そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

そうだ坊主になろう!~ヒロ伊藤流仏弟子修行

2008年08月03日
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「バラモンよ、侮辱する人に侮辱を返す人、

 怒る人に怒りを返す人、

 喧嘩を売る人の喧嘩を買う人。

 侮辱はその人のものになる。

 怒りはその人のものになる。

 喧嘩もその人のものになる。」


(『パーリ語大蔵経相応部有偈篇婆羅門相応2』より)

お釈迦様の教えは、侮辱されても、怒りをぶつけられても、喧嘩を売られても、これに応えてはならないということです。応えれば、侮辱・怒り・喧嘩は自らのものとなり、自らの心が汚れ、相手との間の邪悪な炎はますます燃えさかることになるからです。反対に応えなければ、言うだけ言った相手の邪悪な炎はエネルギーを失ってやがて消え去るのです。相手の心にある邪悪なものを消すのを助け、自らの心も汚さない。これが仏教の、いや人の道だという教えです。

この言葉は、友のバラモンがお釈迦様に帰依し出家してしまったことにバラモン教の面目を潰されたと怒ったバラモンが、お釈迦様に悪口雑言を浴びせかけたときのものです。お釈迦様はバラモンが怒りと誹謗中傷の言葉を発している間は、ただ黙っているだけでした。バラモンは一方的に怒りをぶつけてもお釈迦様が応えないので肩すかしをくって言葉を止めます。

お釈迦様は、怒りには応えず「あなたはどう思いますか? 自分の家にお客さんが来たとき、毎回ではないかもしれませんが、ご馳走したりすることがありますね?」と、問いかけます。バラモンは怒り収まらず「それが何か?」 お釈迦様は続けて「もし、たくさんご馳走を作ったのにお客さんが来なかったら、その食事をどうしますか?」と質問を重ねます。

バラモンが「ご馳走なので、私と家内と子供達で食べます」と答えると、
お釈迦様は「いま、あなたは私に誹謗中傷・非難・侮辱などの接待をしましたが、残念ながら私はそれを受け取りません。ですから、自ずとその誹謗中傷・非難・侮辱は、あなたと、奥さんと、子供達で受けることになります」。バラモンは自らの愚かさを知り出家しました。

引用・参考:『ブッダのユーモア活性術』A.スマナサーラ著 サンガ新書

南伝仏教のパーリ語大蔵経に残された機知に富んだお釈迦様の対話が、分かりやすく、面白く解説されています。現世を生きる者のために幸せになる道を説いたお釈迦様の初期仏教が2500年の時空を超えて活き活きと蘇ります。夏休みの読書にお奨めします。

ブッダのユーモア活性術

ナムブッダ! 合掌 観学院称徳






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最終更新日  2008年08月05日 16時34分58秒
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確か、キリスト教では・・・  
「左の頬をぶたれたら、右の頬を・・・」という言葉があったような気がします(左右の順番は忘れました)。

これと、真理は同じでしょうか。もし、同じだとすれば、宗教は違えども、目指す真理は一ということかもしれないと、勝手に一人で理解しました。

最近、記事で知ったばかりの、「多即一、一即多」という、仏教の言葉(らしい・・・)を思い出します。残念ながら、意味はよく分かりませんけど。 (2008年08月03日 15時42分26秒)

Re:世界宗教の普遍性と華厳経  
ヒロ伊藤  さん
はっとりしょういちさん
>「左の頬をぶたれたら、右の頬を・・・」という言葉があったような気がします(左右の順番は忘れました)。
>これと、真理は同じでしょうか。もし、同じだとすれば、宗教は違えども、目指す真理は一ということかもしれないと、勝手に一人で理解しました。

→拙僧もそう思います。世界宗教となった宗教はどれもその根本に人類共通の普遍性を持っていると。

>最近、記事で知ったばかりの、「多即一、一即多」という、仏教の言葉(らしい・・・)を思い出します。残念ながら、意味はよく分かりませんけど。

→「多即一、一即多」は、華厳経の重要な思想のひとつです。一切衆生はもちろん山川草木に至るまで全てに仏性があるとする如来蔵と表裏一体のものです。毛穴一つ一つにも仏がいて、全ては宇宙普遍の真理そのものである毘留遮那仏(大日如来)とつながり、一体のものである。逆に言えば全てのものは毘留遮那仏の現れであると言うことでもあります。華厳経は、拙僧の好きなお経の一つです。
お釈迦様の縁起論を、ミクロな素粒子の世界からマクロな大宇宙までも包含する大統一理論へと飛躍させました。華厳経の仏の世界は密教へと発展し、曼荼羅で表されています。 (2008年08月04日 23時54分03秒)

Re[1]:世界宗教の普遍性と華厳経(08/03)  
ヒロ伊藤師

>→「多即一、一即多」は、華厳経の重要な思想のひとつです。一切衆生はもちろん山川草木に至るまで全てに仏性があるとする如来蔵と表裏一体のものです。毛穴一つ一つにも仏がいて、全ては宇宙普遍の真理そのものである毘留遮那仏(大日如来)とつながり、一体のものである。逆に言えば全てのものは毘留遮那仏の現れであると言うことでもあります。華厳経は、拙僧の好きなお経の一つです。
>お釈迦様の縁起論を、ミクロな素粒子の世界からマクロな大宇宙までも包含する大統一理論へと飛躍させました。華厳経の仏の世界は密教へと発展し、曼荼羅で表されています。
-----

和尚様。恐れ入りましてございます。全く分かりません。極楽浄土へは、行けそうにありません・・・。 (2008年08月05日 21時57分03秒)

他人ならね・・・  
仏陀ではない人 さん
恋人や夫婦、親友なら、相手の怒りを買うことも関わり方のひとつと思う。
そゆ感情に付き合うことも愛情と思う。
一般てき漠然とした怒りや憤慨なら受け流しやり過ごすのも手段でしょう。

より近い、大切で必要な存在の相手であれば
その相手が抱く感情に向き合わないのは最も傷つける卑怯な行為ではないかしら?
ケースバイケースではあるが・・・
だからこそ、怒りの収拾や感情の処理に悩むのでは?
(2011年06月20日 07時49分58秒)

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