2011年03月01日
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それでは解説に入りましょう。まず、黄色の部分がブラフマン（本質界）で、青色の部分が現象界（物質界）で、赤の帯が中間地帯（三途の川？）。簡単に言うと、あの世、この世、その中間、ということでしょうか。黄色のブラフマンは特殊な世界で我々世俗にいる人間には理解ができないと考えた方が正解だと思います。なにしろ一つの世界であるというのが超難解です。一つということは複数がないということですから、男も女も、親も子も、友人も、親戚も誰もいなくて一人であるということです。又、一つであることは違いがないことですから、美しい汚い、楽しい苦しい等の比較対象になるものがありません。美しいものしかない、楽しいものしかない。つまりその反対のものがないということです。これは我々の常識を超えています。我々は相対の世界にいますがブラフマンは絶対の世界だということです。空海はブラフマンのことを大日如来と呼んでいますが、このことを完全に理解することは不可能と考えた方がよいでしょう。実体として存在しているのはこの黄色のブラフマンだけで他は全て幻想であるというのがインド哲学の中心になっています。青色の世界が我々の物質の世界です。これが幻想だとしているのです。赤い帯の中にある小さい○がアートマンです。これは黄色のブラフマンからはじき出されたブラフマンの分身です。少し色がブラフマンと違っています。この段階では複数になっていますからブラフマンの世界ではありませんが物質の世界というわけでもありません。「アートマンとブラフマンは同一のものである」という意味は、これで納得です。「汝はそれである」というのは「汝は私自身である」という意味で、これも納得です。又、「梵我一如」も同じ意味です。アートマンは仏教に伝わって漢訳されてから自我となり魂となりました。このはじき出されたアートマンはこのままでは物質の世界に旅立つことができません。乗る船が必要になります。これが五蘊(緑色の部分）です。五蘊とは「色受想行識」のことで仏教の言葉です。釈尊は五蘊という言葉は使っていましたが「色受想行識」という言葉ではなく「もの、感受、想念、因果的存在、心」という言葉を使っていました。「色受想行識」は漢訳になってから出てきた言葉です。五蘊とは簡単にいうと体（船）と体の意識（センサー）のことです。この船に乗って物質の世界に旅立つことがこの世に誕生することです。人間はこの五蘊とアートマンが一緒になっているわけです。五蘊は青色の世界のものですから幻想です。いずれ朽ち果ててしまうものです。般若心経に出てくる「色即是空」の「色」はこの五蘊「色受想行識」の中の色のことです。「五蘊皆空」という言葉も般若心経に出てきますが「色」も「受想行識」も空であることを言っているのです。この図を見れば青色の世界にあるものは全て、空であり無常であり幻想でありますから五蘊が空であることを視覚的に理解できると思います。さてアートマンはいつまでも五蘊に乗っているわけにはいきません。五蘊は泥舟ですから沈む前に岩壁（赤い帯の世界）に接岸して降りなければいけません。五蘊は海の底に沈んで消えてしまいます。ああ無常ですね。降りたアートマンは殆どの場合ブラフマンに戻らず別の五蘊に乗って又物質の世界に旅立ちます。これが輪廻転生です。何度も輪廻転生を繰り返していると自分の色が段々黄色になってきます。つまりブラフマンの色に近づいてくるのです。完全な黄色になると旅には出ないでブラフマンの中に入ります。そしてブラフマンと一つになります。これが涅槃です。「無我」の意味は前回のブログでも触れましたが五蘊の中にはアートマン（自我）はいないということを言っています。これは図でみると一目瞭然です。体の意識を自我であると勘違いしてはならないと言っているのです。そのことを悟ることが無我の境地ということになるのでしょう。
ここまで大急ぎで説明してきましたが、肝心なことを説明していませんでした。なぜアートマンははじき出されたのか？という問題です。ブラフマンの中にいたら居心地がいいはずです。と思いきや、そうでもないらしく皆さん出たがっているようなのです。その心は次回をお楽しみにしてください。
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Re:自分勝手な宇宙論、されど捨てがたき宇宙論(03/01)
小鳥遊 さん
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渡り鳥8029
７０歳を過ぎてもヨットへの情熱は衰えていません。全農を定年退職した後に日本一周航海をしましたが、その後、本州一周、四国一周等、長距離航海を続けています。これからは航海の様子、人生哲学、宗教哲学などを「つれづれなるまま」に書いていくつもりです。よろしくおつき合い願います。 ヨットの回航も受け賜ります。要望のある方はご連絡ください。 私の拙著は以下のとおりです。よろしかったら見て下さい。
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