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震災三部作<完結編>と、本の帯に書かれていた。あれ、一部と二部を読んでないぞ!でも大丈夫。三部からでも十分理解できる内容でした。阪神淡路大震災で妻と娘を無くした小学校教師、小野寺徹平は東日本大震災の後、応援教師として東北で被災した子供たちと向き合った。神戸に戻ってきて7年。東日本大震災から10年。神戸の経験は活かされたのか?復興五輪なんて言われてもオリンピック誘致に利用されただけで、東北の復興は10年経っても道半ば。聖火リレーは福島から始まったが、復旧した所だけを走っていて、テレビで見ているだけの人たちは「東北はこんなに復興したんだ」と思ってしまう。ただハード面が復旧しただけであって、これは本当の復興ではない。その土地に住んでいる当事者でなければ分からないことがたくさんある。自分だけ生き残ってしまった、という罪悪感からくる「PTSD」などは、阪神淡路大震災のときもあったが、あまり問題にされなかった。この本では触れていないが福島の原発の問題は天災ではなく人災だ。絶対に元の生活には戻れない。被災した人たちの心が健康にならなければ本当の復興はないと思う。それでも、陽は昇る [ 真山仁 ]第一弾そして、星の輝く夜がくる (講談社文庫) [ 真山 仁 ]第二弾海は見えるか (幻冬舎文庫) [ 真山仁 ]
2021.03.31
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「アタラクシア」とは哲学用語で、・心の平静不動なる状態のこと・乱されない心の状態・激しい情熱や欲望から自由な平静な心のさま読み終えてから意味を調べたら作品の内容と真逆でした。登場人物たちは恋愛、仕事、結婚、DV、不倫・・・に振り回されて心も体もボロボロになってそれでも何とか生きている。理屈では説明できない人間の欲望や苦悩がそれぞれの一人称で描写されていて、金原さん独特のねっとりとした筆致です。でも、自分以外の目線で見方を変えれば、他の道が開けるんじゃないかと思わせるところもあるかな。アタラクシア [ 金原 ひとみ ]
2021.03.24
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昭和63年「特別養子縁組」制度ができるきっかけになった事実をもとにした物語です。タイトルは実際に、産婦人科医師の菊田昇が新聞広告へ掲載した文章です。出生証明書を偽造して実母が育てられない赤ちゃんを養父母の実子として斡旋することは当時、違法だった。しかし、望まぬ妊娠で中絶にやってくる女性は後を絶たず、産婦人科医は合法的に命を奪っていた。男性の知らないところで、赤ちゃんの命は奪われ、女性は体も心も傷ついていく。読了後に実感したのは、日本の法律は男社会の男目線で男性優位に作られたものだということ。残念ながら、今も妊娠したことを喜べない社会がある。社会的環境が整えば、中絶を選ばずに産んで育てることができるかもしれない。日本は今コロナ禍で、命よりも経済を優先する政治がある。少子化の問題は、不妊治療だけではない。日本の社会が生きやすいかどうかだと思う。「生きていてよかった」と思える国でなければ、衰退していくだけだ。赤ちゃんをわが子として育てる方を求む [ 石井 光太 ]
2021.03.17
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産む性としての女性の生命力が伝わってくる。『推し燃ゆ』も衝撃的だったが、その前に書かれたこの作品にも度肝を抜かれた。『かか』で芥川賞を取ってもおかしくなかったと思う。人間の本質といいうか、内面の脆いところをとてもうまく表現している。湯船に赤い金魚(経血)が浮いているところから始まって、祖母から、おまけに産まれたと言われ続けた母の苦しみ、自分を妊娠したからdv父と結婚しなければならなかった、母への罪悪感。「私はかかを産みたい」泣けた。かか [ 宇佐見 りん ]
2021.03.10
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なぜ、日本の官僚はこんなに腐敗してしまったのか?そして、閣僚をはじめ政治家も「同じ穴のムジナ」だった。今コロナ禍で、庶民感覚とかけ離れた官僚の接待問題が明らかになってきた。一流大学を卒業して難関な国家公務員試験を突破して、国民のために優秀な頭脳を駆使して仕事をすべき人たちが・・・公務員試験の受験者が減っている、公務員になっても3年くらいで辞めてしまう、という理由がよく分かる本です。退職後の天下り先を確保するためにあまり必要性がない外郭団体を作ったり、民間企業に仕事を回す見返りに退職後の天下りポストを作らせたり。そのためには新人の国会議員のために朝ごはん付き研修会を開いて、自分たちの利権を守るため洗脳し、官僚の味方にしてしまう。公文書改ざん問題が発覚した後は、法律を改正して、課長の判断で公文書を作成するか否かを決定できることにしてしまった。つまり、都合の悪い文書は最初から作成しないし、保管もしない。国民が知ることもなく闇に葬られるということだ。これは与党政治家にとってもおいしい良いことなので、法律改正に反対するはずもない。官僚と政治家は持ちつ持たれつの関係なのだ。これを変えるためには、主権者である国民は選挙に行くこと。日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任 [ 古賀 茂明 ]
2021.03.08
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