父の想いと映画「赤い月」




 終戦前後の満州(中国東北部)の話なんだけど、はじめの舞台となった牡丹江は、実は僕の父が終戦直前までいた土地。8月6日にソ連軍の侵攻が始まって、父は一人で日本まで逃げて帰って来たという話を何度も聞いていたから、その時の父の想いを知りたい一心で僕も見た。2夜連続のドラマだったから、次の日(つまり今日)も見たのだけど、父の当時の想いというのを想像しながら見ていて、やるせなくなってきた。でも、この歴史からも目を逸らしてはいけないんだと思う。当時異なる民族が入り乱れる中で戦争に敗れ、財産を没収されながらも日本に帰ろうとした日本人の方々。日本統治が残した傷。朝鮮族も満州族(女真族)もそこにはいて、どの民族も生き延びようと必至だった。
 そこは僕のルーツでもあるのだと思う。父があの時満州にいなかったら、いまこうして僕は韓国人の血が流れている事を誇りに思わなかっただろう。父は常々僕に「朝鮮人の血が流れている事を隠すな。」と言ってきた。その原点が牡丹江にはある。幼い頃満州(中国東北部)で朝鮮族や満州族(女真族)や漢族の子供たちと遊んだ記憶が父の他の民族に対する考えを育み、今の僕に受け継がれているのだ。それは、まさしく心のルーツだ。僕の心のルーツだ。僕のルーツは中国東北部にもあるのだ。

 ルーツは血だけの問題では無い。自分と言う人間が如何なる経緯で今に至るのか、自分の親や祖父・祖母や曽祖父・曾祖母がどの土地でどのようにして生きてきたか、それを辿ることでも在るのだ。



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