人なので、組み合わせは自然と決まってしまう。
リーフ、ステア、コケット。ツバキ、アシュタル、ガルム。
因みに各自自腹。アルプは馬屋行き。
その夜。誰もが眠ったであろう夜中。
「ガルムです。」
屋根の上で、通信機のような物に話し掛けているがルムの姿があった。
いつもは茶色のガルムの瞳が、月の光によって、少し金のようにも見える。
『入ったか。』
『遅いですよ。』
砂嵐が起こる、通信機に二人の男が交互に映し出された。
「煩い。頃合を見ていたんだ。」
ムッとするがルムに、砂嵐でぼやけてはいたが、聖職者のような姿の男性が口を開いた。
『合流の確認はしました。これから、貴方は龍と少女を見ていてください。あと…あの、《リグレイア家》の男も。』
「了解。」
『我らも後々合流する。』
そんな会話が交わされた後、ガルムは通信機を切った。
明日は新月…

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