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勿忘草~戯曲集~
the sight of M
守 な、何だよ。なんで泣いてるんだよ!俺が泣かせたみたいじゃないかよ!
美咲 だって~私のこと嫌いって~・・・。
守 冗談だよ、冗談!冗談!!嫌いじゃない!
美咲 じゃあ~すき?
守 いや~それはどうかな~
激しく泣き出す美咲
守もさらに慌てて
守 好き!あ~好きだった。気づかなかったなあ~。
美咲 ケロッと
美咲 あたしも!
守 お前、うそ泣きかよ!
美咲 半分本気よ、だからいいの。
守 どういう理屈だよ・・・・半分?
美咲 だってさ、確かに最初は圭介さんちょっといいなあって思ったけど・・・。
守 なんで過去形なんだよ!
美咲 だってしょうがないでしょ!あなたがいたんだもん!!
守 ・・・は?
美咲 だからしょうがないじゃない。
守 いか~ん!!
美咲 何で?
守 何ででも!
美咲 嫌だ!
守 嫌でもしょうがないだろ?
美咲 何がしょうがないの?
守 だって、圭介がさあ・・・。
美咲 でも私たちはもっと前から知ってる。
守 まあ、そうなんだけど。それからずっと会ってなかったんだし・・・。
美咲 それは、会わなかったんじゃなくて会えなかったんじゃない!
守 別に会おうともしてないんだから当然だろ?
美咲 会おうとしました!
守 いつ?
美咲 あの後、すぐ。
守 なんで?
美咲 だって、私何も知らなかったから、聞こうと思って・・・。
守 何を?
美咲 学校の手続きの仕方とか・・・。
守 あ、ああ、そうか・・・。だったら聞いてくれればよかったのに。
美咲 居場所が分からなかったの!
守 何で?
美咲 名刺の電話番号が間違ってたから!
守 嘘~?
美咲 本当よ!
守 まっさか~?
美咲 本当だって!電話したら、なんたらかんたら研究所ですって言われたもん。
守 なんたらかんたら??
美咲 そう!
守 それって、東洋文学研究所じゃなかった?
美咲 ああ、そんな感じ。
守 じゃあ、合ってるじゃん。
美咲 え!?
守 うちの会社、そこの系列会社だもん。あの頃はまだ事務所ができてなくて、研究所の一角を間借りしてたから電話番号一緒だったの。
美咲 ええ~!?
守 聞かなかったの?
美咲 だって間違ったと思って、すいませんって言って切っちゃったもん。
守 早とちりだなあ。
美咲 そんなの分かるわけないじゃん!!
守 しみじみと
守 まあ~縁がなかったんだね・・・。
美咲 今は、こうして会えました!
守 そうだな、偶然って怖いな・・・。
美咲 偶然じゃないもん。
守 ん?
美咲 偶然じゃない!
守 偶然だろうがよ。
美咲 違う!もしかしたら、またいつか会えるかもってずっと思ってたもん。
守 ああ、そりゃあ出版社に勤めてればそういう可能性もあるかもしれないけどさあ。
美咲 でしょ?だから出版社に入ったんだもん。
守 え?
美咲 会いたかったから出版社に入ったの!
守 ええ!!そんな薄い可能性の為にぃ~!?
美咲 だって何の関係も無いところよりは随分可能性高いでしょ?
守 まあ、そうだけど・・・。いや・・・でも・・・。
美咲 悲しそうにうつむく
美咲 ・・・・
守 ・・・会えてよかったよ。・・・あの時はさ、少年犯罪の裏側ってテーマで色んな奴を取材しててさ。確かに犯した犯罪自体は許されるものじゃない。特に被害者の立場から見たら絶対に。でも取材すればするほど分からなくなって・・・こいつらもっと別の環境で育ったら全然違ったんじゃないかって。実は人一倍素直で、不器用で・・・だからこんなことやっちまったんじゃないかって。
美咲 ・・・うん。みんな居場所探してたら集まっちゃったみたいなトコあったから・・・。
守 だからうれしかったよ。ちゃんと学校行って、仕事してるって聞いて。
美咲 うん。
守 でもな、それとこれとは別だろ?
美咲 ・・・よく分からないの。
守 俺はスーパー仕事人間だから、取材対象を恋愛の対象としては見れない。
美咲 ・・・分かってるよ。それに・・・
美咲 守の目を見る
守 何?
美咲 この状況で、付き合おう!なんていう人なら、こっちから願い下げだし。
守 じゃあ、なんなんだよ。
美咲 ・・・秘密にしなくても良くない?
守 ああ・・俺もそう思ってた。
美咲 でもねえ・・・。
守 でもなあ・・・。
美咲 タイミングがねえ・・・。
守 そう、タイミングを完全に失った。
美咲 最初から隠さずに言っておいたほうが良かったんじゃないの?
守 今考えればな・・・。でも最初から言ってたら仲良くすらなれなかった可能性もあるんだぞ?
美咲 まあ、確かに・・・そういう経験は何度もしてきたから・・・。昔、総長の彼女やってました!さ~っ(ドン引きの音)みたいなね。
守 だろ?
美咲 う~ん・・・・お腹空いた。
守 なんだよ、こんな時に。
美咲 さっきから言ってたでしょ!
守 ああ、そうか・・・食いにいくか?
美咲 そうしよう!
守 じゃあ行くか!で?何食べたいんだ?肉か?魚か?
美咲 あ・な・た。
守 ・・・はいはい。
美咲 何か冷たくなった。この数分で。
守 気のせいだよ。ほら!行くぞ!
美咲 は~い。
ふたり、出て行く
帰り道についている圭介
予想外に早く仕事が終わって戻ってきている。
何かが目に入り、ふと足をとめる
圭介 ・・・守?・・・・・・美咲ちゃん?
暗転
第8場 懐疑
守 部屋に入り電気をつけると圭介が座っていて驚く
守 うわっ!なんだよ、いたのかよ。
圭介 暗く沈んだ声で
圭介 ああ・・・お帰り。
守 ただいま・・・。
圭介 ・・・・
守 電気くらいつけろよ、怖いよ。
圭介 ・・・・
守 随分、早かったな。
圭介 ああ、予想より早く仕事が進んで・・・。
守 そっか、良かったな。
圭介 ・・・良かったのか、悪かったのか・・・。
守 ん?
圭介 いや。
守 なんだよ、暗いぞ!
圭介 ・・・・
守 圭介の顔を伺い
守 ・・・あの~一応確認なんですが、駅から普通に帰ってきました?
圭介 ・・・
守 君のそのどブラックな理由はもしかして俺ですか?
圭介 ・・・
守 見ちゃった?
圭介 ・・・なんで窓際に座るかなあ・・・・。
守 いや~油断してた!あ、でも~あれだ、君が考えてるようなことは全くないぞ!
圭介 ・・俺が考えてることってなんだ?
守 だから・・・あれだよ、どうせ圭介のことだから疑ってるわけだろ?
圭介 何を?
守 いや、ほら、俺と美咲ちゃんがなんかあるんじゃないか・・とかさ。
圭介 ま、大いに疑っているわな。
守 だから、そういうことは全くないって。
圭介 本当か?
守 決まってるじゃねえかよ!
圭介 なんだ、そうだったのかぁって素直に思えない。
守 だから、何にもないって。なんだ!俺を信じられないって言うのか?
圭介 ああ。
守 強気で言うモノの強気になりきれない
守 まあ、そうだよな。そう思う。でも今回は本当に本当だって!
圭介 小学5年の時だ。
守 なんだよ、急に。
圭介 俺が同じクラスの、倉橋美代子ちゃんを好きだとお前に言ったらどうなった?
守 よくフルネーム覚えてるな。俺の名前は忘れてたって言うのに・・・。
圭介 お前の名前は近くにありすぎて、ど忘れしただけだ!
守 そうですか・・・。
圭介 とにかく!その3ヵ月後バレンタインで美代子ちゃんからチョコを貰ったのは守だった・・・。
守 いや、あれは、圭介の気持ちを凄く間接的にまわりくどく伝えようと思ったら、何を勘違いしたのか俺が惚れたと思い込んだらしくて・・・。
圭介 うん、あの時もそう言ってたな。
守 そうなんだよ、しょうがない。あれは。
圭介 高1の時だ。
守 あ・・・
圭介 あの時付き合っていた吉田恵子ちゃんと・・・
守 あれは、何か悩んでるみたいだから、話聞いてる内になんか変なムードになってだね・・・。
圭介 だからって、あの時はおまえも付き合ってる奴いたろ!?
守 いたな・・・。
圭介 何を信用しろって言うんだよ!
守 確かにそうだ、おっしゃるとおり。俺は最低な奴だ。俺がおまえなら友達やめてるトコだ。でも今回は違う!
圭介 信じられないって・・・。
守 何故なら今、俺は女に興味は無い!
圭介 え!?まさか、それで・・・。
守 な、なんだよ!違うよ、別に男に興味があるとかそういうことじゃない!
圭介 だよなあ。3度の飯より女が好きな守が・・・なあ?
守 そうだよ。女に興味はある。けれども今は誰とも付き合う気は無い!
圭介 付き合うつもりが無いのに手を出したって言うのか!!
守 だから出してないって・・・。
圭介 どうしてみんな守のほうに惹かれて行っちまうんだよ・・・。
守 そんなんじゃないんだよ!理由は・・・今は言えないんだけど、そんなんじゃないの!
圭介 なんで言えないんだよ!
守 俺が話さなきゃならないことなら話すけど、俺が言って良いことじゃないから・・・。
圭介 なんだよ、それ・・・。
守 とにかく、今は分からないと思うけど、そのうちはっきりするから。
圭介 全然、分からないよ。
守 俺が話しちゃっても良いんだけど、俺が話したってばれたら・・・。
圭介 だから、なんで守には話せて、俺には話せないんだよ!
守 圭介の肩をたたきながら
守 それが・・・愛ってもんだよ・・・。
圭介 そうか・・・それが愛か・・・って分かるか!そんな理由。だいたい守が誰とも付き合う気は無いってのも信憑性にかける!
守 いや、それは本当だって!
圭介 なんで?
守 ・・・何が?
圭介 なんで付き合う気が無いんだよ!
守 いや、だって・・・面倒じゃん?
圭介 面倒?どの口が言うんだ、どの口が!!
守 ・・・それにさ、ほら、今無職だし・・・。
圭介 それ関係あるのか?
守 デートとかもいけないじゃん?
圭介 ま、まあ確かにそうだな・・・。
守 家でデートって言っても・・・なあ?ここ、俺の家じゃないし・・・。
圭介 でもそれでも良いって子なら?
守 固まる
守 ・・・
圭介 考えたろ!今!
守 違うよ!
圭介 じゃあ、今の間はなんだよ!
守 ちょ、ちょっと唾液が喉に絡んで声が出なかったんだよ!細かいトコ突っ込むな!・・・びっくりした。とにかく今は、誰とも付き合う気は無いの!年も年だし、付き合ったら結婚とか考えざるを得ないだろ?そういうのも今は面倒なの!プロのお姉さんで十分なの!!それにこういう時に今まで嘘ついたことないだろ?ちゃんと正直に謝ったじゃないか、本当にやったんなら。
圭介 確かに・・・。
守 だろ?
圭介 もう、なんなんだよ!教えてくれたって良くないか?なんだ?その言えないことって?教えてくれないと勝手に想像しちまうぞ!
守 実は、男なの。・・・・とかな。
圭介 そうなのか!?
守 例えばだよ。
圭介 なんだ、例えばか。驚かすなよ。
守 実は・・・子供が・・・。
圭介 何!?
守 2人。
圭介 ふたりぃ~!!
守 ああ。
圭介 ま、まあ・・・で、何歳?
守 3歳と5歳。
圭介 あの年で!?
守 できちゃった結婚だから・・・。
圭介 てことは結婚も!
守 もちろん旦那とは別れてるけど・・・。
圭介 そ、そうか・・・。
守 ああ。
圭介 上を見上げて
圭介 ・・・2人の父親か・・・ま、それもまた・・・いっか。
守 ・・・例えばだよ。
圭介 何が?
守 今のも。
圭介 え?じゃあ子供いないの?
守 いるわけ無いじゃん。
圭介 なんだよ。どうやって仲良くなっていこうかのシュミレーションまで頭の中で組み立ててたって言うのに!
守 想像はより悪い方をしておくものだ。
圭介 そうか・・・そうだな。
守 ま、でも大丈夫だよ。
圭介 何が?
守 圭介にそこまでの覚悟があればさ。
圭介 そうか?
守 ああ。大丈夫だ。それに美咲ちゃんは圭介が思っている以上に良い子だよ。
圭介 何!?惚れんなよ!
守 あ~無職じゃなければ分からなかったが、今なら大丈夫だ!
圭介 守の言葉にいつも通りの力が感じられない
圭介 ・・・どうした?
守 何が?
圭介 いや、なんとなく・・・。
守 俺も、さっさと仕事みつけて家探さないと・・・。
圭介 別にいいぞ。焦らなくて。
守 いやいや、俺がいたら連れ込めるものも連れ込めねえじゃん。
圭介 あ、別にその間だけ何処か行っててくれれば。
守 顔を背けて
守 何か生々しい・・・。
圭介 ま、そんなこと気にせず、ちゃんと仕事探してくれ。とりあえず・・・とかで見つけて、すぐ辞めたりしても時間の無駄だからな。
守 ああ、ありがとう・・・。
圭介 守の顔を見て少し安心したようにほほえむ
圭介 とりあえず、何か色々疲れた・・・寝るわ。
守 ああ、おやすみ。
圭介 おやすみ。
部屋へ入っていく圭介
守 ノートを取り出し何かを書き始める
【挿入歌・哀歌】
守 ノートを手に立ち上がる
守 ノートを開き
守 時に人は哀しみを歩き気づく、遅かりしことを。夢の中を夢のようだと時を過ごし、赴こうとせずにただ待つのみで。ただ哀しくも気付かないのは、それが当たり前のように過ぎ行くからか。後悔の念すら抱かず、先の世に何か変化を与えることもなく、ただ当たり前に、ただ確実に。その恐ろしくも着実な流れの中、人は歩む。止まらぬ時の中をただ歩む。
この淀みない淀みの中、私も歩く。私も歩き、私は何を得るのだろう?何を見、何を信じ、そして何を与えるのだろう?そんな答えすら見つけられぬまま、今に至り、ここにいる。
目を閉じ、ただ耳を澄まし、今言えることは
ありがとう
守 ノートをテーブルに置き、かばんを持ち部屋を出る
第9場 理由
ドアベルが鳴る
圭介がゆったりと起きてくる
圭介 はーい・・・。
玄関の前には美咲 立っている
美咲 こんにちは!
圭介 ん?んん、おはよう。
美咲 寝てました?
圭介 ああ。寝てました。
美咲 今日帰ってきたんじゃないんですか?
圭介 いや、昨夜。
美咲 ああ、そうだったんですか・・・。
圭介 どうしたの?
美咲 あ、いえ、ちょっと・・・。
圭介 ああ、どうぞ・・・。
ようやく目覚めてきた圭介は美咲を部屋に通す
圭介 ごめん、もうちょっと待ってね、もうちょっとで目が起きるから・・・。
美咲 目が!?
圭介 いや、脳だ・・・。
そういうと、圭介 横になる
美咲 !?もしも~し!
圭介 大丈夫、大丈夫。起きるための通過儀礼だから・・・。スピ~スピ~。
圭介 寝息を立てる
美咲 寝てるじゃん!!
圭介 平気、平気。起きてるから・・・。
美咲 部屋を見渡す
美咲 あれ?今日同居人の方は?
圭介 同居人?・・・ああ、守ね。あれ?その辺に寝てない?
美咲 いえ、見当たりませんけど・・・。
圭介 そう・・・何処かに出掛けたのかな・・・。
美咲 そっか・・・。
圭介 守に用事・・・?・・・!?
圭介 急に目を見開く
圭介 美咲ちゃん!!
美咲 急に大声で呼ばれて驚く
美咲 はい!?
圭介 いつからここに!?
美咲 いえ、今さっきですけど。
圭介 どうやって入ったの!?
美咲 圭介さんが鍵を開けてくれたので・・・。
圭介 俺が!?いつ?
美咲 だから、今さっき。
圭介 嘘!?
美咲 寝てたの?
圭介 うん。完全に・・・あ~!これか~守が言ってた斉藤さん事件って・・・。
美咲 斉藤さん事件って?
圭介 日本語を話してた斉藤さんが、気づいたら意味不明の言語を喋ってたっていう事件なんだけど。単に寝てて間の記憶がスッポリ抜けてたってだけだったんだけど・・・守に用事だった?
美咲 ああいえ、別に、今日は。
圭介 今日は?
美咲 あっと、そういう意味じゃなくて、ちょっと圭介さんにお話があって・・・。
圭介 ・・・!話?
美咲 ええ・・・。
圭介 いそいそと座り直し
圭介 な、なんでしょう・・・?
美咲 えっと・・・何処から話したらいいのか・・・。
圭介 うん・・・。
美咲 実は私・・・圭介さんと会う前から、守さんのこと知ってたんです・・・。
圭介 うん・・・・え!?嘘!
美咲 本当に。
圭介 何で?
美咲 7年くらい前に取材で・・・。
圭介 へ~前に仕事したことあったんだ・・・。
美咲 ええ。
圭介 どんな取材?
美咲 たしか・・・「連続サラリーマン暴行事件の主犯格Aの今」だったかな?
圭介 ふーん。それって美咲ちゃんトコの企画?それとも守の持ち込み?
美咲 あ、その頃私まだ、就職してないかったから・・・。
圭介 ああ、そっかそっか、だよねえ・・・ん?
美咲 私が取材対象だったんです。
圭介 「連続サラリーマン暴行事件の主犯格Aの今」の?
美咲 ええ。
圭介 Aさん?
美咲 ああ、違います違います。
圭介 びっくりした。違うよね、そうだよね。
美咲 ただ・・・共犯だったんです。主犯は当時、付き合っていた彼で・・・。
圭介 ・・・
美咲 退院して半年くらいたってから、守さんが取材に来たんです。
圭介 驚いたような顔のまま黙ってしまう
圭介 ・・・
美咲 普通のバイトとかでも中卒だと雇ってもらえなくて、キャバとか転々としてた時で、あ~もう、今後の人生なんてずっとこんな感じなんだろうなあ・・・なんて考えてて・・・。
圭介 ・・・
美咲 でも、そのとき守さんが言ってくれたんです。私は悪くないよって。そういう経験したからこそやれることもあるよって。
圭介 それで守のこと・・・。
圭介 うなだれる
美咲 それを見て慌てて
美咲 あ、違うの、それは違う。
圭介 え?
美咲 ・・・ううん、違わないかな。ずっとずーっと会いたくて会いたくて、やっと会えて・・・。でも駄目。圭介さんより先に守さんに会ってたら分からなかったかも知れないけど、そうじゃなかったから。
圭介 ・・・
美咲 守さん全然相手にしてくれないもん。
圭介 ・・・そっちかぁ~。
圭介 崩れ落ちる
美咲 え?
圭介 あ、いや、ほら俺のほうと先に会ったから、守と会っても心が揺れなかったってのかと思った。
美咲 ごめん・・・。
圭介 いいよいいよ、何でか、守にはいつも勝てないんだよ。守はそんなこと無いって言うんだけど、駄目。ずーっと負けっぱなし。だから女盗られたりするんだよ。
美咲 そんなことが?
圭介 多分、あいつは盗ったつもりはまるで無いんだよ。ただほっとけなかったんだ、きっと。
美咲 何かを思い出すように
美咲 ああ、それで・・・。
圭介 何か言ってた?
美咲 圭介さんにはこと女性関係に関して全く信用されてないって。
圭介 だろうな。そう思ってると思うよ。なんで、みんなあっちに惚れるのかなあ・・・何が違うんだろ?・・・あ、大丈夫だよ美咲ちゃん、俺、慣れてるから。なんか返ってごめんね、気を遣わせちゃって・・・。
圭介 ちょっとよそよそしくなり
美咲 慌てて
美咲 違うの!
圭介 え?
美咲 多分、あの取材の直後に会って、そのままちょくちょく会ってたら絶対に好きだったと思うんだけど、なんて言うのかなあ・・・?好きな芸能人?みたいな感じっていうのかな・・・。絶対無理!でも好き!みたいな?
圭介 ん?
美咲 確かに、守さんが受け入れてくれたら全然転がっちゃうと思うんだけど、そんな様子微塵もないし・・・。
圭介 んん?
美咲 そんな、非常に危うい私じゃ駄目ですか?元ヤンの私じゃ駄目ですか?
圭介 ・・・
美咲 ・・・ですよね。そう、みんなそうだったから。・・・大丈夫です。あ~折角、守さんが気を遣って隠してくれたのになあ・・・。
圭介 ・・・可笑しいね。
美咲 え?
圭介 2人して大丈夫です、大丈夫ですって言い合って・・・全然大丈夫じゃないのに・・・。ん~絶対負けない!
美咲 え?
圭介 もう守には絶対負けない!!よろしくお願いします!
美咲 え・・・
圭介 大丈夫だよ。守の取り越し苦労だから。
美咲 え?
圭介 別に元ヤンだからって特に・・・だし。
美咲 そうなんですか?
圭介 その企画、絶対、守の持ち込みだよ。あいつらしいな。
美咲 じゃあ・・・
圭介 これからもヨロシク美咲ちゃん。
美咲 こちらこそヨロシクお願いします、圭介さん。
圭介 ・・・なんだか照れるね。
美咲 ・・・じゃあこれからは呼び捨てで・・・。
圭介 え~っとじゃあ・・・美咲。
美咲 ・・・圭介。
圭介 俺のことも呼び捨てかよ。
美咲 え~駄目なの!?
圭介 いいけど。
美咲 もう!
いちゃつきだす2人
圭介 美咲。
美咲 圭介。
圭介 美咲。
美咲 圭介。
圭介 美咲。
美咲 圭介。
圭介 あ。
美咲 何?
圭介 ちょっと些細で大きな問題が。
美咲 何?
圭介 守さ・・・。
美咲 何?
圭介 いつまでいるんだろ?
美咲 あ~そう言えば、なんで一緒に住んでるの?
圭介 行くトコが無いって。どうも会社が潰れたらしくてさ・・・。
美咲 出版社?
圭介 そう。
美咲 どこだか分かる?
圭介 それは聞いてないけど・・・。
美咲 そうなんだ・・・。
圭介 でもまあ、すぐに見つかるだろ、きっと。さっさと出て行ってもらわないとな!
美咲 何かを考え込んでいる
美咲 ・・・・
圭介 どうした?
美咲 ん~潰れた出版社の話なんて全然聞いてないから。
圭介 ちっちゃーいトコだったらしいよ。地方のフリーペーパーとか作ってるような。
美咲 そう・・・。
圭介 だいたい急なんだよ、それまで連絡とろうとしても全く返事よこさなかった癖してさ、自分が困るとこれだもん。
美咲 でも実家に帰るとか普通考えると思うのに、なんで圭介さんのトコに来たんだろうね?
圭介 本当にな。相当来づらかったと思うけど。
美咲 なんか理由があったんじゃないの?
圭介 そうか?ただ単に親には言いにくかっただけだよ?あいつはいつでも俺を便利に使う。
美咲 そうかなあ・・・。
圭介 ま、とにかくこれから始まるスイートライフを邪魔されちゃたまらん。だろ?
美咲 別に、私は良いけどなあ・・・。
圭介 俺が嫌なの!1ヶ月!・・・厳しいか・・・2ヶ月!最大でも3ヶ月が限度だな・・・。
美咲 テーブルの上のノートに気づく
美咲 これって?
圭介 ん?・・・守のかなあ・・?
美咲 何枚かめくって読む
美咲 日記みたい・・・
圭介 なんだよ、あいつ無防備なんだから・・・普通、日記とかって人に見られたくないものなんじゃないの?
美咲 そうよね・・・・・・・・うぅ!
美咲 苦しみだす
圭介 どうした?
美咲 よ、読みたい。
圭介 それは、まずいだろ。
美咲 そ、そうよね。プライバシーに関わることなんだから・・・。
圭介 ・・・・・・・・・・・・・でもちょっとだけなら。
美咲 そうよね。
2人日記を読み始める
暗転
第3幕 やさしさに包まれて
第10場 予兆
シーン ・・・
守 独演
守 椅子に座って話を聞いている
守 田舎に両親がいますけど・・・。
? ・・・・・
守 まだです。それで今日は?
? ・・・・・
守 何か?
? ・・・・・
守 はい。
? ・・・・・
守 そうですか・・・。
? ・・・・・
守 手遅れ・・・?
守 考え込んでいる
? ・・・・・
守 え?ああ聞いてます。大丈夫です。
? ・・・・・
守 それで・・・もし入院したとして・・・・
? ・・・・・
守 1年・・・。じゃ、じゃあ、入院をしなかったら?
シーン ・・・
守 歩いていたが急に立ち止まり、振り返る
守 あのさ。
? ・・・・・
守 別れよっか?
? ・・・・・
守 冗談じゃないよ。
? ・・・・・
守 急でもないよ、ずっと考えてたんだ。実は俺、他にも好きな奴がいて、今度そいつと結婚することになってさ。だから、別れよ。
守 殴られる
守 あいた、たたた。
シーン ・・・
守 直立不動
守 あ、部長、お話が・・・
? ・・・
守 胸ポケットから封筒を取り出す
守 急で申し訳ないのですが、本日付で退職させてください!
? ・・・・
守 荷物は適当に棄てといて下さい。
? ・・・・・
守 呼び止める言葉を無視しているかのように立ち去る
守 呆然と歩いていると、あるアパートの前に立っている
守 ここは・・・圭介の・・・。
ドアベルの音
再びドアベルの音
三度ドアベルの音
守 よっ!
圭介 お、おう・・・。
守 久しぶりっ!
圭介 お、おう・・・
守 何年振りだ?大学以来だから・・・10年ぶりか。
圭介 お、おう・・・
守 明らかに急な来訪を戸惑っている圭介を尻目に上がり込み、部屋を見渡す
守 (アイドルのカレンダーを指差しながら)これ誰だ?
圭介 お、おう・・・。
守 王!?これ?そうなの!?世界の王がカミングアウト!?え、でも女性が監督って問題ないか?ん?それは別にいいのか、制度的には・・・いつまでボケ続ければ良いのだろうか・・・。圭介!聞いてんのか!?
圭介 あ?ああ・・・。
守 まったくおまえという奴はいつもいつも人の話を半分で・・・そんな事で無事に生きていけてるんでしょうかねえ、斉藤さん。・・・・・?斉藤さん?斉藤さんって誰だ?
圭介 ああ!!
守 何だよ!驚かすなよ!
圭介 ぬぉあ!!
守 怖いよ。
圭介 うるさいなあ!静かにしろよ!
守 はい・・・すいません・・・。
シーン 居酒屋にて
2人で並んでカウンターに座っている
圭介 無事卒業おめでとうございます!
守 ありがとう!世の中に奇跡はある!そのことを身をもって体験しました!それもこれも圭介君!
圭介 なんだよ、気持ち悪いな・・・。
守 君のおかげだ!
圭介 いや、いや、分かっていればいいんだよ、わかっていれば。
守 そうとなれば、今日は飲むぞ!
圭介 おう!
2人 かんぱーい!!・・・・・・・・・うまい!!おかわり!!!
2人ビールを一気に飲み干し、空になったジョッキを上に上げる
待ってましたとばかりに、すぐにジョッキが目の前に来る
2人今度は比較的ゆっくりと飲みながら
圭介 結局、守は就職活動というものをせずに終わってしまったが大丈夫なんでしょうか??
守 ええ、そのことなんですけどもねえ・・・最初は自分の意思で就活拒否をしていたはずだったのに、気づけば卒業するだけでいっぱいいっぱいで、単純にヒマがなかっただけですからねえ・・・。
圭介 で?どうするんだ?
守 だから、言ったろ?文章を書くって!
圭介 いや、言うのはいいさ。でも実際はさ・・・。
守 なんだ?無理だって言うのか?
圭介 そんなはっきりは、俺やさしいから言えないけど・・・。
守 言ってるのも同じだ。しかし!ごもっとも!
圭介 分かってはいるのか?
守 当然!自分のことは自分がよく分かっている!!
圭介 分かってるならいいけど。で?どうするんだよ。
守 それなんだよねえ・・・困ったことに俺は空っぽなのさ・・・。
守 一気にジョッキを空ける
守 ちなみにグラスも空っぽ。おやっさん!おかわり!!越野寒梅!!こいつのおごりで!
圭介 今日はおまえのおごりって言ってたじゃねえかよ!
守 おごるよ。圭介の分は。だから俺の分は圭介が払うの。
圭介 何!?ってことは・・・。
守 そう。飲んだほうが勝ち。
圭介 慌ててジョッキを空ける
圭介 うわ!俺も空っぽだ!おやっさーん!ドンペリニョン!!
守 嘘!おいてあるの!ここに!?じゃ、じゃあ俺は・・・って高い酒、俺あんまり知らない・・・。
守 頭を抱える
圭介 まあまあ、今日くらい勝った負けたは無しでのむべ。
守 だな。
2人 新しく目の前に来た酒をちびりと飲みながら
圭介 何か考えてることはあるのか?
守 これから?
圭介 ああ。
守 まあね。
圭介 なんだよ。
守 あまり言いたくないんだが・・・。
圭介 なんでだよ!
守 別に理由は・・・。
圭介 教えろよ。
守 ん~・・・
守 ちょっと考えて
守 俺は考えたわけだよ。なんて普通の人生を今まで歩んできたんだろうと。
圭介 怪訝な顔をし
圭介 俺たち22だよ。
守 そうだよ。
圭介 自我が形成されて10年余り。
守 そうだな。
圭介 なのに波乱万丈って嫌だろ?
守 まあ、嫌だな。
圭介 じゃあいいじゃねえかよ。
守 つまりな、俺は平凡な人生を歩んでしまったせいで、やりたいことがないのではなかろうか?と思ったわけだよ。
圭介 それはそれじゃないのか?
守 そうかもしれない・・・いや多分そうなんだろうと思う。でもなあ、思っちゃったんだよ。
圭介 で?
守 ん?
圭介 どうするんだよ?
守 さあ?
圭介 馬鹿にしてる?
守 してない、してない。つまり、ほらここで就職せずにただ何もせずにいるだろ?
圭介 そうなのか?
守 いや、だから、そうすると、俺の人生の中では革命的に何も無い時間になるのだよ。
圭介 は?
守 今までは平凡といえども毎日やらなければならないことがあって、それをこなす。そんな日々だったのが、本当に何にもなくなるのさ、そうするとどうなる?
圭介 さあ?
守 まあ、金は無くなるわな。
圭介 仕事しないんだからな。
守 時間は余るわな。
圭介 何もしないんだからな。
守 そうすると必然的に何をやりたいかがはっきりと見えてくると思うのさ。
圭介 そうか?
守 違うのか?
圭介 人間って基本怠けたいだろ?
守 基本かどうかは分からないが・・・。
圭介 やってもやらなくても、別に困らないなら、やらないほうを選ばないか?
守 まあ、意味がないなら、やってもなあ・・・。
圭介 だろ?
守 ああ。
圭介 何をやるにしても意味が必要なんだよ。仕事をする!何で?
守 金を稼ぐ為。
圭介 何で金が必要?
守 生きる為。
圭介 そうだろ?
守 え?
圭介 だったら働かなきゃ生きていけないじゃないか!
守 だから慎重にその仕事を選ぼうかなって言ってるんだろ!
圭介 ちょっといらついたように
圭介 うだうだ言わずに働けばいいんだよ!やりたいことなんてその内、見つかるから。
守 その内っていつだよ。
圭介 その内は、その内だよ!そんなもん知るか!
守 うんざりしたように
守 もう嫌なんだよ!惰性で生きていくのは。自分の描くものに向って生きて行きたいの!俺は。
圭介 だから、やりたいことがないんだろ?
守 見つけるって言ってんだろ!それに言ってるじゃねえかよ、本を出す!って。
圭介 俺の受け売りだろ?
守 受け売りの何が悪いんだよ!
圭介 悪かないよ。だから何を書きたいのかって聞きたいの!
守 それもまとめて探すんだよ!
圭介 働きながら探せって。
守 いいじゃねえかよ!俺がどんな探し方したって。そういう圭介は何を書きたいんだよ!
圭介 だから俺は、働きながら探そうかなって。
守 同じじゃねえかよ!
圭介 全然違うよ!
守 同じだよ!周りにどう見えるか知らないが、自分の中では全く一緒じゃねえかよ!
圭介 周りからどう見えるかが違う時点で、全然違うじゃねえかよ!
守 同じ同じ。何を書きたいかを見つける作業を100メートル走だとするだろ?
圭介 100メートル走?
守 ああ、俺は少しでも早く見つける為に全速力で走ってる。圭介は周りの景色を楽しみながらジョギングしてる。でも周りから見たら、ただ走ってるってことになっちゃうんだよ。
圭介 何もしないことがどうして全速力で走ることになるんだ?
守 探すことに全精力を傾けるんだぞ!全速力だろうが。
圭介 俺は色んな人と会って、色んな人と話しながら、自分の書きたいことを探したいと思ってる。
守 ほう。
圭介 守、さっき、自分は空っぽだって言ったよな。
守 ああ。
圭介 書きたい何かが漠然とでもあるんならその方法でも良いかもしれないけど、守の中には何もないんだぞ!どうするんだよ。
守 探し方の話してるのに、今がどうとか関係ないだろ!?
圭介 守?
守 あ?
圭介 自分でもちょっと違うって思ってきてるだろ?
守 何が?
圭介 自分でも分かってるんだろ?いつもの守なら自分は間違ってないって思ったら絶対に周りを説得させるだけの何かを持ってるし、持ってなかったとしても作っちまうだろ?
守 何だよ、それ。
圭介 でも今は違う。自分でも考えが定まってない。だから主張がぶれるんだよ。
守 何でも分かってるようなこと言うなよ。
圭介 分かってるよ、少なくともお前のことに関しては。
守 ぼそっと
守 ・・・何様だよ。
圭介 え?
守 俺は俺のやり方で自分のやりたいことを見つける。誰の指図もうけないし、誰のアドバイスも必要ない!
守 立ち上がる
圭介 おい!
守 じゃあな!
守 圭介を置いて出て行ってしまう
シーン終了
つづく
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