「バラモンよ、侮辱する人に侮辱を返す人、
怒る人に怒りを返す人、
喧嘩を売る人の喧嘩を買う人。
侮辱はその人のものになる。
怒りはその人のものになる。
喧嘩もその人のものになる。」
(『パーリ語大蔵経相応部有偈篇婆羅門相応2』より)
お釈迦様の教えは、侮辱されても、怒りをぶつけられても、喧嘩を売られても、これに応えてはならないということです。応えれば、侮辱・怒り・喧嘩は自らのものとなり、自らの心が汚れ、相手との間の邪悪な炎はますます燃えさかることになるからです。反対に応えなければ、言うだけ言った相手の邪悪な炎はエネルギーを失ってやがて消え去るのです。相手の心にある邪悪なものを消すのを助け、自らの心も汚さない。これが仏教の、いや人の道だという教えです。
この言葉は、友のバラモンがお釈迦様に帰依し出家してしまったことにバラモン教の面目を潰されたと怒ったバラモンが、お釈迦様に悪口雑言を浴びせかけたときのものです。お釈迦様はバラモンが怒りと誹謗中傷の言葉を発している間は、ただ黙っているだけでした。バラモンは一方的に怒りをぶつけてもお釈迦様が応えないので肩すかしをくって言葉を止めます。
お釈迦様は、怒りには応えず「あなたはどう思いますか? 自分の家にお客さんが来たとき、毎回ではないかもしれませんが、ご馳走したりすることがありますね?」と、問いかけます。バラモンは怒り収まらず「それが何か?」 お釈迦様は続けて「もし、たくさんご馳走を作ったのにお客さんが来なかったら、その食事をどうしますか?」と質問を重ねます。
バラモンが「ご馳走なので、私と家内と子供達で食べます」と答えると、
お釈迦様は「いま、あなたは私に誹謗中傷・非難・侮辱などの接待をしましたが、残念ながら私はそれを受け取りません。ですから、自ずとその誹謗中傷・非難・侮辱は、あなたと、奥さんと、子供達で受けることになります」。バラモンは自らの愚かさを知り出家しました。
引用・参考:『ブッダのユーモア活性術』A.スマナサーラ著 サンガ新書
南伝仏教のパーリ語大蔵経に残された機知に富んだお釈迦様の対話が、分かりやすく、面白く解説されています。現世を生きる者のために幸せになる道を説いたお釈迦様の初期仏教が2500年の時空を超えて活き活きと蘇ります。夏休みの読書にお奨めします。
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