狂犬病




~発病したら致命的な伝染病~


狂犬病は致死率100%の最もおそろしい、人間と動物に共存する急性のウイルス性感染症です。意識障害と中枢神経系の興奮とまひが狂犬病の特徴です。幸いなことに日本では犬の登録、予防接種が徹底され、海外から輸入される動物に関しては厳重な検疫が行われているため、1957年以降まったく発生はありません。しかし、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどの地域には狂犬病の存在する国が多数あり、国際交流の盛んな今、犬や猫をはじめとして、いろんな種類の動物が国内に持ち込まれているので、油断は禁物です。狂牛病や鳥インフルエンザのようにならなければいいのですが。。。

症状
狂犬病にかかっている犬(動物)に噛まれてから、普通は2~6週間の潜伏期間を経て発症します。潜伏期間の違いは噛まれた部位やその動物の唾液に含まれるウイルスの量やウイルスの強さなどによって違います。症状は狂躁(きょうそう)型と沈鬱(ちんうつ)型の2種類に分かれます。狂躁型は凶暴性をおびるもので、動くものには何でも噛みつきます。これは、狂犬病の症状の典型であり、狂犬病の80%くらいはこの狂躁型です。発症後は数日間は食欲不振や挙動の異常などがみられます。しだいに、狂乱状態となり、異常に吠え、徘徊し、明らかに凶暴となって人でも動物でもみさかいなく攻撃して噛みつきにいきます。口を半開きにしてよだれをたらし、顔つきがキツネのようにするどくなります。この状態が3~4日間続きます。その後はまひ期にはいります。犬は口を大きくあけ、大量のよだれを流すようになります。この期になると噛むことはなくなり、立っていてもふらふらし、全身にまひ状態が進行して、起き上がれなくなり、衰弱して死亡します。狂躁型は通常5~7日くらいで死に至ります。一方、残りの20%くらいの沈鬱型はまれな病気で直ちにまひ期に移行し、早ければ1日~4日以内に死亡します。

原因
狂犬病ウイルスの感染が原因です。ウイルスは狂犬病にかかっている犬の唾液の中に含まれています。このウイルスを含んでいる唾液が噛み傷などを通して他の犬の体内に侵入し、感染します。狂犬病は自然界において、すべての哺乳類に感染します。

診断
一般に狂犬病の犬は凶暴で噛まれる危険性が高いため、生きているうちの確定診断は困難です。狂犬病の診断を依頼された医師は犬を隔離し、興奮状態と凶暴性、まひについて臨床的に3週間以上検察します。症状が進行しなければ狂犬病は否定されます。診断を確定させるためには完全なまひがあらわれてから犬を安楽死させたあと、脳と唾液腺を材料にして検査を行います。ネグリ小体と非化膿性の脳炎像を検出する方法、蛍光抗体法により、狂犬病ウイルス抗原を探す方法、狂犬病ウイルスを分離、同定する方法があります。

治療方法
残念ながら狂犬病は治療の対象となる病気ではないので、治療はおこないません。狂犬病と診断したら、安楽死させることになります。

予防方法
日本では狂犬病予防法により、生後3ヶ月以上の犬は必ず保健所に登録し、狂犬病ワクチンを毎年1回接種することが義務付けられています。

最後に
狂犬病は現在日本では発症していないため、安易に考える飼い主様も多いです。しかし、近年の狂牛病の発生や鳥インフルエンザの発生などもあり、遠い存在の病気ではなくなってきていることは確かです。必ず、毎年1回の予防接種を受けてください。法律で決まっていますので、愛犬が他人や他の犬に噛みついたときに狂犬病の予防接種を受けていないと罰せられることもあります。




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