発達障害児が伸び伸びと育つために~保健師の目で見た子育て~

あなたのせいじゃないんだよ。



「こんな理由」・・・に色々な理由を挙げてこられます。

離婚したから・・・兄弟が多いから・・・一人っ子だから・・・母親が働いているから・・・寂しい思いをさせているから・・・お姑さんが口うるさいから・・・喘息薬を飲んでいるから・・・父親が育児に介入しないから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
親(私)がぶっているから・・・・・。


でも、見ると明らかにお子さん自身が課題(障害)を持っていると思われることがあります。

そういう時、どんな言葉も母親の心には届かないことが多くて、悲しい思いをするのですが、
私は必ず「お子さんが育てにくくて苦労なさっているでしょう。周囲の人から辛いことも言われているかもしれないけど、お母さんの育て方のせいだとは思っていませんよ」と伝えます。

すると、なかには
「私の育て方のせいなんです」
「自分が虐待しているんじゃないかと思うんです」と、
涙を流しながら話しを始める方もいます。・・・心の中にたくさんため込んでいた涙・・・あふれてきます。ため込まずに流せてよかったね。


発達障害を持つ子どもは、やはり育てにくいですよね。

だから、親がついヒステリックになってしまったり、時には感情的にぶってしまったり、怒鳴りつけてしまったりすることはよくあります。

あなた一人じゃないですよ、みなさん、そんな経験ありますよね。

多くのお母さん方は、自分のやったことを恥ずかしく思い、
怒鳴られてめげている我が子の姿を見て落ち込み、
「私のせいだ」「私、虐待しているんじゃないかしら」と、
自分を責めているのです・・・・・。


特に診断前は、親も混乱していますから、感情的に子どもにあたってしまうことはあって当然です。


あたってしまうことを問題行動の“原因”にして、これさえやめることができたら、子どもはよくなるのだから、受診などする必要はないのだ・・・と、さらに自分を追い込んで、迷い込んでしまう人・・・たくさんのおられます。

親がぶつことをしなくなったら、子どもは問題行動がなくなるのでしょうか?
私のこの子への対応をこう変えることができたら、子どもはよくなる・・・でしょうか?


我が子をぶってしまうお母さんに対しても、
私は「お母さんの育て方のせいだとはおもっていませんよ」と伝えたいと、いつも思っています。本当にそう思っています。


虐待されている子の多くが、実は発達障害を持っている、と言われています。知らないでいると、育てにくいということなんですよ・・・親への支援がまだ足りない・・・ということなんですよ。

親への支援者がいなくて、そこまでエスカレートしてしまうしかなかったということなんです。

もっと早くに発達障害児を発見し、早期療養を始められるような体制を整える必要があると思います。

しかし、それと同時に、
「ハリネズミ」のようになってしまって、相談を受けられずにいる多くの母親が、心を開くことができたらいいな・・・社会システムが整っても、母親が心を開いていなかったらサービスを受けられないんです。

誰もあなたを責めていないよ、誰もあなたのせいだと思っていない・・・そういって母親が楽になれて、心を開ける場所が少しでも増えたらいいなと思っています。

それと同時に、どうか、客観的に子どもを見つめてみる冷静さをもち、あなたのことを心配し、支援したいと思っている人がいることを信じて、自ら心を開いて、話に耳を傾けていただけたら・・・と、願ってもいます。

Akiko


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: