暗くなりがちな内容を、所々ユーモアを交えて、観客を飽きさせないでグイグイと映画の中に引き込んでいった。
庄内平野の四季や白鳥、主人公の奏でるチェロの音色が、映画の幅を広げている。
納棺師という、ちょっと引いてしまいそうな職業を通して、様々な家族を描いていく。そして、其処に家族の愛情の深さを見いだすのである。
主人公も最初は嫌々こなしているが、そのうちに自分の仕事に誇りを持つようになる。ところが、妻や友人はその職業を続けることを反対する。
その友人も、自分の母親の死に際して、主人公に感謝することになる。妻もそれを見て感銘を受ける。
しかし、我々が葬儀屋とか納棺師という職業に対して、本当に素直な心を持つのは、やはり自分の近しい人を失ったときだと思う。
私自身、そういう職業の人達に感謝の気持ちを持ったのは、母の死の時が初めてだった。それまでは、自分には関係ない人達という思いだった。
この映画を観た後、ちょっと優しい気持ちになれたような気がする。