本棚≪愛久愛輝羅好≫

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第28話・後




「そこで知ったことは・・・まず、そのときの神制度によって、僕らは神の子でありながら、下界の一般家庭に送られたこと」

「?」

クラウンの言葉に、疑問符を浮かべる一同。

「その時代、神は万能でした・・・寿命を伸ばしたり縮めたり、記憶を消したり作ったりと・・・なんでもできたのです」

「なるほどな・・・だから下界の方の父親に正式な子供を作り、更に記憶を書き換えたというわけか」

ようやく先ほどの話の筋書きを理解できたキール、そして一同。

だがクラウンが何を伝えたいのか、まだわからない。

再び、回想に入る。


・・・


「ゼノルよ・・・ゼウスの子、俺に預けろ」

そう言う男は、先ほどのフードを被った男である。

「しかしまだゼウスの許可を」

ゼノルが言いかける前に、他にフードを被った男が2人、ゼノルを拘束した。

「ゼノル・・・貴様はもう失脚寸前の神、そんな男に用はない」

そう言い、フードを被った男は4兄妹を連れていった。

その後クラウンだけが、手術室のような部屋に拘束されていた。

他の子たちは、別室にいるらしい。

「お前はまだ・・・人の子だ・・・お前だけが10歳を超えていたな。ならば・・・お前が最初だ」

そう言うと男は、麻酔もなしにクラウンにメスを向けた。

「!!・・・ぐ・・・あぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」

無情にもクラウンの泣き声だけが響き渡る。

5時間ほどで、クラウンは出てきた。

左目には眼帯をしており、鼻にはガーゼがあててある。


・・・現代・・・


「なんで・・・そんな・・・」

医者として、その話に心痛めるアニー。

「僕はまだその時点で、ただの人間でした。彼らは、僕ら兄妹を神官クラスにするため、神官クラスに必要な最低能力を無理矢理植えつけたのです」

「!!」

驚く一同。

「だから僕の脳には、鼻を通して、父親であるゼウスの脳神経が一部分入っており、更に左目は、ゼウスの左目をコピーしたものと変えられたのです」


・・・回想・・・


手術を終えたクラウンは、

眠ったまましばらく起きなかった。

こうして眠っているうちに能力が覚醒し、

神官クラスへとレベルアップするらしい。

「帰りたい・・・帰りたいよ・・・」

アーネが泣き始める。

「しっ・・・静かに・・・」

ミリアがそれをなだめるように言い、アーネは泣きやんだ。

ミリアにはわかっているのだ。

これは・・・逃れられない運命だと。

その約五千万年後、真天界の最深部では

「・・・早急に全ての手配を頼む」

「はっ・・・わかりました」

ゼノルと、神官1人が何やら話をしていた。

その日、ゼノルは真天界から姿を消したのである。


・・・現代・・・


「その後、祖父は無理矢理、神制度を書き換え、神を万能ではなく、全てを見守る者に変えました。祖父は、当時の神反対派の命令で失脚しかけだったのですが、息子であるゼウスに神の地位を譲り、逃走したのです」

「他の兄妹たちは・・・手術を受けなかったの?」

ジーニアスが尋ねる。

「はい・・・ミリアが10歳になるころには、手術せずに能力を覚醒させることができました。というのも・・・僕の能力は神の許可なく覚醒させたもの、ですが、弟、妹たちの能力は神の許可を得て覚醒させたもの。だから、手術しなくとも、脳細胞を植え付けるなど、簡単にできたのです」

そこはやはり、神の力の強さを感じる。

そう思った一同だが、言葉には出さない。

「祖父が神制度を変えたことにより、神にも寿命ができ、神官クラスの者も、死期が決まりました。それに反発したのが、現在の神反対派です」

これが、クラウンが伝えたかった、今回の戦いの背景である。

「そして・・・今回のあなた方の敵の親玉が・・・僕を手術した男、 クローバー・ゴッド・リンカー です」

「!!」

さすがに、全員が驚いた。

敵の親玉が、神官である。

「僕とミリアを除く兄妹たちは、自分たちの改造が、父の命令だと信じ込まされています。ゆえに、今回クローバーに協力したのです。そして、僕とミリアはそれを利用し、クローバーに気付いていないフリをして、敵の本拠地に潜入していたのです」

クラウンが本当に伝えたかったのはこっち。

つまり、クラウンは

こちら側の人間だと言うことだ。

「そして、父は現在、寿命を迎えようとしています。時期神になるだろう僕ら兄妹を、クローバーは始末するつもりだったのでしょう」

ここで1つ、疑問が浮かぶ。

「じゃあなんで・・・クローバーは君たちを改造したんだ?」

キールが代表して尋ねた。

「僕らを上手いように扱い・・・祖父を失脚させた直後、僕らを神にし、上皇的立場につくつもりだったらしいですが、祖父が適切な処置をとったので、それが不可能になったのです」

クラウンの説明で、一同は納得し、理解した。

敵がどれほど権力を握りたいか、

そんなやつが神になったら、世界がどうなるか、

簡単に予想できる。

「お願いします・・・」

「!!」

一同はまたも、驚いた。

「クローバーを・・・倒してください・・・」

クラウンが・・・泣きながら頭を下げたのだ。

「まっ・・・僕らは最初からそのつもりだけどね」

冷静に返すジーニアスに、クラウンはキョトンとしている。

だが、すぐに少し微笑み、軽く頭を下げ、眠った。

しかし、これでわかったこと。

相手は神の能力者。

故に、ロイドたちが倒せなかったあの麒麟と同等か、それ以上の実力の持ち主。

果たしてこの戦い、犠牲者を出さずに勝つことはできるのか?

そして、この戦いにはまだ

「クックック・・・」

裏があるのである・・・。


終わり















後書き
発覚した今回の戦いの裏と、神の子の壮絶な過去。
次回、落ち込む子供たちを復活させる大作戦!?


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