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私は生まれ付き神経がちょっとばかしアレで、満員電車や狭い密室になるエレベーターに乗れなかったり、真冬でも滝のような汗を流したり、おそらくはっきりと自律神経失調症だった。
それに加え発病し、いわば神経が狂っていた。
皮肉なことに、ピアノを弾くにはもってこいだった。
冷静沈着な者にピアノなんて弾けない。
朝から晩までジャンジャン鳴り響くピアノと共に過ごし、気が触れたような興奮状態が常に保たれ、そういうハイの時にはめちゃくちゃ上手く弾ける。
そして薬物が切れたようにぐったりと疲れ切って気分がどん底まで落ち込むと、発作的に死にたくなる。
そんな激しい感情の波を繰り返す日々が当たり前だったが、おかげさまで今はその
“
冷静沈着な者
”
に成り下がった。
いや、言い方が良くないな。
それを目指して自分をそうさせた。
私はもうピアノは弾けない。
いや、弾かない。
なぜなら神経が変わったから。
今はあの時のような神経の状態には微塵も戻りたくないと思う。
ここまで来るのにどれだけ努力したことか。
得たものはもちろんあった。
それ以上に失ったものもあった。
どちらを選ぶかって?
そりゃあもちろん今の神経に決まってる。
のらりくらりとした曲を弾けばって?
それは以前弾いていたような曲より格がぐんと下がるってことを認めるということ。
過去の栄光は時に足枷となるが、過去の栄光としてそっと胸に秘めておこうではないか。
今更わざわざほじくり返すこともなかろう。
昔の私はもういない。
神経は人格をも変える。
今はこの今という瞬間を今の私と共に生きているのだから、これから先の人生はこの今の私で歩みたい。
今年で発病して
15
年。
26 歳で人生の第二章が始まったと思ったが、心も身体も思考も、何もかも、私を取り巻くすべてのことが大きく変わりました。
0歳26歳41歳?歳 2022/12/31
古きに還る 2022/12/30
〆ました。 2022/12/28