ジステンバー





~有効な治療薬がなく死亡率が高い~


ジステンバーは急性で高熱を発するウイルス性感染症で伝染力が強く、死亡率の高い恐ろしい病気です。初期には高熱、下痢、肺炎など消化器と呼吸器の障害があらわれ、後期には神経がおかされます。1歳未満(特に生後3ヶ月~6ヶ月ぐらい)の幼犬がかかりやすいです。もちろん、成犬でも発病します。

症状
ジステンバーウイルスに感染すると、4~6日後ぐらいに発熱、食欲不振などの症状があらわれます。しかし、程度はごく軽く数日で治ってしまうため、「風邪かな?」と思う程度で見過ごしてしまいます。免疫力の高い成犬などでは、そのまま治ってしまう場合もあります。しかし、免疫力が弱くウイルスを撃退しきれないでいると、さまざまな細菌に二次感染してしまいます。それによって症状が悪化し、二次感染の影響も重なって、さまざまな症状があらわれてきます。多くの場合はこの二次感染期にジステンバーが発見されます。症状としては発熱、食欲不振、元気がなくなってやせてくる、結膜炎や角膜炎による濃性の目やにが出るなどがあります。他の症状としては嘔吐、おなかを押さえると痛がる、悪臭をともなう下痢や血便、うみのような鼻水、せき、くしゃみ、呼吸困難、鼻の頭が乾いてカサカサになるなどの消化器系と呼吸器系に異常が出ます。さらに進行するとウイルスが脳にまで広がっていき、ジステンバー特有のやたらに興奮したり、てんかんのような発作をおこしたり、グルグル回転したり、暴走したりします。また、体のあちこちがピクッピクッと短い間隔でけいれんするチック症状、下半身のまひなどもみられることがあります。このような症状はジステンバーにかかった犬の20%~25%ぐらいにあらわれます。

原因
ジステンバーは犬ジステンバーウイルスに感染することによって発病します。このウイルスは口や鼻から体内に侵入します。ジステンバーにかかった犬のくしゃみの飛沫(ひまつ)などを浴びたり(飛沫感染)、ジステンバーに感染している犬の鼻水や目やに、尿などに口や鼻が触れて感染(直接感染)します。また、ウイルスが付着した食べ物などを介して間接的に感染(間接感染)することもあります。口や鼻から入ったウイルスは体の組織の中に入って全身に広がっていき、さまざまな臓器をおかしていきます。放置しておけば最終的には脳まで障害をきたしていきます。

診断
症状や血液検査などによって総合的に診断しますが、さまざまな症状があらわれ、特徴にも乏しいので、確定診断はウイルス検査によって行います。ウイルス検査は結膜、瞬膜、扁桃(へんとう)、膣(メスの場合)などの粘膜を取り、顕微鏡で粘膜上皮細胞あるいは神経細胞の中の封入体(ウイルスが細胞内で増殖したもの)を見つけます。その他の検査方法としては、必要に応じて、蛍光抗体法による、ウイルス抗原の検出、血清の中の中和抗体の検索、補体結合反応によるウイルス抗体の証明を行います。

治療方法
ジステンバーに対しての有効な治療方法は今のところありません。ジステンバーと診断されたら、入院して治療を受けることが必要です。感染のごく初期では免疫血清の大量投与が効果を示すこともありますが、二次感染菌をおさえるため、各種のサルファ剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン薬などの薬が使われます。また、ビタミン剤も併用します。それぞれの症状に対しては利尿薬、整腸剤などを投与して治療します。神経症状がある場合は抗てんかん剤や脳代謝賦活(ふかつ)剤などを用います。犬を安静にして保温に心がけ、体力を消耗しないように注意することが必要です。

予防方法
まず第一にワクチン接種が必要です。生後2ヶ月前後で1回目のワクチン、生後3ヶ月前後で2回目のワクチンを接種します。母犬の初乳や母乳を飲んでいない子犬に関しては、生後1ヶ月前後でワクチンを接種します。ジステンバーは死亡率の高い大変怖い病気ですが、現在ではワクチンがあるため、十分に予防することが出来ます。しかし、地域によっては散発的に発生しているので注意が必要です。家庭では定期的な消毒として「バイオチャレンジ」がお勧めです。感染している犬は他の犬に移る恐れがあるので、散歩は中止してください。

最後に
予防は飼い主様が気をつけていないと犬は自分では予防できません。定期的なワクチン接種とお散歩から帰ったときなどの日々の管理があなた様の愛犬をジステンバーウイルスから守る方法です。特に動物病院から帰ったときは消毒することをお勧めします。病院の待合室で一緒になったワンちゃんがジステンバーで治療に来ていたとしたら。。。





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