ヤミ、闇、病み

ヤミ、闇、病み

never ending love song 第2話



僕は湯船につかり、ここ最近の事を思い出していた。

母親から電話がかかってきたのは2週間くらい前、なんでも旅行でしばらく帰れないから一葉を預かって欲しいということだった。

僕としては一葉と暮らす理由が出来るし部屋が余っていない訳でもないので断る理由なんてなかった。

それから一緒に暮らしている訳だけれども一葉は僕が一人暮らしを始める前と何も変わっていなくて安心した。

まぁ見た目は大人になって可愛くなったけど・・・。

母親の話では後2週間くらいは帰って来れないらしい。

一葉を置いて一カ月旅行に出るなんて・・・我が親ながらやってくれるものだ。

一葉を僕に預ける事にしてくれたのは感謝してるけど・・・おかげで前より一葉と過ごす時間が増えたんだからね。

「おっと・・・」

少しのぼせてきたみたいだ。

一葉の事を考えているとつい時間を忘れてしまうな・・・。

少しふらふらしながら僕は浴室を出た。




僕は天気予報を見ながら明日の弁当の仕込みをしておく。

明日は3限目から授業だからゆっくりしていたい。

でも一葉のお弁当は作ってあげたいからこうゆう形になった。

仕込みと言ってもお肉を切って置いたり野菜を茹でたりと簡単なことだ。

一葉のためならこのくらいなんとも思わないんだけどね。

「明日の天気はっと・・・」

そう思いテレビの方を見るとちょうど住んでいるあたりの予報がやっていた。

「晴れ・・・か」

駅からそんなに遠いわけでもないし雨が降っていてもいいのだけれど晴れていればそれだけ気分が良くなる。

何より一葉の顔がよく見えるしね。

「よし、これでいいかな?」

大体の準備は終わったし、後は明日やればいいだろう・・・。

僕は部屋に戻り目覚ましをセットしてから眠りへと着いた。





「ん、ん~・・・」

目覚ましが鳴り響くのが聞こえ、僕は目を覚ました。

せっかく昔の夢を見ていたのに・・・だけどそうも言っていられない。

今の一葉も大事にしなくちゃね。

僕は眠気を我慢しながらキッチンへと向かった。





「おはよう・・・おにいちゃん・・・」

お弁当と朝食を作り終えゆっくり紅茶でも飲もうかと思っていた時に一葉が部屋から出てきた。

どうやらうちの家族は揃って低血圧らしくみんな寝起きが悪い。

その中でも一番悪いのが一葉と言うわけだ。

やっぱりというかなんというか・・・一葉はまだ完全に目覚めてはいないらしくさっきからいろんな所にぶつかっている。

「おはよう、一葉。良く眠れた?」

「まぁまぁ・・・頂きます、ふわぁ・・・」

何とかテーブルにたどり着き一葉はゆっくりと朝食を食べ始めた。

「じゃあお弁当はここに置いておくから、後は一人でできるよね?」

「うん、おやすみ~」

返事を確認して僕は部屋に戻り目覚ましを掛け直してからもう一度眠りについた。





「よう、秋人。今日はいつもより遅いな」

大学の友人でバンドのギターをやっている高野正哉(タカノマサヤ)が話しかけてくる。

「少し寝坊してね・・・気がついたら家を出る時間だった」

そう・・・思いっきり寝過ごしてしまい起きたのは家を出なければならない時間だった。

そこから大急ぎで準備して大学へと向かったら何とか間に合った。

「それは災難だったな。一葉ちゃんの世話で忙しかったか?」

正哉は中学からの親友で一葉にも何度か会っている。

一葉を預かってから一度だけ家に招いているから事情も分かっているというわけだ。

「忙しい・・・っていうわけでもないけどさ・・・」

少し疲れているかもしれない。

「お前の言う忙しいっていうわけでもないは結構忙しいっていう事だからな。流石シスコン、謙遜してくれるぜ」

「そんな事大声で言って恥ずかしくないのかい?」

実際教室内のほとんどがこっちの方を向いていて、女子はいかがわしいものを見るような眼で正哉の事を見ている。

「何でいつも俺がこんな目に会うんだ?」

それはそんな事を大声で言っているから・・・とは流石に言えないので心の中だけにしておく。

「そろそろ教授が来るだろうし、後は授業が終わった後にしようか?バンドの事で話したい事もあるし」

「そうだな、」

正哉がそう言った時にちょうど教授が入ってきて僕らは講義に集中した。

と言っても集中していたのは僕だけで正哉は半分くらい寝ていた。

どうせ僕からノートを見せてもらうつもりなのだろう。

なんだかんだで見せてしまうから僕も甘いのだろう。

友達と言うのは大事にしたいものだ。





「ふわぁああ・・・今日の授業も大変だったなぁ」

大きな欠伸をしながら正哉がそう言った。

講義も終わり、僕らは駅へと向かっている。

大学は大通りに面しているため、人通りは多い。

大学生にとっては帰りに遊びに行くのには困らないのだろう。

僕にはあまり関係ない、強いて言うなら交通の面で便利という所か。

駅からそんなに遠くないし、うちから電車一本で来れる。

「大変だった?寝てただけなのにかい?」

結局正哉はほとんどを寝て過ごした。

「夢の中で大変だったんだよ。全国ツアーだ。凄いだろ?」

「それを現実にしないと意味ないだろ?」

「そうだな、頑張らないとな」

「ああ、そうだ・・・」

授業前に言おうとしていた事を忘れていた。

「次のライブ、ギター演奏してみたいからライブ中にギター貸してくれる?」

そのためにわざわざギターを買って練習しているんだ。

事前に聞いておかないともしもと言う時がある。

「ああいいぞ、と言うかお前はホントファン想いだよな。いちいちファンのリクエストに答えてて疲れないか?」

ファンのリクエストに答えるのはこれが初めてじゃない。

服装だったり喋り方だったりその度に違うけどこれまでも何回かやってきた事だった。

「ファンは大切にしないとね。メジャーデビューしている訳でもないのに何回もライブに来てくれてる人だっているわけだし」

毎回花束を贈ってくれる人だったいる。

何故だか僕一人にあてられたものしかないけれど・・・。

「はいはい、流石は赤染財閥の御曹司の秋人様。我々下々の者とは考え方が違いますな」

「親の話は出して欲しくないものだけどね」

「そうだな、悪かった」

「分かってくれればいいんだ」

両親との思い出なんてほとんどない。顔すら忘れつつある。

僕には一葉がいればいい。ただ・・・それだけで・・・。

「まぁライブ中ぐらいだったら貸してやる。流石に俺も練習があるから普段は貸してやれないが・・・」

「練習用のギターはあるから本番だけ貸してくれれば十分だよ」

「そうか、なら別にいいんだ。それじゃ俺はこっちだから」

「うん、じゃあまた明日」

「おう、また明日」

そう言って正哉は行ってしまった。

正哉はいつも自転車で来ているため駅の近くの所に止めているらしい。

帰りはいつも駅の前で別れている。

さてと・・・

「4時半か・・・」

今から帰ると5時過ぎで帰りにスーパーに寄って夕食の買い出しとかもしていくから帰りは6時前くらいか・・・。

その頃には一葉も帰ってきてるだろうし夕食は7時くらいかな。

大体の目処がついたので僕は満員になっている電車へと入った。















後書き
どうも、孝介です
ということでNELS第二話、いかがだったでしょうか?
正直話が良く練れてなくてグダグダです
ですが一応形にはなったので公開
軽くスランプ・・・っていうか最近全然書いてなかったので
思うように上手く書けません・・・
精進せねば・・・
次回は2月20日を予定しています
その前にバレンタイン記念があるのでもしかしたらお休みになるかも・・・
なるべくはしないようにしたいと思っていますが・・・こればかりはね
ちょっとずつ秋人の過去とかそういうのにも触れていけたらと思っています

ここまで読んでいただきありがとうございました
ではでは・・・
3話後書きでお会いしましょう


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