旅人の独白

旅人の独白

いたわりと償い


そんなことができるのだろうか。この先は誰にもわからない。
結果としての離婚。でもそれを決めるのは、妻の選択肢でもある。妻が望まない限り、僕からは絶対にしない。
生命保険も、不動産も、預金も半分は、妻の名義としてある。じゃ気持ちは、冷めているかというと、そんなことはない。妻と一緒にいるときも、僕には不思議な安堵感がある。彼女に対するのとは別に、なんと言うか静かな愛情というものがあると思っている。感謝の気持ちも混じっている不思議な気持ちだ。
SEXはもうなくなって久しいが、スキンシップはある。ベッドで時々、抱き合うこともしている。それ以上妻も望んではいないようなので、SEXLESSはそんなに悪いことではないと思う。
この間は、結婚記念に旅行に行ってきた。楽しい2週間だった。妻も元気にはしゃいでいた。昔どおり可愛い女だと今でも感じている。本人も雪の中で取った相合傘の写真を、親戚や友人にも見せて、楽しそうにしている。
もちろん心の奥底まで覗くことはできないが、もし妻が、心の中で葛藤しているようなら、偽善的ないたわりは却って妻を傷つけることになる。できるだけやさしく接したいと思っている。


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