Fooの小部屋

Fooの小部屋

ぼんくら


著者名:宮部みゆき
出版社:講談社

感想:
宮部みゆきさんの作品は、今まで読んできた中ではハズレなし!
(もちろん、全作品読破しているわけではありませんが)
この作品も時代物だし、楽しませてくれるだろうと、期待して読み始めた。

この時代の様子や社会制度などを分かりやすく解説してくれるし、何でもない食べ物をあれほどおいしそうに描く技も、あいかわらず冴えている。
お話を引っぱっていく、同心・平四郎も、煮売屋のお徳さんも、平四郎の手下の小平次も、「ひさぐ女」のおくめさんも、差配人の久兵衛さん・佐吉さんも実に魅力的だ。
おまけに「本所深川ふしぎ草紙」や「初ものがたり」の回向院の茂吉親分の手下の政五郎が大活躍するとあっては、これはもうファンは大喜びというものだ。

だが、だが・・・わたしにとって、これは娯楽作ではなかった。
始めの何話を読んで、若い差配人の佐吉さんの活躍話かと思ったら、とんでもない。「長い影」篇に入るともう、ミステリーの世界にどっぷりハマってしまった。
文庫で、上下巻だったので、もう下巻の方は夢中で読んだ。
すっきりと謎が解けて、みんなが幸せになることを期待して。
ところが、期待通りとはならなかった。

この終わり方はこれでいいと言うひともいると思う。
でもわたしはすっきりとしなかった。
最後の章の「幽霊」は、作者が、読者をすっきりさせようと書いた話かもしれないが、わたしは納得できない。

この作品の後半から登場する、弓之助のキャラクターがうっとうしく感じることもあり、宮部作品の中では低い評価をつけたい。
ご都合主義の匂いを消して、もっとうまく料理することはできたと思うのだが。


点数:80点(合格点だけど、宮部みゆきさんだったら、もっと唸らせてほしいという思いを込めて)
スリル  ☆☆☆★★
泣ける  ☆☆☆★★
ドキドキ ☆☆☆☆★



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