幼い頃の・・・


私が生まれ育った実家は、旅館を経営していた

父も母も忙しく、祖母は『大奥様だから』と言うわけのわからない理由でなにもしなかったらしい

というわけで、私は祖父に育てられたらしい
その祖父は私が2歳の時になくなったということだ
しかし、私には祖父の記憶がある

水色のフリルの付いたベビーカーに乗っている私
そのフリルには白く縁取りがしてある
そして、岡山県庁の噴水のところで、祖父と一緒に噴水を見ている
その噴水は、イルミネーションがとても綺麗だった
噴水が上がると私の後ろからシワシワでごつい手が噴水を指差してこう言うのだ
「ほ~ら、○○(私の名前)、みてごらん。きれいじゃろう・・」

これを覚えていると母に言ったのは結婚が決まった頃だった
母は、アルバムを出してきて当時のベビーカーがどんな風だったかを見た
まだ白黒でセピアカラーの写真の中に一枚、祖父と県庁の噴水前でとった写真があった

「そうよ・・・そんなベビーカーだったわ・・あんたが使わなくなって、もう3人も使ったからって誰かにおばあちゃんがあげたのよ・・・」

子供の記憶は、3歳以上から残るといわれている
しかし、そうばかりではないことが私にはわかった
きっと祖父との散歩が、当時の私にとって凄い楽しみなことだったんだろうな・・・




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