本棚≪愛久愛輝羅好≫

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第33話・前




「サイクロン」

「ッ!!」

洞窟のようなドーム状の形の大きな部屋で、ハルナとジーニアスが戦闘を始めていた。

が、ハルナに今のところ戦意はなく、ただジーニアスの魔術の連打を避けているだけである。

「ッ・・・デス・ハリケーン!」

時々魔術を放ってみるが

「カインド・ディフェンス」

クォーター術は、ジーニアスには通用しない。

いや・・・

「クォーター術・・・僕が知っているものを放っていては、いつまでたっても勝てないよ」

ジーニアスはこの対抗術を作るさい

見たことのある術、ゆえに

過去、ハルナが使った術の威力を参考にして作った。

だから、屍のように、秘奥義を使ったりしないと

ジーニアスにダメージを与えるのは、難しい。

「お父さん・・・どうして・・・」

だが決意を固められないハルナに

手を抜かぬ本気の攻撃など、放てない。

「ハルナ・・・昔言ったよね・・・僕とプレセアのために、立派に育ってくれるって」

「!!」

それを聞いたハルナが、少し俯いて喋りだした。


・・・

ハルナ「私が・・・クォーターエルフだってお母さんに言われた日ね・・・」

ジーニアス「そうだよ・・・」

ハルナ「だって・・・クォーターって言うハンデは自分だけじゃなく、お母さんやお父さんにも迷惑をかけるから・・・少しでも頭良くなって、立派にならなきゃって・・・」

ジーニアス「じゃあその決意を胸に今、僕と戦うんだ」

ハルナ「ねぇ・・・私ができたとき、悩んだりしなかった?」

ジーニアス「・・・正直、悩んだよ。僕はハーフエルフで、風当たり強いから、クォーターエルフの子供を持てば、多分、もっと虐げられると思った」

ハルナ「じゃあ・・・どうして生んだの?」

ジーニアス「・・・僕とプレセアの、愛の結晶だから」

ハルナ「・・・」

ジーニアス「プレセアは体が小さいから・・・もしかしたら死ぬかもしれなかった。でも言ったんだ。産みたいって」

ハルナ「!!」

ジーニアス「僕らはハルナが大好きだよ・・・」

・・・


「ハルナが成長する、その一瞬一瞬、ハルナが笑ったとき、ハルナが泣いたとき、立ったとき、歩いたとき、怒ったとき、スネたとき。全部が愛しい」

ジーニアスは微笑みながら語る。

「だから今・・・その成長の証を、僕にぶつけてほしい」

そして表情を真剣に戻し、気を解放した。

ハルナはニコッと笑い

「私・・・生まれてきて良かった?」

尋ねた。

それにまた、ジーニアスは微笑み

「良かった・・・本当に、良かった」

答えた。

「わかった・・・私の成長の証、今全部ぶつけるよ!!」

ハルナが、動いた。




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