月浮かぶそら、輝くひかり。 -静かな夜空の小さなトモシビ。

第十八章-微笑-



教室に入った時、一番に目に付いたのは小日向さんだった。
『小日向さん、おはよー』
・・・朝からハモったが気にしない。
「・・・おはよう」
小日向さんがこちらを向き、少し微笑みながら答えた。少し、ぎこちない笑みだったけれど。
「あ、小日向さん笑ったー!」
春香はその一瞬を見逃さず、はしゃいだ。
「・・・?」
小日向さんは不思議そうに首をかしげる。ちょっと、かわいいかも・・・。
「あー、気にしないで、こいつ時々おかしい時あるから」
僕はわざと呆れたような声で言う。
「ちょ、司!ひどいっ!」
少々傷ついたようで、目をウルウルさせながら反論する。
「・・・ほんと、二人は中がいいんだね?」
今度は、なんのぎこちなさもなく、微笑んだ。

なんか、小日向さん見てると落ち着くなぁ・・・。
そんなこと、春香にいったら怒られるかな?なんて。

一人でそんなことを考えていたせいで、少しニヤけてしまっていたようだ。
「司?何ニヤニヤしてるの?気持ち悪いよ?」
「なっ!小日向さんが笑ってくれたから笑ったんだっ」
苦し紛れに適当に言ったせいか、春香はあまり納得していないようだ。
「ほんとにぃ?変な司ー」
「なんだよー、僕を疑うのかよー?」
「疑う~♪」

そんなやり取りを延々と続け、本鈴が新しい一日が始まりの音を告げる。


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