「仕事」を語る



 転職相談ができるぐらいの関係を得意先と築こう。

 得意先に気に入られるためには、気に入られようとしているうちはダメです。
 その得意先の人間になりきることです。得意先の社員になりきれば、気に入ら
 れようなどとは、もはやしないはずです。私は博報堂時代、ある人材サービス
 会社の仕事をしていました。私は得意先に利益を出すにはどうしたらいいか、
 その会社の立場で考えました。自分の所属する会社の取引先として見ていると、
 取引先には気に入ってもらえません。博報堂を儲けさせようとして取引先とつ
 き合っていたのでは、取引先の人は決して喜ばないのです。

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 取引先を儲けさせるためにはどうしたらいいか、出向と同じ感覚で仕事するの
 です。中には、出向しているのに、もとの会社の利益ばかり考えている人もい
 ます。それはまったくの間違いです。「会社を辞めようと思うんだ」と言った
 ら、「うちに来ない?」と言われるぐらいの仕事をすることです。そうでなけ
 れば、スパイと同じです。スパイは、相手国の利益のために働いていると信じ
 てもらって初めて、本国にも有益な情報が得られるのです。明らかに本国のた
 めに働いていることがバレたら、スパイとしてつかまります。得意先に気に入
 られることが、結果的に自分の会社の利益につながるのです。あなたの会社に
 損を出すということではないのです。いかに得意先に利益をもたらせるかを考
 えていくことが、結果として自分の会社の利益にもつながるというスタンスに
 立つのです。これが取引先とつき合うことであり、得意先に気に入られるとい
 うことです。

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 自分の会社の主張ばかりするのは、取引ではありません。得意先から難しいオ
 ーダーを出された時、普通なら断るようなことでも、「なんとか会社とかけ合
 ってみます」と言うのが営業の仕事です。相手方の相談にも、親身にのってあ
 げるのです。あなたは、あなたの属する会社の代理人としてではなく、取引会
 社の代理人になるのです。

 ある取引先を担当したら、私はその会社の代理人として博報堂と交渉したりノ
 ウハウを提供するように考えました。会社を辞めようと決心する時にも、取引
 先の人に身の上相談ができるぐらい仲よくなっておくことです。得意先は、接
 待する相手ということだけではないのです。得意先に就職するということでは
 ありません。別の会社に就職する時でも、あなたの一生の問題にかかわるよう
 な相談にものってもらえるような親しい関係の人が、得意先にいることが大切
 なのです。それが気に入られるということです。

 【明日のためのツカエル語録/その14】
 得意先に、スカウトされるくらいになろう。


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 □□ ■ツカエル人間術 「コミュニケーションの達人になる」
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    自分の仕事をバカにする同僚

 相手を見下した言葉を口にしながら自分の立場を自慢する。なんとも稚拙な行
 動です。未熟な人間ほど、こちらが動揺している様子を見せれば、何回も繰り
 返して言ってくる可能性があります。もし、同僚があなたにこのようなことを
 言ったとしたら、胸を張って相手の目をしっかりと見据えて、「ほかに何か用
 事があるのか」と、堂々と言わなければなりません。私の知人は「君も暇だね
 え」と、言葉を付け加えて追い返していました。

 会社にとって、どの部署もかけがえのないもの。もし、1つの部署をさげすん
 だとしたら、会社そのものをさげすんだことになるのです。「そんな人間は許
 さないぞ」という気概が必要です。居酒屋に飲みに行ったときに言われたとし
 ても、この考えは貫かねばなりません。事と次第によっては、決然と席を立っ
 て帰るという手もあります。ただし、これは1対1の場合だけにしてくださいね。
 上司やほかのメンバーが同席しているときは、感情的だとか怒りっぽいとか、
 あなたが批判されかねないからです。



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