BONDS~絆~

BONDS~絆~

純情な恋

想い


毎日毎日私のクラスには可愛い女の子が私の好きな男の子の所にやって来る。
ある日、私は上機嫌だったのにも関わらず、ある事件が起きた。
「高原~もう俺に話し掛けないで」
今朝、テレビに大好きな歌手が出ていて超ハッピーだった話を友達数人と私の席で話していた時に哉矢(かなや)はそう言い放って自分の席へと戻り、機嫌悪そうに鞄を置いた。
私は訳がわからなかったが、とりあえず「わかった」と返事をし、友達との話に耳を傾けた。
─私の前の席の哉矢・・・・。話し掛けないでだってさ─
友達と話している時も私は哉矢に言われたせりふのことで頭が一杯だった。
超ハッピーだった気分が地獄に突き落とされたような、超ブルーな気分になった。
─何で話し掛けちゃいけないの?─
そう思いながら授業中は哉矢の背中を見つづけた。
何でっていう理由はすぐに浮かんでは掻き消した。
─彼女が私にやきもち妬いてるのかな・・・・。でも私と哉矢は友達なのに・・・。ねぇ、哉矢?
私はあなたのことが好きなんだよ?あなたと話すために学校に来てるんだよ?話し掛けるな何て、学校を辞めろって言ってるのと同じだよ・・・─
見つづけていた目がいつしか睨みへと変わり、私は哉矢の背中に問いつづけた。
授業中、不意に哉矢がふり向いてきた。
睨んでいた顔が見られた。
「何睨んでんだよ」
そう言い、プリントを回して来た。
「そんなに俺が好きか」
─は?─
まるで私の脳みそで考えていたことが読み取られているようだった。
「好きだよ」
ざわめいていたクラスが一瞬にシンとなり、さっきよりざわめき始めた。
「ははっ、そりゃどーも」
そう言い、前を向いた。
鐘が鳴り、放課後となり哉矢の彼女が叫んだ。
「哉矢!哉矢!」
「楓 終わるの早いな。」
「だって哉矢に早く会いたかったんだもん!掃除もサボっちゃた」
話をしながら、彼女は哉矢と向かい合わせに立ち、まだ勉強道具を鞄につめていて、最後に筆箱を積めようと前を向くと、彼女が私を見てた。いや、見てたというよりは睨んでいた。その顔から読み取れる言葉は「哉矢に話し掛けないで立ち去れ」と読み取れた。
私は彼女の表情通りにした。
椅子から立つ音に気付き、哉矢がこっちを向いて、名前を呼ばれたような気がしたが、私はシカトした。
初めてだった。

哉矢もあの後すぐに帰ったらしい。
部活の休憩時間に、弁当箱を取りに行くと教室は空っぽだった。
「やっぱいないよな」
屈んでいた私は背が小さくて、誰もいないはずの教室からそんな声を聞いた。
条件反射で立ち上がってしまった。
「うわっ!お前部活は!?」
哉矢・・・。
「彼女は?」
「彼女?俺いないよ?」
「はっ?楓ちゃんは?」
「楓は彼女じゃないよ。親戚だよ」
「はっ?彼女じゃないのにあんな会話してたの!?」
「聞いてるのかよ(笑)」
「たまたま・・・」
「まぁ良いけどさ(笑)」
マイナス思考になり、目が潤んできた。
「じゃぁ何で今朝、もう話し掛けないでって言ったの・・・?」
「あぁ~・・・気にすんなよ。単なるイタズラだからさ!」
「イタズラで許されると思ってるの!?」
「え?何マジになってんだよ?」
「マジに・・・なるじゃないっ!!!」
「何で?」
ニヤニヤしてる哉矢を見て、私はイライラの限界が頂点に達し、涙が頬を伝った。
「わっ!何で泣くんだよ!?解ったよ~・・・説明するよ」

「今週の日曜、盆だったから親戚がウチに集まったんだよ。その時に、イトコとか集まって、皆高校生なんだわ。だから話とか合うわけで。何か、ゲームやったんだよね。して、負けたヤツはジョーカー持ってるヤツの言うこと聞くってヤツで。ジョーカー持ってんのが、楓だったんだ。で、楓が俺を指名したんだ。勿論、カードで偶然当たったんだぜ?してな、俺の方をじーっと見ていったんだ。真顔でだぞ?」
─明日一日一杯自分の好きな人とは話さないこと─
「って。俺に好きなやついなかったらどうするつもりだったのか、しらないけど
あいつ名前まで言ったんだ。『高原さんとは・・・絶対話さないで』って。何で高原なんだって思ったんだ。何だと思う?」
「知らない」
「あっそ(笑)理由聞いたらさ、簡単だった。俺が普段お前を見てるから何だって。」
「・・・・そう」
「・・・それだけかよ」
照れくさかった。
窓側にいる私の後ろから橙色の夕日が彼の顔を染めていたせいもあった。
だけど、好きな人に・・・好きな人がそんなこと言ってて私どうしたらいいの?
「私だって・・・ずっと好きだったんだから」
それしか浮かばなかった。
「はぁあ!?マジで言ってんの!?」
言葉とは裏腹に哉矢は左手で口を抑え、夕日で照らされている顔が赤みをプラスしていた。
その顔を見て、私も顔が赤くなるのを感じ、哉矢に指摘された。
「お前何赤くなってんだよ!!」
「哉矢のが移ったんだよ!!」
私が言い終えた時に哉矢が口を開いた。
「・・・つぅかお互い好きだったんならもっと早く言えばよかった。」
「うん・・・・」
「まぁ、そういう事だからまた明日な!」
「え?あ、うん。」
「部活頑張れよ!」
「おぅ」
そう言い私たちはバイバイをし、私は部活へと向かったが、当然身が入らなかった。
部活が終了し、自宅への帰路でも自分自身が言ったことを頭の中で浮かべてばかりだった。
そんなことを考えて気付けば、一睡もしないうちに朝が来た。
そして、学校に着き、いつもの朝を装い友達と話していた。
早く哉矢に会いたくてドアの近くの友達の所にいた。
すると、ドアの開く音がした。
入ってきたのは・・・・・・楓だった。
「哉矢まだ来てない?」
「うん」
ドアの近くにいたのと、楓の知ってる人は私という意味なのか、睨みつけながら質問された。
「そう、ならいいわ。あなたに話があるの。ちょっと良いかしら」
「うん」
年下なのに、なぜか偉そうな楓にむかつきながらも、話の内容は聞く前に大体読めた。
私は楓に言われるまま、廊下に出た。
「時間が無いし、言葉だと段々イラついてくるから・・・・」
パンッ
・・・・痛い。痛いよ、哉矢・・・・。
「哉矢・・・・。」
楓の平手を喰らったのは私の左頬では無く、止めに入った哉矢の右手の甲だった。
哉矢の右手の甲は楓の長く伸ばしていた爪のおかげで血が出ていた。
「いって・・・・。俺言ったよな?イトコだからって」
哉矢は左手で右手の甲を抑えながらそう言った。
「でも・・・イトコでも結婚は出来るし、恋愛だって出来るわ!私、哉矢のことずっと昔から好きだったの知ってるでしょ!?」
「うん、知ってるよ。だからだよ、だからこそ俺らはこれからもイトコとして接しなきゃいけないよ。折角イトコっていう血筋があるんだから・・・。お前は俺を好きになるためにイトコになったんじゃないだろ?」
「イトコなんて私がなりたくてなったものじゃないもの!」
「お前は、兄貴がほしいから俺に慕ってるだけなんだよ。楓」
優しい口調で、楓と呼んだとき、哉矢は笑いながら横向きだった体を笑顔で楓の方をむいた。背を向けられても、微かな隙間から見える楓の表情から哉矢の口調が解った。
そんな二人を羨ましいと思った。
今言うのはタイミングが悪いと思うから言わないけどね☆
「じゃぁ教室戻れよ」
楓はコクンと頷き私をチラッとみて、今度は完敗したわという目で見られたように感じた。
「さて・・・」
「保健室いくよ!!バイキン入ると危ないんだから!」
「こんくらい何でもねーよ?」
「いいからっ!」
そう言い私は今までに無いくらい哉矢に対して強引に腕を引っ張った。
暖かくて男らしい筋肉があるのが解る腕だった。
そういえば哉矢に触るの初めてだ・・・・そう思うと自分の体温が高まるのを感じた。
「ねえ」
「ん?」
「腕イタイんだけど」
「ごめっ・・・」
ぱっと話した腕に見とれていた私の戻しようもない手を彼は握って一言加えた。
「何てね!折角二人なんだから手でも繋いでゆっくり行こうよ!」
その笑顔がたまらないっ!!!
大好きだよ、哉矢☆
保健室に向かう途中、何故話し掛けるなってあの時言ったのかを聞いた。
「楓が話すなって言ったのもそうだけど、俺自身がお前に好かれてるっていう実感無くて、これ以上好きにならないようにみたいな・・・」
手をつなぐ哉矢の手が汗ばんできて、それがまた可愛かった。


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