最果ての世界

最果ての世界

王女・イデア


れた私の名前。私にとって、少し誇らしく少し重たい名前。

 私の父は、デルクの一代前の王だった。現在の王、イディスの双子の兄に
なる。そして、その父アディスを私は知らない。私が生まれる前に、この世
を去ってしまったから。自分の弟の手によって…。
 そして、私の母はヴィルヴィーア。昔、存在した隣国パルテアの王女であ
り父に妃として望まれて王妃となったと聞いた。今はイディスの妃。

 私自身は、生まれた時から道具として扱われてきた。イディスが母を縛る
ために、この国の民に信頼させるために、父を慕っていた者を従わせるため
に。それは、イディスの言葉ひとつを取っても感じ取れるほどに。
 私はずっとこの国の王都にすら入れない。王都から遠く離れた場所に監禁
されるように押し込められた。全てにおいての行動に制限を加えられ、この
土地から出ることさえ出来ない。
 それでも、私はひとりではなかったから。母上が傍にいたから。そして、
義弟であるロイもともにあった。イディスの子だと言っても、彼が生まれた
時から傍にいた。私には、愛しく大切な義弟だった。

 私の育った場所は、パノスという土地で。そこはすぐそばにラライアとい
うエルフたちの住まう森がある。その森へ私はいつも足を踏み入れていた。
誰も気にせず、自由になれる場所だったから。そして、そのうちにエルフた
ちと仲良くなった。友達、そんな関係だったのかも知れない。
 彼らは私を自分たちの城へと誘ってくれたり、森の中を案内してくれたり
してくれた。私も彼らを母や義弟に紹介し、話をして貰ったことが何度もあ
った。そして何よりも彼らの住まう城ユディン・サリには多くの書物が保管
されていたので、私はすごくたくさんの知識を得ることが出来た。
 今にして思えば、この頃が幸せと呼べる時間だったのかも知れない。

 しかし、運命の神はとてもいたずらが好きなのだろう。すぐに新しい『変
化』を求めてくるのだから…。それは、私にとって『急変』だった。


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