After the evening glow ~夕焼けの後に~

After the evening glow ~夕焼けの後に~

第三話 ~脱獄~



「でもさっきは無反応だったのに・・・」彼女は言った

しかし彼はそんな言葉を気にせずに行動を開始した

ガンガン

おもむろに彼は鉄格子を手で叩いた。鉄の冷たさが肌に伝わって来る

「これならいける」

・・・彼は“心”の中でそう確信すると、鉄をすごい勢いで曲げた
鉄はまるで消しゴムのカスのようにぐにゃぐにゃになった

たとえほんの微かでも人には見えなくても、彼は知らず知らずのうちに、
人間らしさというものを彼は取り戻し始めている

その証拠に、アーネストが「すごい!これで外に出られるね」と言うと、
彼の無表情だった顔に、喜びの意味で微笑が浮かんでいた

音をたてずに窓から先に彼が飛び降りた。高さは3メートル弱だ

次いで、アーネストが飛び降りた。それを彼が怪我をしないように受け止めてあげた

「よかった!アリガトねこんな無茶に付き合ってくれて・・・。」
彼女はちょっと遠慮気味にいった

「・・・」と彼

「そっか。あいかわらずまだしゃべれないんだよね」

言葉を覚えるまで時間はかかりそうだ

「・・・とりあえず街を目指そうよ!そこまでいったら安全だと思うし」
少し間を置いてから彼女はいった

だが奴隷服は街中では目立つ。それでは脱獄した意味がまるで無い

「ふーんふふーん~♪」アーネストは鼻歌を歌っている

彼女には作戦があるらしく結構余裕をみせている

「・・・~ん♪ さ、行こ!こうなったからには一緒に無事に街まで逃げようね」

彼はなりゆきにまかせて彼女についていった
                      第三話 ~完~
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