Leica Minilux(BK)
勝手にインプレッション
ライカ一族に名を連ねるコンパクトカメラである。たかがコンパクトと侮ることなかれ、そこは腐ってもライカ、本家M型を彷彿とさせる素晴らしい描写力の持ち主である。直線で構成されたスッキリしたフォルムは、どこか素性の良さを感じさせる。(ドイツ製ではないが)
搭載されているレンズ「ズマリット40mmF2.4」の描写には文句がない。シャドーがつぶれない豊富な階調、高コントラストながらも落ち着いた発色、よく補正されたディストーション。さらに、AFコンパクトカメラでは非常に珍しい40mmという焦点距離が泣かせる。50mm標準レンズに近いその画角は、ある意味50mmよりもさらに使い勝手が良い。
よく、50mmをさして「一歩前進、一歩後退で、広角的にも望遠的にも撮れる」と言うが、エンゾー的には、スナップカメラとしてならば、むしろ38mmや40mmの方がはるかに潰しが利いて使いやすいと思う。ことに、50mmよりほんの少し広角に寄っているのがなんとも言えずちょうどいい。
それから地味なポイントだが、なんとケーブルレリーズが使えてしまう。ライカの販売店でオプションとして手に入る。三脚とのコンビで、夜景対策になる。実はこれ、ライカ純正ではない。「ユニバーサル電動レリーズスイッチ」という名前で、株式会社ユーエヌ(UN)から発売されている。長さが2種類あり、50cmのものが1600円、100cmが1800円である。
さて、しかし。
レンズ性能に関しては褒めちぎったが、他の部分では、弱点の多いカメラでもある。まず、ストロボ発光モードの切り替えがとても煩雑である。たくさんモードがあるのはいいのだが、いちいち同じボタンを何度も押さなければならず、しかも肝心の不発光のモードが、一番最後に回ってくる。
さらに、電源を切るとすべてのモードが初期設定に戻ってしまうので、また最初からやり直しとなる。うっかり忘れるとストロボを発光させてしまい、その度に一カット無駄にすることになるので、これはちょっとしたストレスである。
ファインダー倍率の低さも頂けない。井戸の底を覗くがごとき小ささだ。高価なカメラなのに、なにゆえ見え味に気を使わなかったのか。また、最短撮影距離が70cmと遠く、寄れないのはかなり痛い。ちょっとしたテーブルフォトにも苦労する。
さらに、このカメラの持病として、不意に見舞われる原因不明のエラーが挙げられる。これが発症すると、液晶にエラーコードが点灯し、一切の操作を受け付けなくなる。こうなると厄介で、ドイツ本国送りになって長期入院コースになる上、修理代も非常に高額だ。これに泣いたユーザーは結構多い。
一旦は製造中止になったが、ファンの復活を望む声が多かったようで、ちょっと変則的ではあるが、蛇皮張りの「DBエクスクルーシヴ」というプレミアムモデルとして一時的に復活した。
色々不満を並べ立てたが、それもこれも写りが良くてたくさん使いたいが故のこと、真面目に作られた立派なライカの一員であることに変りはないのであった。
(追加情報:2004.9.26)
ミニルックスの後継機種が発売される事になった。その名も「ライカCM」。
兄弟機のミニルックスズームがあいまいなコンセプトのカメラだったので、ミニルックスの正常進化版が登場したのは嬉しい。容積比で、従来より18%も小型化された。
搭載レンズは、ミニルックスと同じズマリット40mmF2.4。AFはパッシブに変り、シャッタースピードは1/1000に高速化、しかも外付け用のホットシューまで付いた。
(ライカCM。ブラックモデルがラインナップされないかな…出るんだろうな、きっと)
長所
○ズマリット40mmF2.4の描写は文句なく良い。
○コンパクトカメラなのにレリーズが付けられる。三脚にセットすれば、夜景も撮れる。
○焦点距離40mmという画角は、コンパクトでは唯一無二。使える!これとGR21で
「コンパクト二刀流」なんてことを考えると、わくわくする。
○ライカだから威張りが利く。 ←結局そこか。
短所
●最短撮影距離が70cmは、ちょっとキツイ。テーブルの上の料理もUPで撮れない。
●被写体が豆粒のようにしか見えないファインダー。
●意外とヤワな外装。傷が付きやすい。ファインダーの上のプラスチックは、経年で加水分解しベトついてくる。
●露出補正がしにくい。ストロボモード切替も×。操作性全般に問題あり。
超個人的オススメ度
(10点満点)
☆☆☆
偏愛度
(10点満点)
☆☆☆☆☆
Yahooオークション出現率
(10点満点)
☆☆
*黒は激レア。シルバーは良く出ます。故障のリスクが付きまとう。