人間は、間違う生き物です。
これをあざ笑うのではなく、
受け入れ、抱きしめたいものです。
間違うからこそ、いとおしいものだと思います。
でも、だからこそ、生活者としては、この情報社会を
うまく泳いでいく、知恵を身につけなければなりません。
それこそ、科学的思考能力だと考えます。
今さらながらですが、「脳トレ」ブームには、
さまざまな嘘や勘違いが含まれているという指摘がなされています。
今年のはじめごろから、イギリスの研究機関から、声が上がったのを契機として
多くの学者が、疑問の声を上げ始めました。
いやあ、怖いですねえ。いろんな意味で。
メディアによる喧伝には、常に不正確で疑わしい情報も含まれています。
とくに、脳「科学」という名前がつくだけで、科学的根拠があるようですもんね。
みんな疑いもなく、信用してきたわけです。
この脳の神話だけでなく、
食品の例を挙げれば、魚に含まれるDHA
チョコレートの中のGABA
なども、クエスチョンマークです。
大阪大学の藤田一郎教授はニンテンドーDSソフトについても
例を挙げて検証しています。
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』シリーズは、
東北大学の川島隆太教授が監修を務めていますが、
同ソフトのホームページには、
脳を鍛えることがどのようなことなのかが説明されており、
さまざまな作業をしているときの脳の活動範囲を、
機能性MRIを用いた血流図であらわし、複
雑な問題を解いているときよりも、
簡単な計算問題を速く解いているときのほうが、
活動部位がはるかに広範であることが示されています。
ところが藤田教授は、挙げられた実験データについて、
その実験方法自体を疑っています。
川島教授は、実験の一つとして、
認知症患者に計算と音読を週に2~5日、半年間行ってもらい、
学習を行っていない認知症患者に比べて
脳にどのような変化が起こるかを調べています。
この実験の結果、
認知機能の低下の防止、前頭葉機能の改善に成功したとされています。
まず、この実験結果の統計処理にも問題があったようですが、
百歩譲って、有意な差があったにしても、
科学実験の方法論からすれば、
この実験のやり方自体に問題があったようです。
適切な対照群の設定のない状態で実験がなされていたのです。
この実験においては、音読や計算をする人たちには、専門の若いスタッフがつき、
会話や指導を行う中で実験が進められていていましたが、
対照群とされていた人たちには若いスタッフがつくことがなく、
したがって脳の機能の向上が
「若いスタッフと半年間交流しながら音読・計算を行った人」と
「何もしなかった人」との間で比較されていることになり、
適切な科学実験とは言えず、
単純作業を繰り返すことが脳の機能を向上させることの裏付けにはなっていない、
と藤田教授は主張しています。
また、川島教授本人も、このことを認めており、
認知機能の上昇はスタッフとのコミュニケーションの機会の増加によって
もたらされたのかもしれないという解釈を示しています。
この実験は留保のあるものなのです。
ところが、ニンテンドーDSソフトとして発売するにあたっては、
このように根拠として不十分な実験が、
商品の効果を科学的に裏付けるものとして扱われています。
発売元の任天堂は、ソフトを開発する際には
川島教授が脳の活性化に効果があることを科学的に実証した内容のみを
ソフトに収録しているとし、
あくまで川島教授の研究をゲーム化したものという姿勢を示しています。
藤田教授は、こうした反証例を数多く示し、
脳科学者が時間をかけて検証すれば、
世の中にあふれている脳科学の情報の大半が、
しっかりとした科学的根拠のない憶測であることを示しています。
さらには、そうした情報が確実なものでないことを薄々知りながらも、
商売のために、まるで科学的根拠があるかのように
装って販売している企業も多くあることを指摘しています。
さまざまな情報が飛び交う社会のなかで、
私たちは何が正しいのかを自分で判断する必要があります。
そして、意図するしないに関わらず、
世の中には嘘、ごまかし、勘違いが多く存在します。
大半がそうだと言ってもいいわけです。
だったら、私たちは、日々の情報や物事に対して、
自分の眼と思考によって物事の真偽を問い、
判断を下していく姿勢を身につけなくてはならない。
有名な学者がテレビで紹介しているからといって
また、学校の先生が言っているからといって、
すぐに信じないメンタリティーを身につけなければ。
教科書に書いてあっても、
別の考え方もできるのではないか、と二三度は自問するクセ。
これこそ、学校教育の必須項目だと思うのですが。
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