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2024年03月05日
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カテゴリ: TVを見て

 私は母を思い出した。親類に知的障碍者が居た。その人の兄が最後まで養ったのだが、決して愛情深いとは思えなかった。兄弟とは思っていなかった。衣類も着たきり雀で、臭いがしたし、まるで家畜のような扱いだった。彼はいつもお腹を減らしている様に、小学生の私には見えた。
彼は、子供の頃には近所の悪ガキからいつも虐められ、オタマジャクシの卵を無理やり食べさせられた事もあったそうだ。障害者なのだから守ってやらなければならないのに、偏見と虐待の非人道的な人生を歩んだ。
 ある日母が涙ぐんでいた。「Tちゃんが死んだって・・・」と母は過案しそうに言った。盲腸だった。いつも空腹なTは道端に落ちているものも食っていたそうだ。その性かも知れなかった。お腹が痛いと何日も前から言っていたそうだ。しかし、病院には連れて行って貰えなかった。そして、彼が寝起きしてい
た小屋でもがき苦しみ死んで逝った。
家人は気持ち悪がって誰も後始末をしなかった。母が一人糞便と嘔吐に塗れた遺体を始末し、着替えもさせた。「可哀そうに」母は憐れみ涙を流した。
 私は、母に教えられた。人の死と人の尊厳を!言葉ではなく、身をもって!





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Last updated  2024年03月05日 16時02分18秒
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