ヘミングウエイは20世紀前半に三つの戦争に関する小説を書いている。それらはみんなも知っている『武器よさらば』『誰がために鐘がなる』そして『河を渡って木立の中へ』である。前の二つは読んだことがあろう。 『河を渡って木立の中へ』は南軍の将軍ストーンウオール・ジャクソンが死の直前に部下に命じた言葉“Let us cross the river and rest the shade of the trees” から引用された言葉である。ジャクソンは民兵として、南北戦争に参戦し、負け続ける南軍の中にあって、勇猛果敢な戦いをし、石のように北軍に立ちはだかり、「ストーンウオール」と呼ばれてた将軍である。 私はこの言葉の意味を次のように解釈しています。 今から、厳しい激しい戦いに向かうが、自分の多くの将兵は命を落とすであろし、自分自身も死ぬかも知れない、しかし、その戦いがすめば、ほんのすこしではあるが、憩いの時が訪れるであろう。その時を楽しみに、戦いに臨もうという思いを示したものであろう。 いままでの君たちは、ご両親の、回りの人々の庇護と思いやりの中で、はぐくまれ、立派に成長してきました。今日からは、自らの英知と力で、様々な局面を切り開いて前進していかなければなりません。社会に出ると、楽しいことだけではなく、奥歯をかみしめるような出来事があります。密かに涙することもあるでしょう。その時に思い出してください、『河を渡って木立の中へ(“Let us cross the river and rest the shade of the trees”)』という言葉を。 深い河であればあるほど、渡りきった時の喜びは大きいですし、その後には、しばしの安息の時を得ることができます。 同じような言葉があります。私の好きな書家である相田みつをさんの『道』という詩です。