バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

アテネの冬の雨と停電!



    「グッド・モーニング!ヒガシワ!!」
 俺の事を何度教えても、”ヒガシワ”としか発音できない。
 もう起きたのか、ショーンの元気のいい声が、朝早くから響いて来る。
    「グッド・モーニング!ヒガシワ!ラジオ、OK?」
 どうやら、俺の持っている高性能の日本製ラジオが目当てらしい。
    「OK!ショーン!お休み!」
 ラジオを手渡すと、また毛布を頭まで被った。

  ドゥ―シュンは、朝早くからベッドを抜け出して、何処かへ出かけているようだ。
  俺 「今日は雨かい?ショーン!」
  ショーン「うむ、雨だ!ベリーコールド!」
 ラジオの周波数を調整しながら答えた。

  小雨だが、昨晩から降り始めた雨が、「今日は寒いぞ!」と言っているようだ。
 観音開きの雨戸が、風の影響だろうか、ガタガタと五月蝿い音を立てている。
  俺 「Do you play golf?ショーン!」
  ショーン「パードゥン?」
  俺 「ゴルフはやらないのかい?」
 ジョークをこめて言うと・・・・・・。
  ショーン「オー!ノー!!ノー・ゴルフ!」
 こんな雨では、やってられないと、洒落で返してきた。
 昨日、ショーンが”明日は、ゴルフをしに行く!”と、自慢げに話していたのを思い出して、ちょっとからかってみたのだ。

                    *

  この部屋で、いつも朝一番に起きるのがドゥ―シュンで、一番遅くまでベッドにいるのが俺。
 今日も一番遅く起き出した。

  風の雨の中、少しばかりの洗濯物を片付けて外に出た。
 外は、全くの冬のヨーロッパ。
 吐く息が白い。
 走り去る車の屋根は白く化粧している。
 信号待ちしている車の屋根を手ですくってみる。

  小雨とは言え、濡れるはずなのに、街を歩く人達の半数は傘をさしていない。
 小走りに歩くとか・・・タクシーを拾うとか・・・・雨宿りをする人は、全くと言って良いほど見かけない。
 皆、濡れるに任せて、悠々と歩いていく。
 風が強くて、傘が飛ばされそうだ。
  俺 「俺ぐらいだな!こんな夏服のまま寒そうに歩いているのは!」
 毛皮の(アフガンで買った)コートでも着てくればよかったと思うが時すでに遅し。
 これからは、手袋にマフラーが必需品となりそうな寒さだ。

  途中、銀行に立ち寄って両替をした後、オモニア広場近くまで出て、アテネ~パリ間のバス・チケットを1700Dr(13600円)で手に入れる事にした。
 その時、ハプニングが起こった。
 なんと、チケットを用意してくれている最中、突然停電に見舞われ辺りは真っ暗。
 昼間だというのに、小雨という今日の天候も災いしたのか、ビルの中は真っ暗になってしまった。
 しかし、従業員は慌てず騒がず、なんと用意の良い事か、なれているという事か、いつもの事よとでも言いたげに、どこからかローソクを取り出してくると、ローソクの明りで事務を続けた。
  俺 「さすがプロ!」

  ここのオフィスは、C・P・Oのすぐ横に位置し、30日火曜日の14:00までに、荷物を持ってくることに決まった。
 金曜日の朝には、パリだ。
 突然、予定を変更したのは、ミラノまでが1500Dr(12000円)で、パリまでが1700Dr(13600円)というチケット料金のせいと言って良い。
 三日間バスの中。
 途中、一晩だけどこかのホテルに泊まると言う、強行日程ではある。

  オモニアからモナスティラキ駅前に出て、昼食を取った後シンタグマ広場に戻り、そのままISHへと急いだ。
 相変わらず寒風吹きすさぶアテネの街ではあるが、それほどひどくて堪らないという雨ではない。



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