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BONDS~絆~
未定
覚えているのは、海に振る真っ白な雪。曇り模様の空から降ってくる粉雪。
肌色の砂浜に白い雪が少しづつ積もっていく。その様子を見ている。
後ろには道路があるけど、車は1台も通っていない。静かな海と雪。それだけ。本当にそれだけなんだ。その後、何処に向かったのか、何をしていたのかは、わからない。気がついたらベッドの上だったんだ。
窓の向こうはもう雪模様。小さな綿雪がちらほらと舞っている。曇り模様の空とは対照的に、俺の部屋は煌々と真っ白な明かりがついている。蛍光灯で照らされた俺の部屋は、外の景色と比べると妙に機械的だった。
この部屋にあるのは、今俺が寝そべっているベッドと、ベッドの右横にテレビと、テレビの横に木で出来た服を入れる棚、ベッドの左横には水道がある。後、ベッドの真向かいに2005年のカレンダーが壁にかけられている。今は1月。カレンダーは折りたたみ式になっていて、上にはスケートをしているたくさんの子供たちの絵が描いてあり、下は数字が当てはめられていた。
ベッドの上で出来ることは限られてくる。しかも、俺の場合何の病気かわからないが、ベッドから起き上がることすら許されていない。時々看護婦さんが来て、床ずれしないように処置をしていく。
そういえば、誰も見舞いに来ない。
友達はおろか、親すらも。第一、俺は、俺自身が誰なのかもわからない。
いや、わかっているのかもしれないが、暫くの間名前を呼ばれたことも発したこともない。看護婦も俺の名前を知らない様子だから「○○さん、検診の時間ですよ」なんていう前置きは言わないんだ。
看護婦が俺の部屋から出て行った後、時計を見た。そろそろ医者が来る。
真っ白な白衣を着て、数人の看護婦を従え、やってくる。
そして、いつも決まった質問をするんだ。
「何か思い出しましたか?」
俺は体は丈夫だが、記憶喪失という厄介なものを背負い込んでいるらしい。
自分の名前も、年齢も、何処に住んでいるのかも、親の顔も、何も…何もわからないのだ。何かひとつでも、俺が覚えていたとしたら、医者は喜ぶだろう。
こんな厄介な患者はいないから。それにしても、もし、俺に親がいればこんなに長い間家を空けているわけだから、不思議に思わないのだろうか。
もしかしたら、俺は一人暮らしをしていたのかもしれない。
いや…どれも憶測に過ぎない。何もわからない。何も出来ない自分にだんだんイラついてくるのがわかった。毎日のことだが、慣れない。悔しくて、つい掛け布団を強く握ってしまう。
「何も…」
こう返事をするのももうウンザリだ。わかったら俺が飛び上がって喜ぶだろ?毎日毎日同じ質問を繰り返され、毎日毎日同じ答えをいい、部屋だけでなく、俺まで機械になってしまったみたいだ。機械…か。
「そうですか。まぁ、あまりご無理はなさらないように」
医者はそう言い、看護婦ともども出て行った。部屋には俺一人だけだ。
床ずれを直しにくる看護婦でも、部屋にいれば少しは孤独が紛らわせられた。記憶がないこと自体、俺は孤独なのだが…。
毎日同じ夢を見る。
地上には灰色の海があり、天には灰色の雲がある。雲から真っ白な雪がちらほらと降ってくる。俺の背後には道路があるが、1台も車は通らない。静寂の中、俺はただ一人砂浜に立っている。俺は素手でその雪を掴もうとするのだが、手の平に乗った雪は瞬きをする間に音も無く消えてしまう。ずっとその景色が続いている。ふと、上を見上げると一点から複数の雪が虫のように降り落ちてくるのが見える。
あぁ…誘えば良かった。こんな冬の海を見られる回数はそんなにないのに。
と俺はいつもその夢の中で後悔しているんだ。いったい誰を誘おうとしたのかわからないが…。そして、その後俺は呟く。だけど、その呟いた言葉は声にならずに口が勝手に動いている感じだ。だから、なんて言ったのか俺にはわからない。俺自身のことなのに、俺のことがわからないのだ。
ただ、わかるのは、俺は夢の中で冬の海に降る雪を見て誰かを誘えば良かったと後悔している、ということだ。
この話は医者にも、カウンセラーにもした。俺の夢を聞いて、彼らが考えて出した結果は、『彼は今孤独を感じている』だった。それだけ、それだけ。
誰も面会に来ない俺は毎日考えることしか出来ない。
俺は誰なのか。何処の人なのか。俺の親は誰なのか。友達はいるのか。いたとしたら、心配して親と話すのではないだろうか。とか。
いくら考えても、誰の名前も顔も年齢も住まいも思い出せない。今の俺には、『思い出せない』というより、『知らない』の感覚だ。
毎日考え込み、悔しくなり、涙を流す日もいくつもあった。しかし、そうして何か糸口が見つかった日は1度たりともない。
そうしているうちに2月になった。
看護婦がカレンダーをめくりに来たから、わかった。その看護婦は、俺に1度だけ話しかけて、いつも出て行く。
「あまり考えすぎないでね。きっと誰かはあなたを探していると思うわ。ただ、その連絡がこの病院に来ないだけなのよ…だから、気を落とさずにね」
気を落とすなと言われても、部屋に一人で毎日こもっていて、考え事をすれば誰でも気が滅入る。
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