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粗忽のたかびー

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2025.10.18
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カテゴリ: 緩和ケア



近隣の病院で余命1カ月と告知され転院してきた。
モルヒネを拒み、痛みを我慢し、食事も取れず、ほぼ寝たきりだが、夜間にせん妄を起こしているとの紹介だった。
モルヒネについて改めて説明したところ、「そんなに丁寧に説明してくれた医者はいなかった。先生がそこまで大丈夫と言うなら飲んでみる」と。
オプソというモルヒネの即放剤5mgを飲んだ30分後から痛みが和らぎだしたが、1時間たった正午の時点でまだ7の痛みがあるとのことで、更に5mg追加した。
1時間経過した頃には2まで痛みが減り、ベッドから立ち上がることができた。その時点で13時。フェンタニルテープ1mgを開始し、経過をみることに。
夕食はそこそこ食べることができて、「お味噌汁が美味しい。出汁の効いた味噌汁なんて久しぶり!」と喜んでいたそう。
寝る前にまた痛みだしたとのことで、スタッフは私の指示に従って、更に5mgのオプソを追加してくれた。明け方にまた痛みだし更に5mgを追加。
昨朝の回診時には「痛みはほぼゼロになっています。朝ご飯も美味しく頂きました。」と笑顔だった。
お昼前にはまた5くらいの痛みが出てきたとのことでオプソ5mgを服用、フェンタニルテープを1.5mgに増量した。
そこからは突発痛も出なくなり、今朝を迎えた。
今朝の回診では、「実は亡くなった主人の妹の旦那さんが、先生にお家で看取って貰ったんです。」と話してくれた。
「義妹がね、『お義姉さん、いい先生だから、先生の言うことを聞いていれば間違いないから大丈夫』と言ってくれてはいたの。でもモルヒネはやっぱり怖いでしょ。義弟は家でモルヒネの注射を先生にしてもらって楽に旅立ったと聞いてたし。私も楽に参らされるんかなって心配していたの。ても、看護師さんたちもモルヒネはそういう薬じゃないと言ってくれるし。これからは先生の言う通りにします。」と笑顔で話した。

モルヒネで死に至らしめられる、と思っている人はまだまだ多いのである。

午後からその義妹家族がやってきた。
2年前の在宅看取りのお礼から始まり、Aさんのこともよろしく頼む、私も癌になるだろうからお願いします、としこたま頭を下げられた。









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Last updated  2025.10.18 22:50:20
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