鑑評会出品酒っておいしいの


正式名称は『全国新酒鑑評会』といい独立行政法人酒類総合研究所(昔の醸造試験所ですね)が主催しています。歴史は古く明治44年(1911年)に第1回目の鑑評会が開催されています。
鑑評会の目的は、『新酒を全国的に調査研究することにより、製造技術と酒質の現状及び動向を明らかにし、もって清酒の品質向上に資すること』(『全国新酒鑑評会』開催要領から引用)であるとなっています。ようするに各蔵元の技術力を競うコンテストなわけです。
まず、全国11ブロックで各地区の鑑評会が行われ、そこで優秀と認められたお酒が『全国新酒鑑評会』に出品できる仕組みになっています。面白いのは地区予選では順位が付くのに『全国新酒鑑評会』では入賞(銀賞とも呼ばれます)と金賞のみになっていることや、やたら金賞が多いことです。
ちなみに平成14年醸造年度の結果はと言うと、出品点数1065点、入賞点数525点(約半分ですね)、金賞点数286点(多いでしょう)です。

次に、どんなお酒が出品されるのかについて書きますね。
実はお酒のスペックについての規定はありません。唯一あるのが新酒でなければならないことです。つまり、あこきちが好きな熟成酒は出品できないことになります。
新酒であること以外にもいくつか規定はありますが、あまり関係のあるものはありません。ただ、ブレンドしたお酒は認められていません。ここで言うブレンドとは異なる仕込みタンクで造ったお酒を混ぜてはいけないと言うことです。

出品されるお酒に規定はありませんが、基本的によく似た感じにお酒になります。
まず、鑑評会では常温で何日間も置いておかれるため、当たり前ですが生酒は出品されません。また、色も重要視されますから、澱が残るようなお酒も出品されません。つまり、今流行の無濾過生原酒といった類のお酒は一切出品されません。また、香が立っている必要があること、さきほど書いたように常温で何日も置いておかれるため酒質が安定していなければならないこと等から出品されるお酒のほとんどはアルコール添加の大吟醸酒になります。

つまり、かなり香がきつく、醸造アルコールで引き締められ、フィルターでさらに濾過されたお酒が鑑評会出品酒の典型ということになります。(もちろん例外もあるでしょうが)
こういう点から、鑑評会出品酒は嫌いだと言う人もいます。あこきちも実はあまり好きではありません。ある意味無理なダイエットした厚化粧の美人と言う感じです。
しかし、当然のことながら鑑評会に出品するお酒はその蔵の持てる技量のすべてを傾けて造ったお酒なのではずれなお酒は無いと言っていいと思います。
また、造りがいいのでどちらかと言うと長期熟成に向いていると思います。(杜氏さんは鑑評会に合わせて味を調整していると思いますが、熟成させると角が取れてきてきれいに歳をとって気品を漂わす大女優ようになるお酒も多いと思います)

で、結論なんですが、鑑評会出品酒や金賞受賞酒だからといって必ずしもおいしいわけではなく、香が立っているお酒が好き、端麗で淡麗あくまでもきれいなお酒が好きな人には向いているが、日頃純米酒を好んでいるような人には向かないと思います。



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