利己的な遺伝子


   「利己的な遺伝子」 vs 「ガイアの理論」


<利己的な遺伝子>

遺伝子の目的は、自分のコピーをいかに多く作り出すか、に尽きる。

生物は、自分の「種」を保存するための情報を、遺伝子を通じて
子孫に伝える。
困難な環境の中で、どうすればうまく生きていけるか、という
情報が詰まった DNA 遺伝子を、親から子へ伝えていく。

その情報の伝わり方は、実は、ちょっと不完全だ。

時々、間違った情報が子に伝わることで、逆に親よりも環境に
適応しやすくなってしまうことがある。
そして、そんな偶然の「伝達ミス」によって親よりも「優秀」に
なった遺伝子は、より生き残る確率が高くなる。
反対に、親よりも「劣った」遺伝子が伝えられた子は、環境に
負けて消えていく。
そうして生き残った「優秀」な遺伝子の情報だけが、さらに
子から孫へと伝えられる。

やがて、強い遺伝子を持った種が、弱い遺伝子の種を駆逐していく。

生物同士が、一見すると助け合っているように見えても、
それは自分が生き残るための最善の行動を、遺伝子が命令して
いるに過ぎない。




ダーウィンやドーキンスが教えてくれたのは、
こんなシビアな「自然淘汰」という世界観だった。

そして、多くの人が思った。
世の中って、そんなにギスギスしてたっけ、、、
この世界は、もっとあったかくて、住み心地のいいところ
だと思ってたんだけどな。。。

そこで登場したのが、ガイア理論だった。




<ガイア理論>

生物は、環境に適応しようと努力しているだけではない。
自らの生存にとって最適な環境を作り出すために、
生物の方からも環境をコントロールしているのだ。

人間は、部屋が汚れてくると、掃除をする。
それと同じように、熱帯雨林の木々は、空気が汚れてくると
頑張っていつもより多くの水を吸い、水蒸気を発散させて、
より多くの雨を降らせようとする。

シマウマたちは、緑が少なくなった場所では最後まで草を
食べ尽くさず、より緑が多いところにいったん移動する。
そして、草がまた復活してきた頃に同じ場所に戻ってくる。
草を食べ尽くして砂漠化してしまうと、自分達も滅びてしまう
ことを遺伝子が知っているからだ。

人間の体の1つ1つの細胞や組織、器官は、お互いが必死に血液や
栄養分を奪い合いながらも、結局は「人」という1個の生き物を
生きながらえさせるために、お互いを助け合っている。
それと同じように、地球全体の生物が、お互いに競争し、同時に
共存しながら、それぞれの種を存続させている。




競争 vs 共存、 利己 vs 利他、 敵意 vs 愛、 、、、

人間も「利己的な遺伝子」をもった生物の1つなのかもしれない。

他人を助けていかないと、自分や子孫がやがて滅んでしまう。
だから、助け合う。

それでいいんじゃないかな、と思う。

"One good turn deserves another."

世界を嫌いになって生きるよりも、世界を好きになって生きる方が、
生きやすい。人を憎むよりも、人を愛した方が、生き残りやすい。

人間の小さな遺伝子には、そんなメッセージがぎっしり詰まっている。






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