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間違えずに楽譜通りに弾くことに重きを置く今のクラシックピアノ界で、メロディーを歌うことを第一とし、「間違えたっていいじゃない。機械じゃないんだから。」と言ってのける彼女は、確かに異端かもしれません。でも、多くの人の心を惹き付けているのも事実です。昨日の番組でも、「やれば出来るのに、みんなどうしてもっと歌わないの?わっけわかんない。」と仰っていました。私のような、ピアノを弾く人間の端くれと言うのもおこがましいレベルの人間であっても、この言葉は「また頑張ってみよう」という気持ちを奮い立たせてくれるものです。
私は来年、発表会で、ブラームスのハンガリー舞曲「第5番」と「第6番」を弾く予定です。第5番はテレビCMでも使われたことがあるので、クラシックに興味のない方でも一度は聞いたことがあると思います。この第5番はフジ子ヘミングさんの代表曲のひとつでもあります。
これから練習に入るのですが、知っている曲なので弾きやすい反面、発表会でみなさんに楽しんで頂くのは難しいといった怖さもあります。いつも発表会の曲を練習していると先生に言われる「あなたらしさを出してね」。今回も「あなたのブラームスを弾いてね」と言われることでしょう。この為には、まず楽譜通り弾きこなし、自分のものにして、その上で出てくる個性を見つけていかなければなりません。きっとフジ子ヘミングさんはそのことを仰っているのだと思います。最初から好きな風に弾いてしまっては、それはただの"癖"にしかなりません。気が遠くなるような練習量を以って個性になっていくのだと思います。
いつも発表会前にすることなのですが、自分の世界がそれなりに見つかったら、今度はCDを何枚か買って色んな方の演奏を聴いてみます。どの演奏も、演奏者の名前を聞かなくても分かるくらい違います。そこから自分が素晴らしいと思う弾き方や音色を取り入れて、はじめて曲の完成です。
1曲を仕上げる長い道のりですが、フジ子ヘミングさんの言葉を胸に、頑張りたいと思っています。