マイプライベートBL

マイプライベートBL

久我有加

久我有加

書籍名: 何でやねん!(1)
出版社:新書館 ディアプラス文庫
何でやねん!(1)
感想:
初めての作家さんです。BLで漫才。初めての取り合わせだったので買ってみました。会話はほぼ大阪弁です。
高校生の主人公・相川仁は同級生の土屋来(キタル)に入学以来「漫才の相棒になってくれ」と懇願され続けます。昔、東京で自分の喋る大阪弁をからかいの種にされ、いじめを受けていた仁は笑われるのが嫌い。いじめがきっかけで強くなろうと思いキックボクシングをしている仁は、大阪に戻ってからもいじめの心的外傷が残っています。それなのに毎日土屋は仁に漫才しようと言ってきます。
最初、なんで土屋にとって仁でなければならないのかわかりませんでしたが、理由はありました。仁の声のトーンと日常会話の中の突っ込みの絶妙なタイミングの良さ。それが理由でした。
漫才をテーマに取り上げられてるので、ギャグ満載かと思いきや、わりあいシリアスでした。土屋の行動や友人・新田兄弟の存在は笑わせてくれますが、仁のいじめられた体験、それが原因の心的外傷、そして仁と土屋のビミョーな関係に悩むところは青春真っ只中で悩む男の子のお話でした。
エッチは青少年なので(?)1回こっきりでしたが、かなり情熱的。ひたむきというか、何というか。土屋が攻めくんなのですが、すんごいヘタレです。仁のほうが男前です。

評価:C
エッチ度  ☆☆★★★
感動度   ☆☆☆★★
ワクワク度 ☆☆☆★★

書籍名: 何でやねん!(2)
出版社:新書館 ディアプラス文庫
何でやねん!(2)
感想:
まずのっけから、表紙最高!!ユギさん最高!
仁と土屋のツーショット、麗しすぎー!

前作で漫才コンビ『バンデージ』を結成した相川仁と土屋来。プロになって3年間は泣かず飛ばずだったが、土屋のドラマ出演を機に知名度が上がり顔も売れてきた。深夜枠コント番組のレギュラー出演や仁のドラマ出演に加え、同業者からのやっかみなど、仁は肉体的にも精神的にも仁は追い込まれてゆく。恋人であり相方の土屋の重石になりたくない、足を引っ張りたくない、という思いから、ついに仁は漫才をやめる決心をする。

相川仁はなんという男気にあふれた受けなんでしょう。
対等でありたい、土屋の枷になりたくない、土屋のことを思うからこそ、漫才をやめたいという結論。ラブラブであればあるほど、仁は苦しくなります。
元々、笑われることに対する苦手意識があるのに、肉体的に疲れ果て精神的にもますます疲れていく仁が辛いです。漫才をやめようと思うまでの過程は、わかる気もするけど、はたから見て土屋としては自己完結するのでなく、自分を頼ってほしいだろうなと思いました。
土屋はかなりなヘタレくんです。漫才をやめると言った仁を思い、1人で頑張ろうとしたけど頑張れなかった、と仁の入院した病室で、ウォンウォン泣きます。仁の男前さを分けてもらったらいいのに。
仁が精神的に追い込まれていく過程の原因には、この土屋のヨロヨロなフォローのせいではなかったか、と思ったのですけど・・・
新田優勝は2人の友人代表ですが、いい男です。
まめ男というか、ツボはきっちりタイプ。こういう男の人っていますね。主人公にはならず、陰の立役者みたいな人。そういう人って、リアルの世界でも好きなんですよね。
今回も泣けました。文も文句なく上手いし。
仁の魅力をビジュアル化したユギさんの効力もかなりなものです。
読めて幸せでした☆

評価:A
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆☆☆☆☆
ワクワク度 ☆☆☆★★

書籍名: スピードをあげろ
出版社:新書館 ディアプラス文庫
スピードをあげろ
内容:
家の跡取りだった兄が突然の家出。大学生の蓮見裕志は父への反抗心を持ちながらも、家業を継ぐべく父の言いつけ通り、東京都大阪に飲食店を経営する多田義信の元で皿洗いのバイトしていた。皿洗いにも厳しい多田。おまけにバイト以外の課題も出される。多田のマンションを訪れた裕志は中から出てきた女に頬をぶたれる。女は裕志を多田の恋人と勘違いしたらしい。多田に激怒した裕志は多田に怒りをぶつける。余裕綽々の多田の口から、自分が片思いをしていること、裕志は多田の好みではないことを告げられ、さらに激怒する裕志。
余裕があって大人の色気漂う多田。彼の前に出るとますます子供っぽくなる裕志は、多田のことが気になる。そして多田のことを好きなんだという自覚をもちパニックする。

感想:
9歳年の差カップル。裕志がかわいい。多田が可愛がるのも無理ない。いちいちガミガミ言うのは照れてる証拠かな。反抗心だけは格別にあるけど、それも良い方向へ向かう。素直なのか、根性があるのか。
そんな裕志を大人の余裕で抱きこんで可愛がる多田は、少々オヤジくさいなぁと思ってしまったデス。29~30歳だよね。30歳でデキる経営者は大人、か。21歳にしてみれば、30は確かに大人だ・・・どうでもいいけど。
一番良かったのは、「ブレーキをかけろ」のラストあたり、多田が裕志のことを調査して悪かったと告白する周辺。そこからの流れが良かった。見えない相手に嫉妬する多田が非常に人間的で、大人な反応を見せることの出来ない余裕の無さが、実は裕志にはしてやったりな所ではあるのだ。そんな多田を純粋に喜び、情熱的なまでにぶつかれる裕志の若さが少々羨ましかったりする。

それからエッチは、あーしたこーしたとそんなに詳しくは描写されていなかったと思うけど、裕志と多田の会話でえらくモーソーしちゃって、私的にはツボでした。

ただ私の好みではなかったのがイラスト。特に多田は「大人」なのだからもうちょっと線の太い感じがいいな。表紙の多田は学生さんのようだ。

評価:C
エッチ度  ☆☆★★★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆☆★★

書籍名: 春の声
出版社:新書館 ディアプラス文庫
春の声
内容:
生粋のナニワ育ちの岬篤也は桜ビールの営業マン。会社の派閥争いに巻き込まれ、東京に左遷されてしまった。それでも自分の信念に基づいて押しの強い営業をするが、上手くいかない。エリート候補の新人・辻岡浩明の標準語も猛烈に気に食わない。営業先で知り合った多田は東京で唯一出合った関西弁の男。その言葉に惑わされ、多田に懐く篤也だったが、そんな篤也に普段は逆らわない辻岡が逆らった。

感想:
篤也の言葉へのこだわりにすごく共感を覚えた。標準語が悪いわけではないが、東京で田舎言葉を使うと馬鹿にされるという風潮は多分本当だと思うのだけれど、どうだろう?私は過去東京には1度しか行ったことがないけど、方言丸出しだった。そしてその言葉にヘンな優越感を抱いていたのも事実で、それは郷土愛というものだと思う。ナニワっ子の篤也が関西弁を愛するのがよくわかる。
そんな篤也の郷土愛につけこもうとした多田は狡猾な男です。ま、「スピードをあげろ」でもわりあい狡さと脆さを併せ持った人物像だったので、納得できる。

ただ、私の受けた篤也の印象が「春の声」と「スピードをあげろ」で全く異なった。先に「スピードをあげろ」を読んだのだが、篤也はもっと従順で美しい弱い感じの人か、と思っていたら、なんと喧嘩っ早くて根性の男。反対に辻岡はヘタレくん。
攻め男の辻岡、実に可愛いのだけど、「夏の声」では少々過剰嫉妬のような気がした。

イラストは、今回は2人のイメージにピッタリ。でも、やっぱり多田だけは絵を変えたほうがいいような気がする・・・

評価:B
エッチ度  ☆☆★★★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆☆☆★

書籍名: 長い間
出版社:新書館 ディアプラス文庫
長い間
内容:
今売り出し中の俳優・高梨司と渡部真一は高校時代からの親友だった。東京に出てからも互いに故郷の関西弁で気さくに喋りあう。しかし司に降りかかったちょっとしたスキャンダルで2人の関係はあえなく崩れる。それは新たな関係への予兆。

感想:
わりと昔に書かれた作品らしい。古臭くはなかったけど、展開としてはありきたりな印象だった。主人公2人がくっついていく過程が予想できてしまったんだよね。でも、若い主人公ということもあって(と言っても大学生だけど)新鮮さはあった。
2人の感情がすれ違うところが少しだけ切なかったけど、ひっ迫するほどでもない。焦れた感じがする程度。でも互いの心理変化を丁寧に書かれてあって好感度はまずまずだった。それから関西弁も、ネ。

「長い間」は司が自分の気持ちに素直になれ、真一に告っておわり。その後が書かれてるのが「あいたい」である。真一が司を好きだということを自分で認めていくまでのお話。こちらの方が長文だし、真一の心の動きがわかっておもしろかった。司の傲慢に腹をたてるところもすごく理解できる。たとえサラリーが低くても、自立した人間として生きたい、庇護されるのはイヤ、という真一に好感。

真一のスタンスとしては、あくまでも一般人に甘んじ、陰の恋人であり続ける。一方、司は俳優としての実力を積んでいく、という展開になるのだろうが、もういっこの展開として、真一も司のマネージャー・西尾にスカウトされてモデルとか俳優になり、2人がライバルになる、というのも読者の心理を裏切って案外いいかもしれないと思った。

エッチィはナシ。やっちゃってるんでしょうが、描写なし。少々残念な気もするけど、これでいいかな、とも思える。どうなんだろう?エッチは必需品?

評価:C
エッチ度  ☆★★★★
感動度   ☆☆☆★★
ワクワク度 ☆☆☆★★

書籍名: 落花の雪に踏み迷う
出版社:新書館 ディアプラス文庫
落花の雪に踏み迷う
内容:
時代は大正。橋口廉は母譲りの美貌を持つ。花街の芸子の息子であり、今は人買いを生業としていた。2年前の16の時、駆け落ちを誓った男がいた。迎えに来ると言った男・近本達臣は廉を迎えには来なかった。だから廉は花街の用心棒、人買いになった。
初めての仕事で寒村に来たが、町の事情は変わっていた。鉱脈が見つかったことで町人は財閥の事業に呑みこまれていたのだ。しかも、鉱山財閥は金銭の面で明らかに町人に嘘をついている。そしてその鉱山の社長は、廉を迎えに来てはくれなかった達臣であった・・・

感想:
これは明らかに叙情的な作品だよねぇ。全体的に独特の雰囲気が漂っている。故・五社秀雄が作った映画のような。

たとえ憎んでいても、自分の生まれた町は捨てきれないものだ。廉の花街を憎む気持ち、憎んでいるのに出て行けない気持ちが切ない。桜の木の下で待つ廉が哀れだ。もし達臣のことを知らないままに過ごしていたら、廉は自力で花街を出ただろうか?
達臣は達臣で、実は廉を捨てたくて捨てたわけではない。父親の差し金ではあるのだけど、それに翻弄されて、廉のために一生懸命に頑張る。2人の気持ちが同じなのに、方向性が違ってしまった。そのことで気持ちの感覚に距離が出来てしまう2人。嘘をつく達臣を信じたい廉と、信じさせることの出来ない財閥感覚の達臣の距離が遠いな、と思った。

廉の外見は花の顔ながら極道にも恐れられる「弁天」の一員であるため、実は屈強の男なのだ。鉈で襲われても抵抗できる。そこが普通の受け君とは違うなぁ。こういうのがいいんだよね。知らないうち庇護されるのではなく、受けでありながら攻めクンを守ってあげる逞しさ。世の中に疎いのは達臣の方かもしれない。

この2人、異母兄弟なのだけど、うーん、それは必要だったかなぁ?これだけ2人が血の繋がりにこだわらない(葛藤しない)展開であるのなら、いっそのこと血の繋がりなどなくてもよかったかもしれない。廉の父親は不明、かもしくは、別の財閥の人でもよかった気がする。

言葉使いは相変わらず関西弁だったけど、無意味なカタカナを使わずに日本語で表現したあたり、時代をそこはかとなく醸し出す雰囲気がよかった。大正時代なのに、これは現代のお話か?と思いたくなるような会話でなくてよかった。

評価:A
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆☆★★

書籍名: 短いゆびきり
出版社:新書館 ディアプラス文庫

短いゆびきり

内容:
21歳大学生×29歳リーマン、年下攻め、初恋成就、純粋・ほのぼの系ラブ

感想:
久我さんなので関西弁である。いい響き。ホンマモンの関西弁。

攻めくんの昇はワイルドという設定だが、保育士志望。小学のときから高校生だった敬祐を好きだった。私にとってワイルドは外見も中味もハードな設定が好き。なので、外見がワイルド、という昇の設定がちょっとガッカリだったかな。
ただ、敬祐一筋には、いっそすがすがしささえ感じたのだ。小学のときから攻めかい、って。

敬祐も特別いい男ではないし、庶務課の冴えないリーマン、という設定がすごく気に入った。
昨今のBLは顔よし、体躯よし、職業よし、金持ち、という設定が飽和してる。こういう地道な庶民的なお話を普通に書ける作家さんは、私にとって希少価値がある。

ただ、やっぱ先に言ったとおり、私が最初に持った昇の印象と、実際の昇のギャップに少々不服なので、評価が下がってしまった。

評価:C
エッチ度  ☆☆★★★
感動度   ☆☆☆★★
ワクワク度 ☆☆★★★






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