07/05/26・27 グランボレからSOS

ぴろろろりぴろろろ~ん♪ (着信音:ヒロシのテーマ←古)

「グランボレで大会があって、出るんだけど、フリーフライトできるよ!一緒に行く?」

ある日。人妻さとゆき嬢からのメール。

おおーグランボレかぁ!!
一年半前に今は海外青年協力隊でマラウイにいるめぐと、さとゆきちゃんとあたしの3人で
湯煙旅情グランボレツアー組んで行ったっきり、行けてないんだよね。
※05/12/03 美女はグランボレがお好き 参照
グランボレの人達も、すんごく温かくてイイ人達ばっかりだったし、また逢いたいなあ。
フリーフライト出来るんなら、行こうっかなーってんで、くっついて行くことに。

うーん。それにしても、彼女もすっかりこんぺちたー(コンペティターね)になってしまったなあ。
結婚もお互いまだまだよねーなんてけん制しあっていたら、
あっという間に素敵なダーリン見つけて音速のような速さでケコンしやがってアノヤロウ。
ん?なんかあたしってば、パラでも人生でも彼女に遅れを取っているよーな・・・って、そんな事はほっとけ!!( ゚Д゚)ドルァ!!

早速スカイ朝霧に連絡して、預けてある機材を一式送ってもらい、準備OK。
さあ。あとは天気だけだなーと思っていた当日の三日前。
ぴろろろりぴろろろ~ん♪

またもさとゆきちゃんからのメール。
ん?当日のピックアップについての連絡かに?

ピッ・・・


「まだ今ならエントリー間に合うかもって!どうする?」


(*゜∀゜)


(* ∀ ) ゜ ゜


どうするって・・・

どうするって・・・


What?(なにを?)


いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なぜ(Why)、どのように(How)????

・・・クーリービーツー!(びっくり)

携帯の液晶画面見ながら目が点になっちゃいますた。
いやいやいやいやいや。
いくらあたしが最近かなりイイ飛びが出来ているから(自画自賛)って、
かなり天狗になっているからって。
いくらなんでも大会なんて。
さとゆきちゃんテバ。大会事務局を敵に回しそうな事言ってクレマスネー

「明日の朝までに、どうするか連絡おくれー」

とまで言われ、悩んだ。煙が出るほど悩んだ。
そりゃーね。面白そうだし、いいネタになりそうだし、新しい事に挑戦する良い機会だしなーとは思うけど。
そもそも、大会って、何をやってるのかすら、よく知らんのだ。
せっかくシルバー青年部のY口さんが無期限レンタルで借してくれたハズのGPSだって。
実はまだ付けて飛ぶ練習だってしていない。
(機械に弱いモンで、なんとなく触れないままになっているのDEATH。Y口さん、ごごごごめんなさい!!)
そんなGPSを使って?ほとんど初めてのエリアで?しかも、タスクを取って飛ぶなんて???

・・・しかもさあ、大会ってアレなんでしょ。
お互いの情報を操作して錯綜させたり、靴に画鋲入れたり、
飲み物に下剤を混ぜたり混ぜられたりくんずほぐれつするんでしょ?
ちょっとでもミスしようものなら「ヘイヘイヘイ!ピッチャーびびってるぜえ!」なんて、ライバルから野次が飛んできたりするんだわ!!(野球?)


あー無理。


そんな体育会系っぽいの、オイラ無理。


大会と名の付くものといえば、中2の時の弁論大会にしか出たことないあたしが、スポーツで大会に出るなんて土台無理。


もちろん、とりあえず出てみれば?っていう人も多いだろうし、
なんとなく出てる人もいっぱいいるんだろうケド、
あたしの性格上。なんとなく出てなんとなく終わったら多分それっきりになるような気がするのよね。
負けても、「どうせ、なんとなく出ただけだしねー」なんていう自分の言い訳が聞こえてくるような気がする。

いつか、いつかよ?もしも万が一、あたしが大会に出ることがあるならば。

あたしは事前にGPSにも慣れたいし、ルールはもちろん、エリアの情報も事前に叩き込みたい。
だって、どうせ手も足も出ないんだったら、やるだけの事やって手も足も出ない方がいいじゃない。
自分でいっぱいテンション高めて、少しでも同じ土俵にも上がれるように最善を尽くたいの。

と、出ない言い訳が長くなってしまいましたが、端的に言えば、まあビビってるっちゅー事ですわ。
その大会とゆー未知なる響きに!!!

ごめん。今回は見送るよ・・・
とメールしたあたしは、どうせ、どうせヘタレですよーだー!!

まあ。大会に出るとか出ないかは置いておいても、
一年半ぶりくらいにグランボレで飛べる!って言うことの方が嬉しくて。
前日はワクワクテカテカして眠りが浅かった。
なんとか3時間ほど寝て、3時半に起きて4時半に迎えに来てくれた車に乗っていざ出発。
ちなみに、天気の方は金曜日の夜中まで大雨だったが、土曜の朝にはキッチリ晴れた。予報どおり。

渋滞は無く、スイスイで約2時間半ほどで到着ー
おおおおお。早くも人がいっぱい。
ショップ前には、グラン・ボレOPEN CUP 2007とかかれたのぼりや、メーカーの旗?なんかがずらっと並んでいて、大会っぽい!

選手たちが続々と受付する中、フリーフライトの申し込みをするオイラ。
えーとね。はっきり言って浮いてる。
なんか選手同士、顔見知りが多いみたいだし、さとゆきちゃん夫婦もあっちこちでお友達と会話してて、
選手でもないあたしはなんとなく気後れして会話に入る事も出来ず、なんとなくぽつねん。。。
う・・・やっぱ出ればよかったかしら・・・

と、思っていると。(◎_◎) ン?
あの見覚えのあるテンガロンハットは・・・!そう。
以前もグランボレで逢ったKenkenさんを発見!!なんとこの大会に出場していたのだー。

その後、さとゆきちゃんが、大会事務局の人に紹介してくれて、なんと、なんと。
あたしの無期限レンタル中のGPSにもターンポイントの座標を入力してくれたのだ!!
ワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ

これで、コレを見ながら飛べば、あたしも「ヒトリパイロンレース」!!

・・・あ。なんか言ってて寂しい。

開会式をやるというのでテイクオフへ上がる。
今度もクライマーを使わずに山登りだぁ!

「今度は手ぇ貸さないよ!(;一一) 」

とさとゆきちゃんには言われたが、今回は余裕で昇りきったじょ!!
最近のあたしはウォーキングで2~3km歩いたりしていたので、少しは鍛えられていたのかしら。むふ。(別にえばるほどのもんじゃない)

テイクオフで前回来た時にお世話になったA野さんや、パパさんに再会!
わーい!おひさしぶりですうぅぅぅ~~~!なんとなく知った顔に逢えて(´▽`) ホッ

今日の風予報は北西で、かなり強くなるかもしれない、との事で、早めに出た方がいいよーと言われる。

チャレンジリーグということで、大会初心者向けのセミナーがあるとの事で、一緒になって聞く事に。
皆真剣じゃのー(● ̄  ̄●)ボォ----

知らない用語が飛び交って、かなり「???」状態・・・
びっぐしりんだー?すもーるしりんだーってなんじゃらほい。。。

周りをキョロキョロ観察。
皆、かなり真剣に聞いているなあ。

しばらくしてタスクが発表になると、いっせいにルートをGPSに打ち込んで行く。
なるほど、地図に取るべきタスクの順番を書き込んだりするのか。色々工夫しているのね。

テイクオフの風はかなり西っぽい。時々背中が涼しくなったりする。。。
それでも、地元のフライヤーがダミーに一機、二機と出て行き、まあ、なんとか飛べているようだし。
選手がゲートオープンになる前に出させてもらったほうがいいんだろうなと、いつでも出られるようにハーネス、ヘルメットを着けたまま、とりあえず、待つ。
が。ダミーがなかなか続けて出ないので、待ち時間が長い。この日の予想気温、28度。
日差しはもう真夏並みにじりじりと照り、さすがにフライトスーツは着てこなかったけど、
黒いツナギを着ていたのでかなり暑い。暑いよー。うう。まだかなー。

しかし、結局出ていいのかダメなのかよくわからないまま10時半になってしまい、ゲートオープン!
こうなるともう選手優先なので、すごすごとキャノピーを絞り、日陰で待機。
一機、二機と選手が出て行く。
上げきれず降りる人もいれば、結構上げている人もいて、タスクが判っていると、見ているだけでもなかなかおもしろい。

しかし、テイクオフも風が安定せず、ランディングが荒れ気味なので、半分も出ていかないうちに、時々クローズになったりしてなかなか全員がテイクオフできない。

腹が減り、とりあえずご飯をもぐもぐ。
しかし、待っている間に、北西はどんどん強くなり、あえなく大会はキャンセル。。。
とうとう出られないままエリアクローズ・・・(´Д`lll)

仕方ないか。。。

と、しょぼくれてグライダーを畳んでいると、
地元のフライヤー達が「あこチャン、俺たちは歩いてランディングまで行くけど、一緒に来る?」

ええ~~~!歩いて降りられるの?

「15分くらいだよー(嘘)」

なんて言われ、はあーそんなもんなんだー
ダイエット中だし、飛べなくて、エネルギー持て余してるし。行こうっかなー。(騙されてる騙されてる)

暑さでアタマがボーっとしていたのか。
よくよく考えれば車でも10分以上かかるところを15分で歩いて降りられるわけが無いのだが。
あまりギモンを抱かず機材だけ預けると、軽い気持ちで付いて行った。

それは、結構斜度のある山に這うようにくねくねとつづら折りになった細い山道で、下り坂がえんえん続き、当然、15分で着くわけも無かった。くそー騙された!!
最後の方は膝がガクガク笑ってしまい、ブツブツ言う気力もなくなり・・・それでもまあなんとかランディングまで降りたわけで。

そして、
よもやこの体験が、明日、わが身を救うことになるとは夢にも思わなかったわけで・・・



午後からは、近くの公民館に場所を移してのグランボレ攻略のセミナー、夕方はパーティ。
選手でもないのにずうずうしくも参加。
実は日に当たりすぎてアタマがかなりガンガンだった。
とても酒を呑む気になれず、食後に赤ワイン一杯だけ貰って呑んだ。ああ。呑みたかったのに~~~~
パーティ終了後には宿に戻ってお風呂に入ったらもうだめ。もうバタンキュー。

*******************************************************************

翌朝。

目が覚めると、思いのほか晴れていた。
もっと雲が多いかなーと思っていたのだが。

さて。今日こそは飛べるといいんだけどなー。
ショップに行くと、ランディングはアゲンストが入っている?おや?
すると、早くもA野さんがダミーにテイクオフした。

一見。荒れもなく、割と穏やかそうなカンジ。
もしかして飛べるのかな?と、かなり期待薄予報でも、飛んでるのを見てしまうとちょっと期待してしまう。

今日は、出るぞ。早く出るぞ。選手より早く出るぞ。

一抹の期待を胸に抱きつつ、テイクオフへ上がる。
今度はごとごととクライマー利用。
テイクオフでは地元フライヤーがダミーで待機中だった。

しかし、空を仰いでぎょ!!魚!!GYO!!

雲が・・・雲が
西からの風に、凄い勢いで雲が流れていく。

超はえーーーーーーーーーー!!
昨日より早くない???

それでも、時々テイクオフにアゲンストが入ってくるのだ。
その調度よさそうなアゲンストに、思わず、いんじゃない?いんじゃない?今いいんじゃない?

と言ってるとグランボレの“師匠”と呼ばれる人が「いや、これは“騙し”だよ」と答えてくれた。
騙し????と、思った途端に今度はすぅぅぅっと背中が涼しくなって、山の裏側の木がざわざわと鳴る。フォローの風が入ってきた。

ホントだ。さすがは地元フライヤー。
あたしったら喜び勇んでテイクオフしそうだった。思いっきり騙されてたYO!

二人目のダミーがフォローの隙をついてテイクオフ。
一見、何の問題もなさそうに見えるが、ランディングが怪しくなってきたらしい。

しかし、3人目のダミーが出ると、もう風が層によって向きを変えているとの事で、普通に飛んで居ても機体の動きが急に早くなったり遅くなったりしている。
ランディングなんて10M単位で風向きが変わってるそうだ。

そして、とうとう今日も大会キャンセル・・・もちろんエリアもクローズされた。


えええ・・・・・


今日も飛べないの・・・・



もぉ。ガックリきた、ガッカリきた。

せっかく来たのに、ほんとに残念無念。

でも。パラグライダーって、天気が良ければ飛べるってモンじゃないのよね。
普段、朝霧があまりに確率が良いもんだから、天気だけじゃなくて、風向きに影響されるってことを忘れかけてたよ。

これで大会も終了か、あとは帰るだけなのかしらーと思っていたら。

飛べない代わりに、ダウンヒルレースが行われることになった。
※未舗装路でやるマラソンの事でトレイルランニングレースと言うらしい
GPSを持って、通常飛んでいる時に上空で取れるパイロンを、山の中に入って2つとり、ゴールのランディングまで向かうというもの。
しかし、自力でGPSをいじくりながらタスクの設定していたら夢中になり、ブリーフィングをちゃんと聞いていなかったのだが、まあ、なんとかタスクは設定できたし。
道どおり行けばいいんでしょ?誰かに付いていけばなんとかなるかしら。

と、思っていたのだが、ホントにコレがまずかったのだ。

スタート地点のポイントの ※シリンダーセクター (パイロンレースにおいてパイロン(目標地点)をクリアーしたかどうか?を判定する基準で、大会のタスク規模や選手のクラス別にGPSのパイロンの座標から半径を設定し、半径何メートルに入ればタスクが取ったことになる。) のギリギリ外に居て、時間になったらヨーイドンで、ぽんとシリンダーの中に入れば「パイロンを取った」事になり、
そのまま次のパイロンを取りに向かうというビッグシリンダースタートと呼ばれるスタートになった。
合ってますかね?違ってたら教えてください。m(_ _;)m

みんながGPSで設定されたシリンダーの円の外側ギリギリのラインに立ち、定刻を待つ。
なるほどなるほど。これがビッグシリンダーね。
飛んでない時にこうやって身体を使ってやってみるとすごく判りやすいね!!

カウントダウンがはじまり、3・・・2・・・1・・・スタート!!の掛け声と共に、フライヤーが一斉に走り出した。

・・・って、エッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ? 走るの!?

あたしも慌てて駆け出してはみたものの、誰かの追い抜きざまの
「直線距離で5kmくらいあるんだよー」という会話を聞いて、早々に諦めた。
徒競走で過呼吸おこしちゃうあたしに5キロも走れっこないさ。。。
さとゆきちゃんはマジな顔で脱兎のごとく駆け抜けて行ってしまった。
おーおーおー頑張りなされ~~~~~~

とりあえず、GPSを見て、タスクを取る感覚を歩いてお勉強だわ。

ウォーキングの要領で早歩きしながら、
GPSの指す矢印を見ながら最初のポイントに向かう。そこまで1.5キロメートル。遠いなーおい。

すこしづつ距離が縮まり、あと400メートル・・・と思っていたら。

(◎_◎) ン?

ナンカ変だ。いつの間にか、矢印が向かっているのと反対方向を指していている。
しかも、目的地までの距離も1.1kmに増えている?

え?どゆことどゆこと???反対方向へ行かなくちゃ行けないの???

すいません、ちょっと聞いていいですか?ヽ(;´Д`)ノ

と、近くを歩いていた選手に声をかけて(迷惑なやつだな)
聞くと、もう一個目のパイロンは取れているから、次のパイロンへ向かいなさい。ということらしい。
と、いうのも、選手のクラスによって、シリンダーセクターの半径が決められており、
あたしは一番半径が大きい、400mにシリンダーの設定をしてくれていたのだ。
つまり、クラスが上の人ほど、指定されたパイロンにもっと近づかなくては行けない。

てことは。あたしはこれ以上奥へ行っても無駄ってことかい?

じゃあ、2個目のパイロンへ向かわなくては!

ありがとうございます!と言って、慌てて矢印の方向へ引き返す。ほとんど逆戻りのパターン。
なるほど。さっき引き返してきた人が居たのは、その選手もきっとシリンダーが400に設定されていたんだな。
2個目のパイロンはここまで来た途中にある横道を折れると有るはずの三峰沼。
その沼へ行くはずの分岐点で、また妙な事が起きた。

まだ向かっている途中なのに、また矢印が違う方を指し示し、距離が増えている。
また目的地が変わってる???

すると、同じポイントで「???」となっている選手を発見。
またしても、声をかけて、話をきくと、あたしと同じように2個目を取りに行こうと思ったら、
いつの間にかゴールに向かうようになっている、というのだ。

(;゚д゚)ァ.... そういえば、さっきのブリーフィングで、
半径400の人は、2個目のタスクを取りに行く分かれ道を通過するだけでパイロンを取れる可能性があるとかって言ってたような???
(分かれ道から、目的地までが約300mくらいしかない為)

じゃあ、もうゴール(ランディング)へ向かえばいいんだね!と、結論が出たものの。。。

って。その人もあたしもここまでどの横道にも入っていないから、どの道がゴールへ繋がるのかが判らない。ということが判った。
ヒトリで迷うのはやだよなあ・・・すいません着いていってもいいですか(;・∀・)
と言ってその選手についていくことに。ホント、すいません。

さて。どの道がランディングに向かう道なんだろう、と。悩んでいると分かれ道をがさがさと入っていく人を発見。
えー?そっちそっち?と思い、着いていってみる。が、途中で道がなくなってしまった。

とりあえず、GPSはゴールへの方向を指しているし・・・もう少し奥は繋がってるんですかね???
とか言いながら木々を分け入りながらとりあえず進んでみる。

が。どう考えても道がない。あるのは、小さなたち木と、折り重なった枯れた木々の枝と、腐葉土と、シダ植物。
幹の隙間の向こう側に空が見える。地図を見て大体の位置を考えると、この先は崖だ。
方向的にはたしかにゴールなんだろうけど…やっぱり、違う。こっちには道が無いんだ。

と、途方にくれていると、またしても一人藪の中でたたずむ女性を発見。
なんとなく合流し、3人で「どうやって行けばいいのかしら?」といいながら、どんどん斜面を降りていく。
谷のようにくぼんだところを通り、小さな沢のようなものを越え、なんとなく、下を目指しているけれど・・・
ちょっとまって。なんだか、嫌な予感がする。
さっきからあたしのビビリアラームが点灯しているのよ。

もしかして・・・もしかして、

認めたくないけれど。

とっくにあたし達ロストしているんじゃないかしら?

いわゆるひとつの遭難ですか? そ う な ん で す 。

なんてオヤジギャグを言ってる場合じゃないYO!!

風が吹き、木が葉ずれの音を立て、幹がぎぎぎと軋んで音を立てる。知らない鳥が鳴く知らない声。
それらの音に上を見上げると、どれもこれも似たような木々が、あたしたちを嘲り笑うように見下ろしているような気すらしてくる
けして大きな山ではないはずだけれど。それでも。
あたしは圧倒されている。この森に。

そのとき、高校の時、担任の井上先生に聞いた話がフト脳裏をよぎった。

山で迷ったら、下へ降りようとするのはダメだ。
ふもとは広い。自分のいるところがわからなくなる。じゃあ、どうするか?迷ったら、上へ上へと向かえ!!
山の頂きは狭い。見つけてもらえる確立が高くなる。それは生き残る確立が高くなるということだ。
人生もそうだ。迷って、登るのが辛くなったからといって、振り返って山を下ろうとすればするほど自分の立ち位置がわからなくなるもんだ。
辛いときこそ、歯をくいしばって上へ登れ。上には必ず道がある!


ああ。井上先生。お元気ですか。
先生には高校での2年間でたくさんの言葉を貰いました。
どの言葉も、10年以上経った今でも、まだあたしの中で強く残っています。
今までも、どうかした拍子に先生のくれた数々の言葉を思い出して、たくさん救われてきました。

先生。

あたし、今まさにその山で、迷っています。 迷っています!先生ーーーーーーーー!!

そうよ。下はダメ・・・うまいこと自力で山を下りれたとしたって、何処に出るか判らないし、崖もある。滑落したら怪我もする。
谷あいに入ってしまったら、無線も入らない。上にいれば、無線の電波だって届くはず。最悪は連絡が取れる。
・・・それに、この辺の山には も出るって、昨日地元の人が言っていた。

上へ行きましょう!元の道に戻って、もう一回やり直した方がいいですよ!
と、二人に言って、GPSの軌跡へ戻れるように再び降りた斜面を登ることに。

しばらくきつい斜面を登ると、再び最初の道に出た!

はあ~~~~!!!
よかった、戻れた~~~~~!!

GPSがあったから良かったようなものの、
無かったら上に行けばいいのか、下に行けばいいのかも判らなかった。完璧迷ってたな。こりゃ。

その道をまた沼の方へ戻る途中、今度は選手のご夫婦を発見。

「ゴールへはどう行けばいいのかな?」
「私たちもゴールへの道を探してるんですよー」
「やっぱり沼の横の道を抜けるんじゃないか?」
「そこはさっき行ってみたけど、通じてなさそうなカンジだった」
「ごかん駅の方へ出るとかって言ってなかったっけ?」
「いや、それ逆ですよ。ごかん駅の方へは行かないようにって行ってたんですよ」

全員の話をまとめても、ゴールへの道は判らない。
どうやら誰もまともにブリーフィングを聞いていなかったようだ(;´Д`A ```<ゴメンナサーーーーーーイ!!

挙句の果てには

「この地図によると、このへんなら等高線の幅が比較的太いから、なだらかなんじゃないか?
おりられるんじゃないだろうか・・・」

ちょっと待ってよ。 Goodby優しい声で~~卑怯な~逃げー方ー♪

すでに一時間以上同じところをウロウロとさまよいあるいているというのに・・・
そ、そんな道無き道を行くなんて嫌だぁぁ!!!!


その時・・・あたしは閃いた。


分厚く覆っていた雲が、さあっと晴れるように閃いたのだ。

これほど曇りなく閃いたのは、生まれて初めてくらいの閃きだった。

それはもう。 悟った。 と言っても過言ではないかもしれない。




あ。




あたし!!




テ イ ク オ フ か ら な ら 降 り る 道 知 っ て ま す ぅ ぅ ぅ ぅ ! ! ! !




そう、その道とは昨日ブツクサ言いながらテイクオフからランディングまで降りた、あの細くくねった山道だ。

昨日、地元のフライヤーに教えてもらって、降りたんです!
そこなら確実にゴールのランディングまで行けますよ!!!

「えっっ!そんな道があるの!??」

うん。そりゃ、今の今まで黙ってりゃそう聞き返すわな。
あたしが逆の立場だったら、多分人生で一番ドスの効いた声で「早く言えやゴラ!!」と言ってるわ。つうか言わざるを得ない。

そうよ。ゴールはランディングなのだから、こうなったら指定されたルートに頼らず、判るコースをたどれば良いんだ!
パラとおんなじだ。セオリーどおりに進む必要は無い。ダメなら戻って上げなおすじゃないか。
なんてこったい。なんてこったい。どうしてそんな簡単なことを忘れていたんだろう。

あ゛ーーーーーーーーあたしのバカーーーーーーーーーーーー!!!

あたしの力説に、さまよえる4人も顔を見合わせた。

「・・・その方が良さそうだね」

という訳で、テイクオフまで再び来た道を戻る。そこまでは一本道。
そこからなら、昨日行った通りだ。大丈夫。判る判る。
昨日のあの山下りが今こんなところで役に立つなんて!!

いやあ帰れると判ったら、なんだか足取りが軽いぞ!!元気をとりもどし、自己紹介や、世間話をしながら下山した。
途中の湧き水で、休憩をとり、お腹空いたなあといったら、
女性の一人がクッキーを持っていて何枚かずつ皆で分けた。
疲れた身体にその甘さが地下水脈に浸み込むようにほどけて、なんと美味かったことか!!!

山でロストしたもの同士でクッキーを分け合うなんて
なんか、ホントに遭難したみたい~~~~

あと少しで山を降りきれるぞーというところまで差し掛かった時。
今まで沈黙を続けていた胸ポケットの無線機が突然受信した。

「この無線を聞いている人で、道が判らなくなってる人がいたら応答してください」

なんだーきっとまだ他にも道に迷ってる人がいるんだー

でも、あたしはもう道が判ってるから、大丈夫だもーん(´▽`*)アハハ

と、応答せずにそのまま下山を続けた。
やっと見覚えのある道路に出た。
棒のようになった足を引きずり、とにかくもう早く座りたい思いを堪えて、
一応ルール通りランディングのゴールラインを飛び越え、やっとゴール。

かかった時間はなんと2時間以上。

よれよれと皆の居る所に戻ると、あまりに疲れ果てて、そのままへたりこんだ。
つ、疲れた~~~~~~(;´Д`)

「なんで二時間もかかってるんだよー!心配したよー」
「あと10分戻ってくるのが遅かったら捜索隊を出そうと思ってたところだったよ」
「無線で呼びかけたの、聞こえなかった!?」


・・・あははじゃねえっつうの。

思いっきりあたしのことだった _| ̄|○



ホントにホントにごめんなすぁぁぁぁい!!!!!!

ちなみに結果は勿論、ビリッケツ。

優勝タイムは29分。

さとゆきちゃんは42分で総合7位!なんと女子優勝!すげえ。
それでも6位まで入賞だったのに、入らなかった。と悔しがっていた。
・・・あんたね。遭難した人もいるのよ?十分頑張ったって。

皆にはこれでもかって程に大爆笑されたけど
ホントにマジで必死だったんだよ?
本気で遭難したと思ったんだよ???
わざとじゃないの。ネタ作ろうなんて思ってないの。
あたしは自分なりに必死に一生懸命生きているだけなの!!

飛べないわ、山で道に迷うわ。
グランボレ散々だー!!←あくまでもエリアのせいではない。

ウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!

と、喚いていたら、景品を分けてくれた♪
コレだからグランボレ しゅきしゅき、だいしゅきーーーーーーーーーー♪ (調子良すぎ)

最後に、選手、スタッフ含めて全員で集合写真。

ちゃっかり混ざりました

左端でやたらと浮かない顔をしているのがあたし。凹んでる凹んでる。


ちなみ↓は遭難の軌跡。

これが遭難ですか?そうなんです。

まんなからへんでギザギザとしながらくるっと円を描いているところが遭難部分。

途中、衛星が途切れたのをつないでもらったから、変なところも繋がってますが、
大体こんな感じ。よく歩いたなあ。。。


ちなみに、グランボレの人がダウンロードやってくれました(TдT) アリガトウゴザイマス

それにしても、今回は皆に笑い飛ばしてもらえただけで済んだけど。
捜索隊なんか出されてたら、もうグランボレにおめおめと顔なんか出せないよ。
それどころか出禁。ぬかりなく出禁。

あ゛ー無事に降りられてヨカッタ。大事にならなくて、ヨカッタ・・・

ちょっとでも大会の雰囲気なんかを吸収できたら儲けモノ~なんて目論んでいたのに、

とてもじゃないけど、こんなんじゃ当分大会には出させてもらえそうもないわ(;´д`)トホホ


ああ。それどころか人生初のGPSの初軌跡が遭難の軌跡なんて・・・



いやじゃーーーーーーーーーーーーっ!!!!!




© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: