おいろーぱ野郎

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2006.08.15
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カテゴリ: das Thema
 緑に塗られた胴体に日本語で「無料」と書かれた電車のようなトロリーバスをホテルから100mほど出た停留所で待つ。気温は95Fといった所か、陽射しのわりにはそう暑くない。
 近く遠く、周り一面に美しく列をなして植わった椰子の木々の向こう側には、人の気配がしないゴルフコースが並び、それらを裾野に侍らせた禿山が青空を背後に鎮座している。

 時間にルーズな土地柄だと念を押されてはみたが、巡回バスは概ね定刻にやって来た。
 ステップに足を掛け乗り込むと、70歳位の運転手さんから 日本人か と訊かれる。

 「ワタシはサンセイ。でもまだニホンにいったことはないです。ニホンゴガッコウではまだイチネンセイ。」

 イントネーションはともかく、淀みのない日本語は自分の英語もどきよりもはるかに美しい。
「日本語、お上手ですね。」と感心して言う。

 間髪入れず、返される。
「ウソはゼンブわかるよ。」


 地中海やアフリカの北西とはえらい違いだ。日本の南方と比べても、沖縄の久米島では熱帯魚が浅瀬をうようよしていた。
 海亀がくる岩場だとはいうが、そう簡単に姿を見せないだろう。見知らぬヒトに接触して、良いことのあるわけがない。

 リゾートホテルが並ぶ浜辺から見晴らす海のむこうには二つの巨大な島が山頂に雲をたなびかせ浮かんでいる。
 水平線に同化した雲のまとまりの中に夕陽が落ち、島の上空で糸のような三日月が輝きはじめる頃、紫色に霞むふたつの島影は神秘的な力でこちらを圧する。
 夜が訪れると、地平線に近づいた北極星を廻る星座がくっきりと現れ、頭上を薄雲のような天の川が蛇行する。

 椰子の実とパイナップル。サトウキビと極楽鳥。
 精霊を祀る木の柱と木彫りの人形。
 花をまとい踊る女性たちと勇猛な戦士達。
 隣島の王からの挑戦。カヌーと海亀。

 様々な想像が観光客の期待を膨らますが、それらはすでに大過去でしかない。



 移り変わる人間達の営みのそばにある、変わらぬ海と大地と空。


 Maui島からHonolulu空港で乗換え、日本ヘ向う飛行機はミッドウエー諸島上空を通過する。20分前の機長の予告がタイミングを逃したのかもしれないが、わざわざそのために緊急脱出用小窓付近に佇んでいるのは自分だけのようだ。

 雲と深い青しかない景色の中、じっと待つと、窓枠の周縁から薄青く丸い、透明な平板のようなものが洋上ににじり出てくる。その全体をみれば、太陽の直射を受けた小さな小さな島を囲む広い浅瀬が、青い海の上に薄緑がかった円弧のコントラストをつけているのだと判る。

 子供の頃、庭先に置いた天体望遠鏡の接眼鏡の視界に初めて入った月の表面を見た時の恐怖に似た驚き。それを思い出させる自然の姿を、青い空から覗き込み、暫く息を呑む。
 人知の及ぶ果てに隠された神のデザインに突如肉薄するとき、人間は本能的に硬直するのか。大海原のなかに浮かぶ薄青い鉱石のかけらのような巨大な物体、いや、海から顔を覗かせそうな地球の表面がそこにある。




 双方合わせて3000を越す人命が絶たれ、何十万tもの鉄塊が海底に没し、青空に散華した鉄片が波間に消えた。それらが形作っていた機械の群れは蒼い海面に醜悪な重油のシミを撒き散らしたのだろうが、漂流する怨恨の痕跡はもはや何もない。代わりに、死を賭した過去の狂騒の舞台から遥か上空を飛行する文明の中で、お茶を片手に穏やかに語らう人々の姿がここにある。

 昔話は忘れ去られ、誕生から死への道行を繰り返しながら、人もまた変わリ続ける。
 わずか半世紀前の出来事を昔話にするのはなんとも気が早いと感じる半面、忘却することが人のもつ性質であるからには止むを得ない。
 ただ、そのさだめをどう受け止めるかは、人々の意識次第と言えるだろう。

 数多の犠牲者の上に築かれた、物質的には豊か過ぎる生活を 仏前に祈りながら噛みしめる世代と、人から賜った豊穣をそのままに受け入れていいのか 少しは悩む世代。
 その後にくる世代にこの迷いが受け継がれるような仕組みが今の日本国で機能していると思えない。
そんなものは、日々薄味を増していく便利第一の快適社会にとって 盲腸のようなものでしかないのだろう。

 共に敗れ、解体された第三帝国で、穢れを胸に深く刻み やり直した人々の多くは そこまで軽薄ではなく、彼らに固有の迷いは傍目にmasochisticに映るほど受け継がれている。これも彼我の品位の差が露呈される一面かと思うと、やり切れない。


 虎が死して皮を残しても、その皮とていつの日にかは大地に還る。
それが何であったのか、今を生きる人々の目には形をとどめなくなった、その後に。







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Last updated  2006.09.15 03:32:38
コメント(6) | コメントを書く


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あまり小説は読まない  
cozycoach  さん
僕ですが、好きな作家に古井由吉がいます。彼が景観を叙述する時のやり方が割りと好きでいくつか読みました。例えば、「木曜日に」の冒頭ですが、「鈍色にけぶる西の中空から、ひとすじの山稜が遠い入江のように浮かび上がり、御越山の頂を雷が越しきったと山麓の人々が眺めあう時、まだ雨雲の濃くわだかまる山ぶところの奥深く、幾重もの山ひだにつつまれて眠るあの渓間でも、夕立ち上りはそれと知られた」というな感じです。彼を髣髴とさせる文章のように感じました。内容的には、日独両国で生活されたjawsさんが言うのだから、やはりそうなんでしょうね。「日本とドイツ二つの戦後思想」という光文社新書がありますが、興味深い日独の比較でした。 (2006.09.04 05:00:15)

Re:あまり小説は読まない(08/15)  
JAWS49  さん
cozycoachさん、
一応お褒め頂いているのだと思いますので感謝しますが、ここで雑文を書く理由の一つは一種の自己セラピーのようなものでして、いうなれば王様の耳はロバの耳と叫んで自分のために安堵するためです。
 従いまして無知が文章から浮き上がっているのをどうすることもできないまま、ストレス解消気分の赴くままに書いており、お恥ずかしい限りです。

>僕ですが、好きな作家に古井由吉がいます。彼が景観を叙述する時のやり方が割りと好きでいくつか読みました。

 この方、ドイツ文学の翻訳もされているんですね。むう。

>例えば、「木曜日に」の冒頭ですが、「鈍色にけぶる西の中空から、ひとすじの山稜が遠い入江のように浮かび上がり、御越山の頂を雷が越しきったと山麓の人々が眺めあう時、まだ雨雲の濃くわだかまる山ぶところの奥深く、幾重もの山ひだにつつまれて眠るあの渓間でも、夕立ち上りはそれと知られた」というな感じです。

 なかなか濃厚な言い回しですね。無教養のため真似すらできませんが、確かにベクトルは合ってそうです(=ゲルマン的メルヘンを目指している?)

>彼を髣髴とさせる文章のように感じました。内容的には、日独両国で生活されたjawsさんが言うのだから、やはりそうなんでしょうね。「日本とドイツ二つの戦後思想」という光文社新書がありますが、興味深い日独の比較でした。

 敢えてこのLogに混ぜなかったのですが、最近白洲次郎のBlogっぽい著書を読みました。そのせいもあり、改めて終戦直後の日本と現在の近さを感じ、考えさせられることが多いこの頃です。
 靖国の話もそうですが、倭が国の国民意識(=為政者を含む)というのはいつの時代もこうだ、と諦めるのが少ないストレスで日々を送る決め手なんでしょうかねぇ。
(2006.09.06 00:46:11)

私は  
ももにゃき  さん
ハワイにいくと、日系ハワイ人にみえるらしくフツーに現地の人に話しかけられ、しかも日本でもやけにお年寄りに話しかけられやすいため、ハワイでは日系お年寄りに どこ住んでなさるの?みたいにしょっちゅう話しかけられます。
 で、広島から来た観光客だというと、まあ、広島出身のかたの多いこと!昔話に始まり、今広島のあそこはどうなってるのやらなんやら・・・ハワイにいくたび広島出身お年寄りに広島の今を伝える氏名に駆られますです。

 ああハワイいきたい。とりあえず春はグアムで我慢しよう・・。 (2006.09.06 13:20:12)

Re:私は(08/15)  
JAWS49  さん
ももさん、こんばんは。

>ハワイにいくと、日系ハワイ人にみえるらしくフツーに現地の人に話しかけられ、しかも日本でもやけにお年寄りに話しかけられやすいため、ハワイでは日系お年寄りに どこ住んでなさるの?みたいにしょっちゅう話しかけられます。

 現地の人と間違えられる理由は、英語が流暢な点にあるんですか? あるいは日系の方の独特な雰囲気がももさんにあるんですかねえ。

> で、広島から来た観光客だというと、まあ、広島出身のかたの多いこと!

 今回は福岡と熊本オリジンの方にお会いしました。沖縄組が多い印象があったので、ちょっと意外。
 今回のLogとかぶりますが、それも歴史のひとコマなんですよね。

>昔話に始まり、今広島のあそこはどうなってるのやらなんやら・・・ハワイにいくたび広島出身お年寄りに広島の今を伝える氏名に駆られますです。

 オタフクソース持参すると喜ばれますかね、やはり。

> ああハワイいきたい。とりあえず春はグアムで我慢しよう・・。

夏のグアムは蒸し暑いと聞きましたが春は泳ぐには寒くないでしょうか(=ももさんが普段泳がないにしても。)
 因みに機内誌ではパラオをお薦めしてましたよ。不思議な場所なんだそうです。

(2006.09.07 00:07:29)

Re[1]:私は(08/15)  
ももにゃき  さん
JAWS49さん
> 現地の人と間違えられる理由は、英語が流暢な点にあるんですか? あるいは日系の方の独特な雰囲気がももさんにあるんですかねえ。

ぞえんぞえん。黙ってて話しかけられるんですよ。顔がね、二世代前くらいの日本人の顔なんですわ・・・。

> 今回は福岡と熊本オリジンの方にお会いしました。沖縄組が多い印象があったので、ちょっと意外。

福岡も多いですね。沖縄も多いんだ!

> 今回のLogとかぶりますが、それも歴史のひとコマなんですよね。

たくさんお話聞かされましたよ・・いろんな人生の歴史。

> オタフクソース持参すると喜ばれますかね、やはり。

文化祭でお好み焼きを出展するというと3ケースくらい只でくれるすばらしい会社です。


> 夏のグアムは蒸し暑いと聞きましたが春は泳ぐには寒くないでしょうか(=ももさんが普段泳がないにしても。)
> 因みに機内誌ではパラオをお薦めしてましたよ。不思議な場所なんだそうです。
-----

冬のオーストラリアでも泳いだ人間だからきっと大丈夫。私の小さな趣味はシュノーケリングですよー
(2006.09.07 10:24:07)

Re[2]:私は(08/15)  
JAWS49  さん
>ぞえんぞえん。黙ってて話しかけられるんですよ。顔がね、二世代前くらいの日本人の顔なんですわ・・・。

 二世代前。。。。
きんさん 或いは ぎんさん というわけですね。
 道理で話しかけやすそうなはずです。

>> 今回は福岡と熊本オリジンの方にお会いしました。沖縄組が多い印象があったので、ちょっと意外。

>福岡も多いですね。沖縄も多いんだ!

 と思うんですが、不勉強なだけかも。
 福岡が多いというのは本当に意外です。

>> 今回のLogとかぶりますが、それも歴史のひとコマなんですよね。

>たくさんお話聞かされましたよ・・いろんな人生の歴史。

 異郷に暮らすのは本当に容易ならざることでしょう。

>文化祭でお好み焼きを出展するというと3ケースくらい只でくれるすばらしい会社です。

 会社の沿革をググってみると、「昭和20年8月 原爆投下により全焼」と書かれてました。。 これは洒落になりません。よく蘇ったものです。


>> 因みに機内誌ではパラオをお薦めしてましたよ。不思議な場所なんだそうです。

>冬のオーストラリアでも泳いだ人間だからきっと大丈夫。私の小さな趣味はシュノーケリングですよー

 機内誌でパラオを紹介した文筆業の方もシュノーケリングが趣味だそうです。それを楽しむには最高の場所らしいですよ。
 個人的には、アントXオ猪木氏が特訓と称しモリを片手に向ってくるかもしれず、不安な印象のある場所なのですが。

(2006.09.09 03:43:40)

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