バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

バックパッカーの旅Ⅱ(欧州~北アフリカ~欧州~日本)

アフリカ大陸の見えるBarで作家気分



  少々寝坊をしてしまった。
 今日の宿泊代をおばさんのところへ持って行くと、時計はもう十一時を指そうとしているではないか。
 慌てて外に出て、バザーの様子を写真に収めて、少々の食料を買い込んで宿に戻ると、アンドレアが俺の部屋だの廊下の掃除をしている最中だった。

       俺    「おはよう!アンドレア!」
       アンドレア「遅いわね!」

  食料を部屋に置くと、アンドレアの視線から逃れるようにまた外に出た。
 港のカフェに陣取り、港に停泊している船に目をやる。
 今日は素晴らしい青い空と青い海が目の前に広がっている。
 陽射しを浴びていると、まるで初夏を思わせてくれるが、日陰はひんやりとしている。
  (夏服のせいかな?)

  やけに兵士とか、・・・軍人の姿が目に入ってくる。
 昨日、一人の日本人女性を見かけたが、今日は三人の日本人を見かけた。
 アフリカへ行った帰りかも知れない。
 街を歩いているスペイン人を見ていると、想像していたよりもずっと日本人と服装は変わりがないように思える。
 食事はさすがに港町だけあって魚が豊富。

                    *

  若者は街中を歩き回り、Barにたむろして、昼間からビールを楽しんでいる。
 Barの中には、日本ででも見られるような遊具があり、小さい子供から大人までが夢中になって騒いでいるのが見える。
 映画館も数軒あるようで、ポール・ニューマン主演の「ハーパー」とか、チャールズ・ブロンソン主演などのものが上映されていた。

  そういった街中と、この港とはすぐ隣り合わせなのだが、全然違った様相を呈している。
 旅行者用のレストランとか、代理店、ホテルの高層ビルが並び、車もひっきりなしに通って行くが、どことなく面白みがなく、何処の街でも見られる風景がそこにある。

  船はモロッコ、リスボンなどに。
 バスはマラガ、セビリア地方へと走る。
 これに比べて、駅前は静かなものである。
 一日に数本、客を運んできた時間だけ賑わっているが、乗客たちが去って行くと、また静かな駅になってしまう。
 逆にPuertoへは、何処からか人が集まってくる。

  この他、港に沿って住宅とか、ちょっとした公園や官庁などが軒を連ねている。
 郵便局もこうした所にある。
 物乞い、靴磨き、宝くじ売りなどがここにもいる。
 若いスペイン娘はさすがに美人が多い。
 日本人には誰を見ても、美人に見えるのかも知れない。
 しかし、歳をとるとどんな美人でも、太ったおばはんになるのだから困ったもんだ。
 あの若い頃の美しさのかけらも見えないのだから、女とはげに恐ろしきかな。

                *

  午後一時半、バザーの中を通って駅に向かう。
 バザーはもう終了して、店がたたまれている所だった。
 駅へ向かうのは、駅のBarde書き物をするためである。
 駅のBarのコーヒーは15ptで港のより10ptも安いのだ。
 駅のホームが見えるテーブルに座る。
 窓のすぐ近くなので、太陽の陽ざしがまともにあたり、ジッ!としていると汗がにじみ出て来るほどである。

  港で見かけた日本人旅行者二人にまた出会った。
 暫くすると、毛唐を連れた日本人らしき女性が入ってきた。
 可愛い子なのに、何であんなブサイクな毛唐とくっ付いているんだろう。
 嫌に見せ付けてくれるではないか。

  港とは反対の方向に、なだらかな丘陵地が続いている。
 列車は一度入ってきただけで、停車している列車もほとんど動こうとしない。
 駅員の姿もなく、散歩しているのか、地元の人がゆっくりとホームを行ったりきたりしている風景が見える。
 なんとも静かな駅である。
 たまに停車する列車がなければ、ここが駅だという事を忘れさせてくれるほど静かな駅だ。

  青い空とガラスを通ってくる強い陽ざし、Barの中は20人ほどの地元の人たちが騒いでいる。
 なんとも暢気な野郎たちである。
 そして、俺はもっとのんきな人間であるかもしれない。

  駅を出て黒人女性三人に出会う。
 そのうちの二人は、昨日レストランで見たことがある。
 酷く細い足を持った女で、夜の女なのかも知れない。
 顔立ちは黒人特有のすごい顔だが、一人はなかなか整った顔立ちをしているものの、気性は荒々しくぶっきら棒だ。

  女が俺と向き合うようにテーブルについた。
 暫くして、こちらに顔を向けて、ジッと見てくるようなので、俺もジッと見つめていると、ニッコリ笑い2、3度ウインクしてくるではないか。
 それでもおくすることなく、ジッと見ていると”チャイニーズ?”と口を動かした。
 その時はそれで終ったのだが、今日又路上でバッタリであった。
 ニッコリ笑った。

       黒人女性「ユー、チャイニーズ?」
       俺   「NO!チャイニーズ!」
       黒人女性「・・・・・・・?」
       俺   「ジャパニーズ!」
       黒人女性「ホーッ!」

  どっちでもいいけどと言いたげな顔をしてニッコリ笑った。
 そういえば、この海の向こうはもうアフリカなのだ。
 アフリカ大陸がもうすぐそこなのだ。

          ≪宿泊代125pt・タバコ16pt・みかん1kg18pt・パン12pt×2・コーラ22pt・コーヒー15pt≫


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