do-taku town

do-taku town

出産



助産婦さんが「さて頑張ろうか!」と袖を捲くり始めた。私はどうしていいのやらとにかく旦那さんの手を握る。
すると急に痛さが倍増して上手く呼吸が出来なくなってきた。旦那さんが「落ち着いて~」と声をかけてくれて一緒に呼吸を合わせてくれた。

「ハイ!力んでっ!!」「くぅぅぅ~!!!」・・・出てこない。そりゃいきなり産まれるはずがない。

しばらくして隣の新生児室からママさんの声が聞こえた。「がんばってー!待ってるよ。」
スゴク嬉しかった。そして助産婦さんに「力む時声を出していいですか?」と聞いた。

以前、TVでオペラ歌手が出産時に発声練習のような声を出したら一発で産まれたという話を思い出した。当然オペラなんてやってないし、歌も音痴な私だったけど、何もしないよりはイイと思った。

すると助産婦さんが「ハイ!声っっ!!!」と言ってくれた。「うわぁぁぁ~!!!」っと思い切り叫んだ。すると変な感触とともに大きな泣き声が聞こえた。
旦那が「産まれた!!」と叫んだ。

私は信じられなかった。でも、助産婦さんの手には小さな赤ちゃんがいた。夢じゃなかった。
赤ちゃんは泣きながら頭を抱えて「産まれちゃったよ~っ!」って困ってるようにみえた。
実はその時、先生はいなかった。助産婦さん2人と旦那と私だけで出産した。先生は間に合わなかったのです。分娩室に入ってきた先生の最初の一言は「あら。産まれちゃった?」でした。

時刻は午前1時49分。分娩時間3時間45分のミラクル安産でした。




© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: