月浮かぶそら、輝くひかり。 -静かな夜空の小さなトモシビ。

act.2-four- 属性検査~アライアン編~



ルイスの声と同時に、アライアンは教卓の前で立ち止まる。

「もう魔力流しても」

ルイスに質問しつつ、魔法球に手をかざす。

「ああ。ほんの少しで構わん。無駄に魔力を消費する必要はないからな」

「わかりました」

そういうと同時にアライアンの手が光りだし、魔法球に魔力が注がれる。

ポウッと、アライアンの魔力に反応した魔法球が薄く光を放ち、魔法球の中心部にあった球体が螺旋状に渦巻き始め、やがて色を変えながら魔法球全体に広がってゆく。変色した魔法球の色は──『黒』。黒は闇属性を表す。

「ほぅ……すごいな」

ルイスは魔法球の色を見ると、感嘆の声を上げる。

「独学なので、まだあまり使いこなせていないんですけどね」

ははっと照れ隠しに小さく笑う。

「そうか……。まぁ、学園で学べば今とは比べ物にならないくらい強くなれるだろう」

「ええ、足手まといにならないように頑張ります」

そう言い残し、アライアンは教卓から離れ、シンク達の元へ行く。

「次、2番~」

アライアンの後ろから、面倒くさそうな声があがり、2番の生徒が教卓へと向かう。


「おかえり、どうだった?」

アライアンが戻ってきたのを確認し、リンは問いかける。

「自分の知ってるのと同じだったよ。闇属性」

「ふぅん……闇でBランク止まりなんだ。珍しいねぇ」

「独学だからね。まだ中級程度しか使えないんだよ」

「……」

リンとアライアンは属性の話で盛り上がっていたが、シンクは話についていけていない……というより、話す気がないようだ。

「そういえば、シンクって何属性?」

と、話に入ってこないシンクにリンが問いかける。が、

「次ー、11番ー」

と、タイミング悪くルイスに呼ばれてしまい、仕方なく席を離れることになった。

「あー……行ってくる」

少々面倒くさげな顔をしながらも、腰を上げ、教卓へと歩き始める。

「いってらっしゃい」

「……」

今度はアライアンが言葉で送り、シンクはアライアンと同じ時の態度で見送った。


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