PENTAX MG
PENTAX MG + SMC-M40mmF2.8
勝手にインプレッション
小さく軽くて高性能と言えばペンタックスのお家芸みたいなもので、銀塩末期の名機 MZ-3
やデジタル一眼の *istシリーズ
など、小粒でも良い仕事をするカメラを作らせたら非常にうまい。このMGなどもその流れを汲む一台で、系譜としてはMXの廉価版・MEのさらにコストダウン版にあたる(リリース順から言うとMV-1の後)。
と言っても、大きく変わったところはファインダー倍率が下がった(0.95→0.87)ことと露出補正ダイヤルが省略されたことぐらいで、逆にスクリーンが良くなって交換も可能になったところなどは、むしろMEより進化している。
MGの発売時期は1982年1月である。こんな昔のカメラにどうして興味を持ったかと言うと、当HPの常連さんであり「 Beyoontavox
」の管理人でもあるビヨーン太さんが、 やたらとMXを褒めちぎっていた
ので、なんだか手にとって見たくなったことに端を発する。MXはコンパクトなMシリーズの中でも唯一のマニュアル機であり、使いこなし甲斐のある名機だが、ここで自分までMXを調達してしまうと、ビヨーン太さんの「真似っ子」をしたことがバレバレなので、いくら節操のないエンゾーでもさすがに躊躇した。
そこでMシリーズの兄弟たちについて調べてみたところ、辿り着いたのがこのMGだった。
MGは撮影モードが絞り優先のみという割り切ったカメラである。追針式の名残りで、ファインダーの左側には縦に並んだシャッタースピード表示板を有するが、数値を指し示す針はなく、代わりにLEDが点灯する。スクリーンはMシリーズ中最もよく出来た「クリアーブライトマットスクリーン」で、明るくてピントの山も見やすい。しかも廉価なカメラなのに取り外しが可能なので、ホコリの清掃も簡単に出来てしまう。
シャッタースピードは、この手のカメラの例に漏れず、最高速が1/1000secと、現代のカメラに比較すればかなり遅い。とは言っても、あのライカだって1/1000secで困らないのだから、実用上十分なスペックではある。
PENTAX MG + Meyer-Optik Görlitz Lydith 30mmF3.5(リュディット)
コンパクト一眼のジャンルで、同じ1/1000sec機であるニコンEMあたりと決定的に違うのは、ミラーショックの大きさ。EMが1/125secより遅くなると手ブレの危険性が飛躍的に高くなるのに対し、MGは1/8secでも行けそうなくらいショックが小さい。レリーズ後にミラーが「カタタン!」と暴れる音の質や大きさ自体は両機ともそれほど変わらないのだが、おそらくダンパー回りのコストの掛け方に差があるのだろう。
また、MGは非常に安価なアダプターを介することで、世界中のM42マウントレンズを楽しむことが出来る。まさにM42の母艦としてはうってつけである。
MGに限った話ではないが、この時代の小さな一眼レフは、理屈ではなく使っていて楽しい。メモカメラとしてならAFコンパクトカメラでもいいわけだが、一眼レフやレンジファインダーに慣れてしまうと、AFコンパクトではどうしても「正確なピント位置が分からない」「厳密なフレーミングが出来ない」「シャッターの最高速が遅い」「シャッタースピードが分からない」などという小さなストレスを感じる。
その点、コンパクト一眼はパンケーキレンズを付ければコンパクトカメラに近い感覚で使え、とりあえず1/1000secまでは切れるし、もちろん一眼レフだからピント位置もフレーミングも絞り値も自由自在。しかもライカより軽く小さく、なにより元手が二桁ほど違うので取り扱いに神経を使うこともない(笑)。
巻き上げる、絞る、ピントを合わせるという「操る楽しさ」と、かさばらず気軽に撮れる機動性の高さを兼ね備えたコンパクト一眼レフは、お散歩カメラとしてひとつの終着点かもしれないと思う今日この頃である。
長所
○とにかく小さくて軽い。
○ファインダースクリーンが明るく、ピントの山も掴みやすい。しかも取り外し可能である。
○この種のカメラとしては例外的に、ミラーショックが小さいのでブレにくい。
○アダプターを装着して、M42マウントレンズの母艦として使うと楽しい。
短所
●露出補正ダイヤルがないので、ISO感度ダイヤルで代用するしかないが、やはり面倒。
●絞り優先AE専用機なので、露出計がイカレたら一巻の終わり。
●アイピースがないので、メガネユーザーはレンズに傷が付かないかとちょっと気を使う。
●他に欠点らしい欠点ないなあ・・・
超個人的オススメ度
(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆
偏愛度
(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆
Yahooオークション出現率
(10点満点)
☆☆☆
*意外と出てこない。しかも狙っている人も多いので、けっこう落札価格が上がりやすい。