近接の障害

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★ 近接の障害

ADHD児の中には、成長にしたがい、診断名が「アスペルガー症候群」と変更されたり、「自閉的傾向のADHD」と診断されたという場合があります。これは、障害の連続性のためと思われます。

1. 高機能自閉症

知能指数は正常範囲ですが、行動は自閉症そのものです。自閉症の三つの主要症状(①人に対しての反応が全般的に欠如 ②コミュニケーション手段の発達に障害がある ③周囲への反応が自然でなく奇異である)がみられます。
 通常学級に在籍していますが、良い意味でも悪い意味でも目立った存在となります。自ら人に関わる意欲と関心はあるのですが、関わり方が場面に不適切であるため、絶えず周囲とトラブルを起こしてしまうのです。
 症状の特徴としては、相手の気持ちや都合を気遣うということができないところです。場面の雰囲気を読みとることが苦手なのです。ことばは、ある面では流暢に話しますが、ユーモア、からかい、皮肉、暗喩などの言外の意味の理解が難しいのです。したがって、いじめのターゲットにされやすいと言えます。
 子どもの心や行動を考えるとき、その背景に「高機能自閉症」の存在が疑われる場合があります。多くの場合、このことに家族も教師も気付いていません。そのため、不適切な対応が繰り返され、その結果、思春期になり、より強い行動問題が出てくることが考えられます。したがって「高機能自閉症」の存在を多くの人に知って欲しいと思います。


2. アスペルガー症候群

高機能自閉症の一部だと考えられています。知的な遅れはありません。ことばの発達は普通の子どもたちと同じか、むしろ優秀です。ことばの発達に遅れがない、というところが高機能自閉症との違いです。家族とのコミュニケーションは少なくとも、悪くはありません。家庭ではほとんど目立たないのです。だから、はっきり気付かれるのは、集団生活を始めるようになってからです。
何が問題かというと、共感性に乏しいというところです。相手の気心を察するという共感、これがほとんどありません。人の気持ちが分からないから、相手がいやがることもずけずけ言ってしまいます。したがってトラブルが多くなり、友だちはできにくいようです。孤独でありながら、本人は平然としています。興味あることには精通するなど、頭は良いので、限られた範囲での社会生活は立派に送れます。いわゆる、頭は良いけれどちょっと変わった人、という感じです。


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