日々、考察中。

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癌!

癌!

2003/8/27
 会社の同期の女の子が癌で死んだ。
 僕と同期の女性を指して"女の子"と表現するのはどうかとも思うが、僕の中では彼女はいまだに女の子だ。なにせ、最後に会ったのは6,7年前になる。彼女が会社を辞めたのもそのころのはずだ。
 亡くなったTさんは、僕の友人と同郷だった。それが理由で知り合いになったわけではない。同じ敷地内にある男子寮と女子寮にそれぞれ住んでいて、同期なら知り合うのも当然というのは言いすぎだろうか。呑み会やキャンプやバーベキューで何度となくいっしょになった事があった。いろいろな現場を転々とする僕の仕事のおかげで、職場でも顔を合わせることがあった。おばさん的な口調と、くりっとした大きな目が印象的な女の子だった。
 5年程前に子供が生まれたと言う話はどこからともなく聞いていた。
 ただ、そのときに癌が発見されていたなんて事はまったく知らなかった。彼女は5年間、何を思って、何を考えて過ごしたのだろう。告知されていたのだろうか。
 僕にはそんな状況は想像すら出来ない。どんな精神状態に陥るのだろう。残すことになる家族に対してどんな思いを抱くことになるのだろう。何か僕に出来ることは無かったのかなどという思いは無い。それは、僕が思うべきことではないと思うからだ。ただ、単純に悲しい。友人がこの世からいなくなってしまったことに対する悲しさがあるだけだ。

 僕の祖父は肝臓癌で亡くなっている。
 中学2年のときだ。なくなった当日が遠足だったので、よく覚えている。遠足前夜、僕と弟を残して両親と祖母は病院へ行った。家を出たのは夕方過ぎごろだっただろうか。夕食を食べた僕たちに、父親は言った。
「おじいさんが危ないから、病院へ行く。今日は2階で寝ろ。明日は遠足に行け。」
僕と弟は、いつもの就寝時間に、いつもと同じでない場所で布団に入った。2階のその部屋は祖父が使っていた部屋だった。
 何時だか分からないが、階段を誰かが昇ってくる気配を感じて目覚めた。僕と弟の眠っている部屋のガラスの引き戸の前で、その気配は止まった。そして、消えた。次の瞬間、急に玄関から人が入ってきて家の中が騒がしくなった。両親と祖母が帰ってきたのかと思ったら、ほかの人もたくさんいた。親戚の人たちだった。祖父が亡くなったことを教えられ、寝ていなさいと言われた。ぐっすり寝ている弟の横で布団に入って、祖父のことを考えた。さっき階段を昇ってきたのは、多分祖父だったのだろう。そして僕は、知らないうちに眠っていた。

 癌というものがどういうものであるのか、詳しくは知らない。
 ただ、僕からいろいろなものを奪っていく悪者であることは間違いがないようだ。
 Tさんは何年も会っていない僕に会いに来てくれるだろうか。祖父の時のように。




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