出産
その間いろいろな検査をされ主人が先生に説明を受けている。
私も説明を受けた。
このまま血圧が下がらなければ出産しなくてはならない事。
出産になったら推定１５００ｇ未満でこの病院では対応できない事。
今の所胎児は元気で母体の状態が良くなれば妊娠を維持できる事。
もし何かあった時、胎児よりも母体を優先する事。
そんな説明を受けた数時間後には この病院では見切られ ＮＩＣＵ のある病院に転院を進められた。
未熟 なまま生まれてしまい子供だけ ＮＩＣＵ に搬送されるよりも、今母体ごと搬送できる時に転院された方が胎児にとって良い。
という考えからだった。
私も主人も直ぐに同意し搬送先を探してもらった。
一番近くの大学病院はＮＩＣＵに空きがなく実家から１時間家から２時間半の Ｔ市のＴ総合病院 に搬送が決まった。
すぐに救急車がやってきて私は 目隠し をされた。
血圧が高いため少しの光の刺激でも血圧が上がる恐れがあるためらしいが、これもまた辛い。
誘拐されて知らない所に連れて行かれる気分だ（笑）
はじめて乗った救急車はとんでもなく揺れた＋目隠しをされていたのもあり、病院に着いて早々私は吐いてしまった。
着いて早々 Ｔ総合病院のＨ先生 は付き添いで来てくれた Ｍ先生 を怒鳴っていた。
「なんでこんなに血圧が高いのに今までちゃんとした対応をして来なかったの！」
それを聞いて、 あ～かなりやばかったんだ～ と ヒヤッ！ とした。
そこでもまた エコー やら ＮＳＴ やら 血液検査 やらとにかくいっぱい
いじくり回された。
診察室は薄暗く目には目隠しをされて、まったく何も分からない。
そのうち主人が通されたが、声だけで 主人がどんな顔をしているのかも 、
今部屋に誰がいるのかも分からなかった。
ナースステーションに 一番近い 個室に移された。
部屋は 暗幕で真っ暗 、看護師さんも懐中電灯も使えないため、部屋で使う小さな豆電球を使っていた。
もちろん電気をつける時は目隠しをされた。
日付が変わり朝なんだろうか、廊下には妊婦さんの声が聞こえて来た。
暗幕を貼られ真っ暗なため、 昼も夜も分からなかった。
私はどんどん苦しくなってきた。
激しい頭痛と胸の痛みと苦しさが酷く、何度も看護師さんを呼んだ。
正午近くになると Ｈ先生 がやって来た。
Ｈ先生「もう母体が限界だから、赤ちゃん出しましょうね。」
私は内心 ホッ！ っとした。
この苦しみから開放される、早く出してください そう思っていた。
なんて酷い母親だろう、早く世に出されて子供はとても辛い思いをする事になるのに・・・。
この時は本当に自分の事しか考えられなかった。
後々なんでもっと我慢できなかったのかとても後悔する。
手術は慌しく用意がはじまり主人は手術の時間には間に合わなかった。
手術は全身麻酔で帝王切開だった。
１９９９年 １０月 ８日
午後２時２２分 １２８０ｇ の小さな 女の子 が産まれた。
私は産声も、姿も見れなかった。
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