外へ出たくありません

外へ出たくありません

2006年7月9日、ばんえい競馬観戦記


結局岩見沢競馬場に初めて行ったのが1994年の道営、その次行ったのが1997年の道営開催終了の時。カントリーサインにもなっているくらい岩見沢の象徴的存在であるばんえい競馬にはこの歳になるまで一度も行ったことがないというありさまでした。
今週はめったにないのですが、夫が日曜日休み。札幌では札幌国際ハーフマラソンで交通規制があり、うっかりバーゲンセールなんかに車で出かけては大変、それではこの機会に念願のばん馬を見に行こうか、おお、ちょうどサダエリコも出るみたいよ、ということで話がまとまり、出かけました。

夫は道営専門でばんえいは全国競馬便りでくらいしか見たことがないし、私も競馬歴は長いがばん馬は全くわからない。スカパーで何度かは見てD-netで買ってみたことはあるが、全く当たらず未勝利クラス。2人とも知ってる馬はスーパーペガサス、サダエリコ。アンローズは美人、くらいの知識しかない超ビギナー。
行く道すがら夫が言った。
「マークカードあるのかなぁ。俺、口頭で馬券買ったことない」
まさかとは思いましたが、なんせ私も行ったことがないものでそう言われると自信がない。
「D-netでも買えるくらいだから、マークカードくらいあると思うけどねぇ」
一瞬、子ども時代に見たペラペラの馬券が頭の中を通り過ぎて行きました。
口頭窓口って、はっきり言わないと聞き返されるんだよな・・・
100円馬券で聞き返されると、ちょっと恥ずかしいんだよな・・・(え?さぶろくひゃくえん?)
払い戻しもおばちゃんが手動でお金渡してくれるんだよな・・・
と、昭和の香りのする以前の道営のことを思い出しながら、小一時間ほどで競馬場に到着。
入り口では「馬」「競馬ブック」「金太郎」の専門誌屋さんがあり、金太郎に心惹かれつつも無難にブックに。お店の方が無料入場券をサービスしてくれて大喜びで入場。
競馬資料館で「祖父はボルドーで葡萄を曳き 父は北の大地で歓声に震えた」の名コピーのポスターに再会。これが当時の開催日程表に載っていて感動したことを懐かしく思い出しました。

…と、ところで、行く前の私のばんえい競馬のイメージといえば、「週末なのに中央競馬に目もくれずばん馬に通う、キャリア数十年のばんえいプロオヤジ達がいて、障害の前では怒声が飛び交い、熱くなったばんえいオヤジ達がそのままオラオラうなりながら馬と一緒にゴールまで歩く」とかそんな感じで、相当殺伐とした環境を想像して少し緊張していたのですが、入ってみて驚いた。何、このマターリモード。
日曜だからかまず人が多い。年配の人もたくさん、子ども連れがたくさん。カップルも車椅子の人もいるし、犬を連れた人までいる。ここは公園なのかと思ってしまうほどです。駄菓子屋さんあり、竹馬やフラフープ、三輪車乗り放題あり、歓声をあげる子ども達の姿。
これには本当にびっくりして気が抜けました。入場者の喫煙率も低いです。ばんえい競馬、思いの外ファミリー向け。のどかで良いところです。現在の道営の方がまだ殺伐感があります。(ちなみに普通だったら競馬場に犬の入場は絶対お断りのはずですが、岩見沢競馬場では旧道営本馬場の部分だけがペットの入場禁止と書いてあり、それ以外は可のようです。知らないで犬の声を聞くとびっくりします)
心配していた?マークカードもちゃんと置いてあり、ごく普通のマークカードで、流しやボックスのカードもありました。よかった。年配のお客さんが多いためか口頭窓口の数は多めでした。馬券も普通に磁気カードですが、馬の名前やレース名などは入らないシンプルな物。種類は単・複・枠複・馬複・馬単。三連複や三連単はありません。スタンドは相当年季が入っています。女性に大切なトイレ情報ですが、和式で簡易水洗でした。設備は古いながらも清掃がきちんとされているので、嫌な感じはしないと思います。身障者用トイレもあります。

岩見沢競馬場スタンド
スタンド全景。

ばんえい競馬単勝馬券
ばんえい競馬の単勝馬券。サダエリコの単勝ですが名前はなし。

インフォメーションでバックヤードツアーと、メインレース優勝馬との記念撮影に申し込んで1R。初めて見るばんえいのパドック。2歳戦なので馬体重はまだ800kg台と小さめなのですが、でっかいです。今日のメインレースは高馬体重馬選抜ビッグウエイトカップ、一体どんな巨体なんでしょうか。でも大きくてもまだ若馬なので、いなないたりする馬もいました。どの馬も気合は乗っているけれど、それでもみんな目が穏やかで優しい。目が血走っていたり、イレ込んで汗びっしょりの馬は全く見かけません。あまりにもどの馬も顔が優しいので「この馬は牝馬かな、いや男だ。これは牝馬かな、いやこれも男だ」と何度か思いました。競走馬とは全然違います。いつものようにパドックを真剣に見てみたものの、どういう状態がいい状態なのかわかるはずもなく。ハミはノーマルハミと枝バミが多かったです、と言っても何の参考にもならないでしょう(競馬資料館にはDハミの展示もありました)。騎手は鞍も鐙もなしで馬に騎乗して馬場入場します。騎乗する時も普通の競馬のようにひらりと跨る感じではなく、飛び乗るとかよじ登るに近いです。騎手が乗るとさらに馬たちも気合が乗って、小走りになります。鞍のない馬に跨って馬を御す騎手はとてもかっこいい。見ていてばん馬に乗ってみたくなりました。
井馬さんの名調子に乗って入場。この後橇の準備をしたりする関係でかなり時間があり、馬券検討する時間は充分にあります。パドックが参考にならないので新聞の印を参考に買ってみました。

ところで岩見沢競馬場は、道営競馬が開催されなくなった後、スタンド前の道営の本馬場を舗装して間近で第二障害を見ることができるように改装されました。私が最後に岩見沢競馬場を訪れたのは、道営開催最終日の前日でした。あれから9年。直線走路はすっかり馬場ではなくなっていました。ゴール板があった形跡が残るのみ。奥側はばん馬の調教コースになっているそうです。かつての直線走路は、今はパラソル付きのテーブルと椅子があり、子ども達が遊び、一緒に走って応援するファンの声あり、大変にぎやかですが、荒地になった4コーナー方面や、1コーナー方面を見るとなんとも寂しい気持ちになってしまいました。

岩見沢競馬場旧1600mポケット
旧第4コーナー方面を望む。奥は1600mのスタート地点のポケット地点。近くにごみ処理場があるのでカラスやトビが多いです。

岩見沢競馬場旧1コーナー
憩いのパラソルの向こうは、旧第1コーナー。更地です。

内馬場にある調教用橇
内馬場は調教用橇がたくさん置いてあります。

岩見沢に道営競馬は来なくなりましたが、ばんえい競馬は残っていてくれました。岩見沢競馬場から馬と人がいなくなることがないよう、ばんえい競馬がこれからもずっと続くよう祈っています。
さて、旧本馬場から間近で見るばん馬の姿は本当に勇壮で、迫力があり、美しいです。第二障害からゴールまでの追っかけをして見ましたが、障害を降りてから加速がつくため、意外にスピードがあり小走りでないと間に合いません。結構速いです。
ちょっとだけ残念なのは、舗装部分がゴール前10m程で終わっており、ゴール板を斜め後から見ることになり、何が先頭でゴールしたのかわかりにくいこと。大型スクリーンもなく、さらにこの位置では実況も聞き取りにくいので本当にわかりません。ゴール前まで舗装部分がないのは公正を保つためでしょうし、実況が聞こえにくいのはもともと馬場だったところなので当然と言えば当然ですが、ばんえいはあの井馬さんの実況あってこそなので、近くに小さくてもいいのでスピーカーをつけてもらえるとうれしいのですが。

競馬場内を歩いてみると、スタンドのスタート地点側の端で、リッキーが曳く馬車が出発待ちしているところに出会いました。そしたらなんと、リッキー君に乗っている人が!若いおねえさんでした。もちろん一般の人です。次には小さい女の子と若いおばあちゃんが乗りました。えー!乗れるの?乗りたい乗りたい。と、妊婦なのも忘れて乗りそうになりました。リッキー君は一般人が乗ってもとてもおとなしくしていました。リッキー君から落馬することはまずありえなさそうですが、馬が大きいので乗るまでの階段に相当高さがあり、その階段をもし踏み外したら危ないので騎乗は断念しました。もっとも、夫にはその前に止められましたが。

2Rの後、ちょっと競馬場を離れて、本日の2つ目の目的を果たすべく、岩見沢のメインストリート4条通りへ向かい、 らぶりっく!!いわみざわ に参加してきました。2000年12月に火災で焼失した岩見沢駅は、以来プレハブ駅舎でしたが、ようやく建て直すことになり、その新しい駅に名前入りのレンガを設置してもらうという企画です。夫も私も岩見沢出身なので記念に参加してみました。受付は9月30日まで。1個1500円。インターネットでも申し込めますが、直接行く場合は4条通りの西友の斜め向かい新ナカノタナの隣の、プレハブ小屋のような所が事務所で、そこで申し込めます。無休で11時から4時まで受付。事務所はとっても地味です。2回前を通ったのにわからなくて、岩見沢駅まで行って場所を聞いてしまいました。
岩見沢駅が火事になった時、最初に「ホームのばん馬は無事だろうか」と思いました。良く銅像と間違えられるあの立派なばん馬は、付属の説明によると木像です。岩見沢の友達にメールを送って大丈夫と返事をもらった時、ほっと胸をなで下ろしたものです。

無事レンガの申し込みが済み、再び競馬場に戻ってバックヤードツアーに参加しました。
案内の方は馬博士と思える程にとても馬に詳しい方で、お話も上手で楽しかったです。ばん馬のこと、馬全般に関すること、面白い話がたくさん聞かせてもらえました。検量室の中も見ることができます。最後にスタンドと反対側のトロッコの線路内からレースを見せてくれます。場所は第二障害手前です。力を振り絞って障害を上っていくばん馬の姿、熱烈に愛馬を励ます厩務員さんの姿を間近で見られます。写真撮影禁止、携帯電話使用禁止、新聞は出さない、レースを見るときは声を出さない、等の注意事項があります。バックヤードツアーは、日曜日5Rと7R時に行われています。12:00までにインフォメーションセンターに申し込みが必要です。これがもちろん無料なのですから、素晴らしいファンサービスだと思います。また参加したいです。

バックヤードツアーから戻ると時間は1時過ぎ。お腹がすきました。日曜祝日限定でジンギスカンコーナーがあるということなので、そこでお昼ご飯にすることにしました。スタンドの端、リッキー号乗り場近くにU字型側溝ブロックを利用した七輪が10個ほど。お値段は、ジンギスカン(もやし1袋付き)500g600円、うどんが1玉50円と良心的。炭もたっぷりで火力も強く、激ウマです。あっという間に2人前+うどん1玉を完食。すっかり満足した2人が、これだけのためにまた来てもいいのではないかと本気で思ったくらいおすすめです。

お腹も満たされて真面目にばんえい競馬に取り組みました。でも難しいです。全然当たりません。新聞でぐりぐりの本命馬でも、障害がうまくいかないと後から数えたほうが早いくらい負けたりします。その逆もありで、無印で全然人気がない馬でも障害がうまくいくとそのまま勝ってしまったりします。全ては障害次第。枠複でも4ケタ配当が多発しています。
パドックで勝ち馬を探すのは難しそうなので、余計なことを考えず、ばん馬をじっくり観察することに。
ばん馬はとってもカラフルです。栗毛なら全身に白い刺毛がある栗粕毛から、ワインレッドのような濃い栗毛、尾花栗毛も金髪から茶髪までいろいろ。芦毛なら、基本の全身グレーから全身淡い練乳色、身体は青毛のように真っ黒なのに、たてがみと尾だけが真っ白の馬、その逆で長い毛だけが真っ黒の馬、軍記絵巻から抜け出たような連銭葦毛の見本みたいな馬もいます。鹿毛のサクラガサイタ号など、鹿毛なのにお腹に大きい銭型模様が濃く浮き出ていて本当に桜が咲いたみたいでした。ばん馬はとても美しい馬たちです。

そんなことをしているうちに、10R混合別定800万円未満。サダエリコ登場です。ばんえいのクラス分けが不明ですが、条件戦でも規定によってはオープン馬が出られるようです。人気は5番サダエリコ、4番フクイズミ、6番ホクショウファイト。生サダエリコは大きくてかわいかった。芦毛のフクイズミもかわいかった。工芸品のような美しい馬具にも目が釘付け。入場後もサダエリコはゆったりと気分よさそうに尻尾を振りながら歩いていました。これなら大丈夫と思ったのですが。
レースは第二障害をホクショウファイトが最初に上ってきて越えるかと思ったらひざをついてしまい、そこでサダエリコがぐいっと上ってきたと思ったら、なんとこれもひざをついてしまいました(うわぁー転んだー!)。2頭ともすぐに立て直したのですが、その後すぐ登ってきたフクイズミがスムーズに山を降りて先頭、そのまま逃げ切りました。サダエリコ、負けてしまいました。でも生で見られてうれしかったです。

サダエリコ
パドックにてサダエリコ。こっちを見てくれましたがなぜ耳は後ろ向き?

フクイズミ
フクイズミ。馬具もまたきれいです。

サダエリコとフクイズミとホクショウファイト
第二障害、3頭の攻防。

次はメインレースの11R日刊スポーツ杯第24回ビッグウエイトカップ(高馬体重馬選抜別定)。この優勝馬と口取り撮影ができる予定なので期待。高馬体重馬の規定は、入場時の井馬さんの説明によると1000kg以上のようですが、このレースの出走馬はすべて前走の馬体重が1100kg以上でした。本当にビッグウエイト、大迫力です。
パドックに出てくるなり9番プリティブライトがオシッコ。これがまた半端でなく、ホースで水撒きするぐらいの勢いと量で驚かされました。それから2番ヨコハマボーイ。すごいたてがみのボリュームです。毛の総量が他の馬の倍くらいありそうです。人気はきれいな尾花栗毛の4歳馬10番スーパークリントン、続いて2番ヨコハマボーイ、4番シンザンウィークと続きます。レースは第二障害をスーパークリントンとヨコハマボーイがほぼ同時にクリア、加速がよかったヨコハマボーイが先頭に立ち、スーパークリントンも追い上げましたが、ヨコハマボーイが逃げ切って見事優勝しました。
ビッグウエイトカップ第二障害
さて本日最後の目的、優勝馬との記念撮影です。関係者の方の表彰式の間に、長い長いたてがみを揺らしながらヨコハマボーイが引かれてきました。撮影場所は、旧本馬場のゴール前あたり。表彰式が終わると、係りの方に名前を呼ばれます。申込者は2名×2組だけでした。まず関係者だけで記念撮影、その後柵の中へ案内されます。道営のサポーターズクラブのように、申込者全員で撮ってくれるのかと思いきや、それぞれ別々に各自のカメラで撮影してくれるとのこと。うわー、すごい。大サービス。関係者はお2人で、厩務員さんともうひと方だったので、その方が馬主さんだったのか調教師さんだったのかはお顔を存じ上げず失礼ながらわかりませんでしたが、ご自身よりも馬に近い方の引き綱を持たせてくれて、「これはおとなしいから大丈夫」と。かくして、ビッグウエイトカップ出走馬中最高馬体重の優勝馬、近くで見ると山のように大きいヨコハマボーイの、モコモコのたてがみのすぐそばで口取り写真を撮ってもらえました。もう大感激。ヨコハマボーイは、ついさっきまで重い橇を曳いていたとは思えないほど、穏やかな表情で、澄んだ瞳をして、静かに私達の撮影に付き合ってくれました。横で馬主さんor調教師さんが「これのたてがみはね、競馬場で一番。」とおっしゃっていました。本当に、黒い滝みたいに立派なたてがみでした。
ヨコハマボーイ
記念撮影を待つヨコハマボーイ。
ヨコハマボーイのたてがみ
この立派なたてがみを見よ。

私達の他のもう一組のカップルの男性の方は、会話を小耳に挟んだところではヨコハマボーイのファンだそうで、とても感激していたようでした。案内の係りの方と、ちょうど三冠馬が勝ってよかったですね、という話をしているのを聞きました。われわれは2人ともばんえいビギナー、全く知識がなかったのですが、帰宅後改めて調べるとヨコハマボーイは3歳時にばんえいのクラシック三冠を取っていることがわかりました。われわれは知らないうちに三冠馬と口取りしてしまったらしい。ものすごい幸運だったのかもしれません。馬券は全然当たらなかったけれど、これがわれわれのビギナーズラックだったのでしょう。とてもいい記念になりました。
優勝馬との記念撮影は、日曜祝日に行われています。12:00までにインフォメーションで申し込みが必要です。自分のカメラで撮ってもらえるのでカメラを忘れないように。応募者多数の場合は抽選です。これもまた素晴らしいファンサービスでした。お世話になりました皆様、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

こうしてすっかりばんえい競馬ファンになってしまった2人は、また必ず戻ってこようと思いながら家路に着いたのでした。



後日、この日にヨコハマボーイとの口取りに参加されていた方のブログに偶然にも辿り着きました。→ ウッドチップの部屋
口取りに関する記事は こちら です。


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