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インド滞在記1
ENZZO IN INDIA(1)
EOS7 SIGMA AF17-35mmF2.8-4EX HSM フジカラースペリアビーナス400(チェンナイ)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
インドの女性は、今も昔もサリーを愛用している。ボンベイやニューデリーのような大都市圏ならともかく、地方都市で普段着に洋装をしている人はほとんどいない。
町中どこにでもいる黄色い三輪車は、有名な「リキシャー」だ。一応メーターもついているのだが、滞在中に何度か利用して、そのメーターが倒されるところを見る事は、ついに一度もなかった。すべて、乗る前の「熾烈な」交渉で運賃が決まる。日本人と見ると、大抵はものすごい金額を吹っかけてくる・・・。
EOS7 SIGMA AF28-70mmF2.8EX DF フジカラースペリアビーナス400(チェンナイ)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
チェンナイ駅(かつてのマドラス駅。植民地時代の呼称は嫌われる傾向にあり、最近は各地で変わっている)では、赤い服を着た専業のポーターが、先を争って荷物を運ぼうと詰め掛ける。重い旅行かばんを二つも頭の上に載せて、器用にバランスをとりながら、列車まで運んでくれた。
実は、彼らはタクシーの運ちゃんとコンビを組んでおり、列車がホームに入ってくると、まだ列車が完全に停まらないうちから飛び乗ってきてお客を見つけ、勝手に荷物を相棒のタクシーまで運んでいこうとする。
ちなみに、もしポーターが客との価格交渉に負けても、その分タクシーの運ちゃんが取り返す仕組みになっている。まったく油断も隙も無い。
EOS7 SIGMA AF28-70mmF2.8EX DF フジカラースペリアビーナス400(チェンナイ)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
インドでまず最初に驚くのは、恐るべき「交通ルールのなさ」だ。対向車線にはみ出すなんてのは当たり前、とにかく前の車を抜くことしか考えていない。大げさでなく、10秒に1回はクラクションを鳴らす。そのため、インドで一番の消耗品は、クラクションのホーンなのである。(当然、交通事故は日常的に起こっている)
「インド人は、みんなノールール、ノーモラルだ。
俺以外は
」
インドのドライバーは、みんな口を揃えてそう言う。
EOS7 SIGMA AF17-35mmF2.8EX HSM フジカラースペリアビーナス400(セーラム)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
町にはヒンズー教の寺院がいくつも点在し、休日ともなると、朝早くから信仰心の篤い人々が大勢参拝に訪れる。山の上のような見晴らしの良いところにある場合も多く、そういうところは、ひそかにデートスポットとして利用されていたりもする。
ただし、インドでは未だに99%くらいが見合い結婚だ。年頃になると、両親が密かに結婚相手を探し、二人の「星の相性」がいいかどうかを占いによって徹底的に調査し、最終的な相手を決める。日本ではちょっと考えられないような風習であるが・・・
EOS7 EF75-300mmF4-5.6IS USM フジカラースペリアビーナス400(セーラム)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
インドでは、通称「インド時間」というものが流れている。とにかく、物事が時間通りに進むことはほとんどなく、アポイントを取った時間に相手を訪ねると、旅行に行っていた…なんてことも普通に起こりうる。
セーラム駅で16:00発チェンナイ行きの列車を待っていたところ、実際に列車が到着したのは17:30だった。もちろん、それで文句を言う人は一人もいない。
EOS7 SIGMA AF17-35mmF2.8EX HSM フジカラースペリアビーナス400(セーラム)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
南インドの地方都市セーラムは、マンゴーの生産地として有名なところ。特に、最高級マンゴーとして名高い「アルフォンソマンゴー」は、農家の重要な収入源になっている。
残念なことに、わたしが訪れた年はインド全土が数十年ぶりという干ばつに見舞われていて、川や池はすべて干上がり、農場では政府が給付する「自殺者保障」目当ての自殺が後を絶たず、深刻な社会問題に発展していた…。
EOS7 SIGMA AF28-70mmF2.8EX DF フジカラースペリアビーナス400(ヤーカード)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
ヤーカードは、40年ほど前にイギリス人入植者たちの手によって開発された、インドとしては珍しい高地リゾートである。セーラム市内から車を飛ばすこと1時間半、一気に標高1200mまで登りつめると、気温は10℃も下がり、インドとは思えないほど涼しくなる。
ヤーカードにはキリスト教の「聖女」が祀られていて、その展望台「レディース・シート」は観光名所として、多くのインド人が訪れるスポットになっている。もっとも、集団で観光に来ていた女学生たちは、聖女よりもデジカメの方に興味津々のようだった。
EOS7 SIGMA AF28-70mmF2.8EX DF フジカラースペリアビーナス400(ヤーカード)
Copyright(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
ヤーカードで不思議だったことといえば、とにかくすごい山奥で、標高もそこそこ高く、なにより途中に電信柱すら立っていないような場所であったにもかかわらず、どこにいても携帯電話がつながったこと。インドではノキアがスタンダードだが、非常にコンパクトな外見に似合わず、同行してくれた現地の社長さんのノキアは、終始鳴りっぱなしだった。どういうシステムになっているんだろう?おそらく電磁波が強力なのだろう。
EOS7 SIGMA AF28-70mmF2.8EX DF フジカラースペリア100(フィッシャーマンズコーヴ)
(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
インドでは、現地の人でも水道水はほとんど飲まない。レストランに行くと、メニューとは別に、まずミネラルウォーターを注文するところから始まる。5年ほど前から、あのペプシがインドで売り始めた「AQUAFINA」という名前のミネラルウォーターが大流行で、滞在期間中、どこに行ってもこれしか出てこなかった。
ちなみに後日談だが、この写真を撮ったチェンナイ近郊の海浜リゾート地「フィッシャーマンズ・コーヴ」は、エンゾーの滞在から半年後、スマトラ沖地震による津波で壊滅的な打撃を受けた。
Nikon 35Ti フジクロームプロビア100F(セーラム)
(c)2004 ENZZO, All Rights Reserved.
ヒンズー教のなかでも主神クラスであるシヴァ神の乗り物は、「ナンディー」と呼ばれる牛の姿をした聖獣である。当然、ヒンズー教徒は牛を食さない。なので、インドの牛は非常にのびのびと暮らしており、「野良牛」が町の至る所にいて、生ゴミを漁っている。
セーラム駅で列車を待っていると、どこからともなく牛がやってきて、ホームをうろつき始めた。地面に置いてある荷物に鼻先を突っ込んだり、手洗い場に水を飲みに行ったりと、やりたい放題。それでも、待合客はさほど気に留める風でもなく、好きにさせている。
しばらく遊んだ後、聖なる乗り物氏は気が済んだのか、再びいずこへともなく去って行った。
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