After the evening glow ~夕焼けの後に~

After the evening glow ~夕焼けの後に~

~序章~



彼や彼にとってのモノすべてが「無」だ。

ただこの場所で息を吸って生きているだけの存在・・・。

彼の仕事は名目上は肉体労働という奴隷のような扱い。

名前は無いが彼には呼び名がある「P-38」という番号が。

しかし彼はなんと呼ばれようが何をされようが文句も言わない。

むしろ言うことがない。感情がないから怒りも苦しみも喜びも無いからだ。

・・・そんな中、彼は一人の人物と出逢った。同じ場所で働かされている女の子と。

彼女は本当の名前もあり、感情もあり、心もある。

そして彼女はこう言った。

 「こんにちわ」

感情の無かった彼も、生まれてはじめて「不思議だなぁ」と思えた。

なぜ俺にあいさつをするのかという疑問を抱く事が出来た。ほんのわずかだが心も持てた。

 その日から、ずっと同じ場所を指し続けていた彼の運命の時針は動き始めた。

・・・世界の変化とともに・・・
                      ~序章~  完
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