GO GIRL!

5.ついに就職、そして．．

１．２歳の子供がいて３０歳過ぎの就職活動は思ったより厳しかった。
コンピュータも英語もそこそこ出来る私は、仕事なんていくらでもあるとたかをくくっていた。
しかしこれが見事に落とされること！
面接してもらえない。履歴書でダメ。
横須賀のハローワークに真剣に相談した。
そこで言われたのは”３０歳過ぎで職歴も学歴もけっこうあると逆に敬遠されちゃうのよね”
”な、なんだそれ！！”
結局２０代のそこそこに仕事ができる女性が会社には扱いやすいという事らしい。
といっても私はじゃあ本当にスキルを必要とする外資系でバリバリ働けるほどかと言うと、
それにはスキルがまだまだ足りなかった。
中途半端．．．．
今は不景気で本当に厳しいんだ。
それはハローワークにいる山のような人を見れば分かる事。

別コンテンツにあるように派遣の仕事にもトライしたが、全くうまくいかなかった。
その間ももちろん食品のデモンストレーターと夜の荷物仕分けバイトはやってたから、
この時もかなり疲れきってた。
イライラもかなり溜まっていた。

唯一救われたのは、主人の態度がどんどん優しくなっていった事。
その頃には主人も基地内でバイトみたいな仕事だけど見つけて、
収入はあったのだけど、その内訳全てを明白にしたし、
買い出しでもなるべく私のお金を使わせないようにした。

何度となく仕事の面接に落ちて落ち込む私を元気づけてもくれた。

例の浮気相手とも、完全に終わった事を証明する彼女からのE-mailをみせ、
夜遊びもほとんどしなくなった。
何より家族のために、自分がなんとかしなくては、
頑張らなければという姿勢が見えてきた。
その為に君と僕は一緒に頑張っていかなければならないんだ、と
何かにつけて言うようになった。

相変わらず不満な面や、小さな口論はあっても
信じられないくらい平穏で楽しい日々。
主人を変えようとやっきになる力もなくなり、
何も言わなくなった私。
毎日疲れてやつれてる私。
なにが主人を変えているんだろう？
”君の強さ”と主人が言う。
”こんな奥さん他にはいないから、逃しちゃだめだって思うんだ”

そんな中、国内大手コンピュータ会社でのヘルプデスクの求人を見つけ、
ダメモトで応募したらすぐに受かった。
しかも次の週から働いてくれという。
それが2004年の3月。
研修はすごく大変だったけど、１か月経ってみれば素人だった私が
すっかりコンピュータに詳しくなり、トラブルの解決策を人に指導できるほどに。

保育園に通い始めた子供は毎日のように病気ばかりだったけど、
主人の協力でなんとか乗り切って来れた。

主人もコンピュータ関係の仕事なので、私が今の仕事に就いてから夫婦関係は更に良くなった。
私も主人が好きな物に興味があるし、お互い学び合える事が、
何より二人を近づけたと思う。
更にこの業界の厳しさや、資格の詳細もわかるので、
今まで理解しようとしなかった主人のストレスや将来への不安が
私にも実感できるようになった。

その仕事を始めてからもしばらくは夜の荷物仕分けのバイト続けていので、
あまりの過酷な毎日に私を心配した主人は
自分も夜のバイトをはじめ、夫婦が一緒に過ごす夜は週に１回になった。
その貴重な時間も疲れきった私たちはたいていバタンキュ－で寝てしまっていたけど、
抱きしめあっているだけでも私は幸せを感じた。
主人にこんな感情を持ったのは何年ぶりだろう？

その後私の仕事も軌道に乗り、帰りの遅い私に変わり
主人もすっかり変わって家の事ほとんどをしてくれるようになった。
そして一念発起、単身インドへ渡りコンピュータの上級資格を各種取得。
翌年には「高卒、軍人経験のない」主人では絶対に無理だと言われていた
アメリカ政府雇用の仕事をGet。
と、同時に私自身も超大手外資系コンピュータ会社への転職が成功、と
一気に幸せと安定が我が家にやってくる。

そして2007年には思いがけず3人目の男の子を授かり、1年の産休を経て
2008年に私は専業主婦へ。

共同の銀行口座すらなく、何一つ共有している実感もない。
毎日離婚を考えていた毎日から6年、
私は自分の車を運転し、財布には主人名義のクレジットカード、
仕事をしなくても支払いの心配は何ひとつなく、
何よりベッドの隣には毎日主人がいる、
そんな当たり前の、でも私には信じられないくらい理想的な
生活が送れるようになった。

今まで色々あって泣かされてもきたけど、
初めてあったときの主人は19歳。
今年で出会って13年目。
彼も自分がなりたい男になる道を模索して、成長する時間が必要だったのだろう。
私も今まで恨んできた自分を囲む辛い環境があったから、
今こうしてここにいる。
だってもし私に仲の良い両親と、たくさんのお金があったら、
間違いなくとっくに主人と離婚してただろうから。

人の人生は色々だ。特に結婚生活の真相は誰にも分からない。
明日どうなるか分からないし、コントロールできないから一生懸命生きる意味があるし、
人と自分の境遇を比べてもどうしようもない。
悲しいけど人生って不公平でしょ。

でもスタート地点はどうであれ、自分の目指すゴールがあれば、
それに向かってまっすぐ進むのみです。
他人からどう見えても、自分が信じていればそれで良いのです。
そしてどんなに辛くても、そんな日々はいつかきっと終わります。
頑張りすぎなくてもきっと終わります。

大切なのは自分自身で幸せになれる、と信じ通す強さです。
残念だけどそればっかりは手に入れるのに少しの時間が必要です。

だから頑張って、顔を上げて、涙を拭いて。
そして自分なりの結婚生活、家族をあなた自身の強さで築いていってください。

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