4.3カ月~


かわいいはずの赤ちゃんだったが、慣れない育児と慣れない主婦生活で毎日がとても長く感じられた。なにより大変だったのは、子供が朝から晩まで泣きつづけることだった。遠くの病院に行ったが、あまり良くなるようには見えなかった。病院では2種類のステロイドを処方された。ひとつを入浴前に塗り、風呂の中で洗い流す。そのあと、湯上り状態でもう一方のステロイド剤を塗る。という処方であった。むしろ悪くなる一方で、赤いというより汁がではじめていた。そしてぐちゃぐちゃになりつつあった。気づくと手で顔を掻き、ほほが血みどろという日が多くなった。特に、夜は一晩中泣きつづけ親子共々寝不足の日が続いた。当初車で1時間ほどかかる病院に通ったが、通いきれず近所の皮膚科を紹介してもらった。近所といっても徒歩+バスで40分の道のりだった。病院でもらった薬を塗ったがなんだかひどくなったような気がした。それで先生に「これを塗ったらひどくなったような気がするのですが・・。」といったら「そういうこともあるでしょう」という返事が戻ってきた。毎日疲れ気味の私はその言葉を聞いてがっくりすると同時にむしょうに腹が立って悲しくなった。こんな病院いやだーー心の中で思った。今思えば、薬を塗ったからどうということではなくそういう時期だったのだと思う。だが冷静さを失っていた私は物事を淡々と理解する心がなかった。その病院の帰り、バス停でバスを待っていると、そこに漢方薬局の店があった。ふらりと入ったその店で、漢方薬をすすめられ、また、アトピーはこうこうこうだよ。と説明され妙に納得してしまった。ただ値段が高めだったために、自分ひとりで判断することはできなかった。これがいいよ。とすすめられたシャンプーもあったのだが、夜主人と相談し、早速漢方薬の方を試してみることにした。子供にとってはいやいやで飲み具合は今ひとつと言う感じだったが 、それを飲みだしてすこし良くなったように見えた。名前は「頭と治いう字がつく漢方薬」であった。

 やがて4ヶ月検診の日がやってきた。子供を診察してもらい、首のすわりが悪いという点を指摘されボーっとして長いすに子供を抱いたまますわっていた。そこに、声をかけられた。
「お子さんアトピーですか?」
「はい。」
「うちの子もそうですよ。」
私の目にはその子がアトピーかどうかよくわからなかった。自分の子供のことで手一杯で他の赤ちゃんの様子など見る余裕がなかった。首のすわりがわるいといわれ、周りをみると確かに他の子はまっすぐ抱かれている。私の子は横抱き抱っこしか無理だった。声をかけてくれたママの子も男の子で首のすわりが悪いと指摘されたようだった。
 私は今までの経緯を話した。「漢方がいいけど、高くてね」といった。漢方のお店は保険がきかないため1週間で6000円の出費だった。お金もないし、とてもはらい続けることのできる金額ではなくとても困っていた。すると、「漢方でも保険のきく病院があるよ。」と教えてくれた。私が車を運転できないということをいうと、いっしょに連れて行ってくれるという。申し訳ないと思いつつ、その言葉に甘えることにした。
 ステロイドを塗る。このことに私はとても抵抗を感じていた。子供が生まれる前偶然みたNHKの特集で「ステロイドの怖さ」についての放送をみたのだ。義兄の子供もアトピーでステロイドを塗っていたので「ステロイドって良くないらしいよ」といった。そのときからステロイド=悪い。というイメージが私の脳にインプットされていたのだ。
 漢方を保険を使って処方してくれるという小児科に行くとかなり多くのアトピーの赤ちゃんが座っている。そのなかで我が子はどうみても一番重症だ。あーあやっぱりひどいんだーー私の子。と心の中で思っていると、それを察したのか、待合室にまっている女の人に声をかけられた。「大丈夫よ。きっとよくなるから。頑張って」と。うれしいのだが余裕のない私にはうわごとのように聞こえた。その数年後にはこちらが「絶対なおるからね。」と声をかけることなるのだがそのときは想像すらできない状態だった。。




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