~12~






  確か、前に歩道橋より向こう側だって言ってた。
  まいちゃんの部屋。・・・ぜんぜん知らない。

  電話しか頼りにならない・・・。 でも通じない。

  とりあえず、歩道橋の下でタクシーを降りた。


  このあいだは、ケータイを忘れてここに来たっけ・・・。

  偶然会えたから良かったけど、もうあんなことはないだろうな・・・。

  怒ってるカンジじゃなかった。 いつもの優しい声だった。
  少しゲンキはなかったけど・・・。

  どうしていいかわからないまま、歩くしかなかった。




  最初の角を曲がると、ギャラリーがある。
  すべては、あの場所から始まったんだ。
  いつもどおりに撮影だけが進むはずだった。

  でも、あの日はひとりでガラスのドアを開けて外に出たんだ。
  彼女がいた、公園に向かって・・・。

  あの時とは違って、エントランスにはイルミネーションが輝いていた。
  クリスマスにはまだ遠いけど、もう冬が近いんだと思わせる。


  気がついたら公園に来ていた。

  行くあてもないけど、立ち止まりたくもなかった。
  少し期待してたのかもしれない。
  またあの場所で会えるんじゃないかって・・・。

  足が速くなる。

  いつの間にか走り出していた。


  あのベンチが見えてきた・・・。



  でも・・・、誰もいなかった。

  あたりを見回す。

  人の気配さえもなかった。

  こんなに寂しいところだったのかな・・・。

  彼女に初めて会った日も、流れ星を見た夜も、
  賑やかとはいかないまでも、こんなに静かじゃなかった気がする。

  冷たい空気に、鼻の奥がツンとした。
  息を切らした自分の呼吸以外、何も聞こえてこない。


  彼女の優しい声も・・・。






  何度も振り返りながら公園を後にして、また元来た道を戻っていた。

  立ち止まって見上げたプラネタリウム。
  オフィスの窓も真っ暗だった。

  朝までここで待ってたら会えるかな・・・。
  そんなことをちょっとでも考えた自分がおかしくて、少し笑えた。


  ネガティブな流れを断ち切ろうと、またケータイを開いてみる。
  そのとき、チャイムが鳴った・・・!

  彼女からだ・・・!

  息を詰めてボタンを押し続けた。

   “今日は本当にごめんなさい。
    また明日連絡します。
    お仕事がんばってね。“

  イベントの後も仕事があるって言ってたから・・・。

  返信のメールを打つのももどかしくて、すぐに電話する。
  呼び出し音が鳴った・・・!!
  やっと話せる・・・。 思わず大きなため息をついた。


   「はい・・・。」

  彼女の声だ・・・。 全身のチカラが抜けていくような感じがした。

   「まいちゃん!」
   「・・・さっきは、ごめんね・・・。」
   「どうしたんだよ! ずっと電話してたのに・・・!」
   「ごめんなさい・・・。」

   「今どこ!?」
   「・・・そと・・・。」

   「どこだよっ!!」

  どうしても繋ぎとめておきたくて、つい怒鳴ってしまった・・・。
  彼女からの返事が途切れる。

  慌てて何か言おうとしたその時、
  救急車のサイレンが、ステレオで近づいてきた。

  どこから・・・?

  駅のほうから・・・。

  ケータイの中から・・・!


  思わずケータイを耳から離して、慌ててあたりを見回す。
  近くにいる・・・!?

  救急車がすぐ横を通り過ぎた。
  じっとしていられなくて、早足で彼女を捜す。

  歩道の先、通りの向こう・・・そして、彼女を見つけた。

  大通りの向こう側、歩道橋の階段の途中で立ち止まって、
  こっちを見ている・・・。
  そして、ゆっくりケータイを閉じて、階段を上って行った・・・。


  やっと会えた・・・。

  膝のチカラが抜けて座り込みそうになるのを必死で立て直して、
  同時にずっと堪えていたものがこみ上げてきて、
  いつの間にか走り出していた。

  2段飛ばしで階段を駆け上がる。

  上りきると、途中まで歩いていた彼女が立ち止まった。

   「なんで帰るんだよっ!!」

  いきなり叫んでしまった。

  そのまま動かない彼女の元に駆け寄って、抱きしめたかった。

  彼女が視線を落とすまでは・・・。



  なんで・・・?

  なんで目をそらすんだよ・・・。


  信じられなくて、心のなかで問いかけながら、
  ゆっくり、一歩ずつ歩み寄って行った。



  ・・・近づけなかった。

  もう手を伸ばせば届きそうな距離。
  でも、最後のあと一歩が進めなかった。

   「どうしたの・・・。 
    なんか、オレ・・・、悪いことした?」

  顔を上げて、寂しそうな目で微笑みながら首を横に振る。

   「じゃあ、なんで・・・。」
   「・・・・・・。」

   「なんだよ・・・。なんかあったんだろ? 
    そんなのバカでもわかるよ・・・。
    いつものまいちゃんじゃない・・・。」

  怒る気なんかなかった。 
  ホントの気持ちが聞きたいだけだった。

   「なんで帰ったの・・・。」
   「・・・・・。」

   「わかんないよ。 黙ってたら・・・。」
   「・・・疲れちゃって・・・。」
   「つかれる~!?」
   「あっ、相葉くんじゃなくって・・・。
    あんな場所、初めてだったから・・・。」
   「あ・・・・・。」

  彼女の言葉に初めて気づいた。 


  確かに・・。

  まいちゃんの日常とはかけ離れた場所だった。
  コンサートには行ったことがあっても、
  あーいう雰囲気のヤツじゃないらしいし・・・。

   「あんなにたくさんの人が、相葉くんの名前呼んでて・・・。」
   「・・・・・。」

   「・・・よくわかってたつもりだったんだけど・・・、
    ほんとは、なんにもわかってなかったのかも・・・。」
   「まいちゃん・・・。」

   「いつもと同じ相葉くんなのにね・・・。
    自分でもわからないよ。 なんでかな・・・。」

  いつも、優しいオトナの笑顔だったまいちゃんが、
  ちいさな子供みたいに不安な気持ちでいるのがわかった。

  ずっと何も知らなかったのに、突然いろんなことを聞かされて・・・。
  それでも少しずつ理解しようとしてくれてた彼女を、
  会いたい気持ちだけでいきなりあんな場所に呼んでしまった・・・。

  ついこのあいだ誓ったのに。 守るって・・・。

  それは目に見えるいろんなことからだけじゃない。
  寂しい思いや、不安な気持ちにさせないことも、守るってことなんだ・・・。
  それなのに・・・。


  でも、これだけは伝えたい。

  今、ここに居るのは、嵐の相葉じゃないんだよ・・・。


   「まいちゃん・・・、見てよ。・・・・・こっち見ろよ・・・。」

  ゆっくり顔を上げた彼女を、しっかり受け止めたいと思った。

   「オレはさ・・・、早くまいちゃんに会いたかったんだ。
    でも・・・、今日みたいなカンジだったら、
    会えたことになんないんだよな。
    そんなことにも気が付かないでさ・・・。」

   「・・・相葉くんは悪くないよ・・・。 
    私が勝手なことして・・・。
    嫌な思いさせて、ごめんなさい・・・。」
   「謝んなよ・・・。 もっと言いたいこと言えばいいよ。 
    なんでも・・。」

  ココロの中を覗き込めないぶん、少しでも、ほんの少しでも
  不安があるのなら言ってほしい・・・。

   「なんでもさ、言って欲しいんだよ・・・。
    オレ、全部しっかり聞くから・・・。
    じゃないときっとうまくいかないよ、これから・・・。
    なかなか会えないんだからさ・・・。」

  彼女が初めて見せた不安げな表情に、強く見つめ返した。
  ここが正念場・・・、さっき誰かが言ってた。

  昔はムリだったけど、今は受け止められる。
  このひとの気持ちを全部受け止められる。 
  そう自分に言い聞かせた。

  ずっと不安そうな目でいた彼女が、
  少し柔らかな表情になってゆっくりうなずいた。

  自分の緊張を悟られないように、
  できるだけ優しい表情で聞こうと思った。
  ホントはこわばった不自然な顔だったのかもしれないけど・・・。

   「・・・なんだか、あの雰囲気に圧倒されちゃって・・・。
    自分がそこにいるのが、場違いな気がして・・・。」
   「・・・・・。」
   「・・・いろんなことで頭がいっぱいになって・・・。
    そんな気持ちで・・・、
    相葉くんと普通に話したり、できそうになかったから・・・。」
   「・・・・・うん・・・。」

  すぐに返す言葉がなかった。

   「ヘンだよね。 わけわかんないよね。」
   「ヘンじゃない。 
    わかるよ、まいちゃんが帰りたくなった気持ち。」
   「・・・・・。」
   「初めてだったら誰だってびっくりするよな~・・・。」
   「・・・・・。」

   「それにさ、こんなヤツがかっこつけて歌ってるしさぁ~・・・。
    ほら、オレがカラオケに行くってのも想像できなかったんだろ?」
   「・・・そんなこと言ってたね・・・。」
   「おまけに思っきし踊るしさ~・・・。」

   「・・・くらくらしちゃった~・・・。」
   「え~~っ!? なんで!? ショックで!?」

  笑って首を横に振った。 少しずついつものカンジに戻ってくのがわかる。

   「捜すのがたいへんで・・・。」
   「え~っ? そうかなぁ~・・・!」

   「・・・かっこよくって・・・。」
   「へへっ。」

  ふたりで静かに笑いながら、やっとこっちも気持ちが落ち着いてきた。
  もうだいじょうぶかな・・・。


   「オレはさ、とにかくまいちゃんに会いたかったんだ・・・。
    だから、来てくれてめちゃくちゃ嬉しかったんだ。 
    今度またいつ会えるかわかんないし・・・。」
   「私も、今日はホントに楽しみにして行ったんだよ・・・。」
   「・・・うん・・・そっか・・・。」

   「だって、会えなくっても平気だって思ってたけど、違ったから・・・。」
   「うん・・・。 だから言ったろ? オレは平気じゃないって・・・!」

  笑ってうなずく・・・。

   「・・・ヤキモチやいたのかも・・・。」
   「えっ?」
   「相葉くんがあんなにたくさんの女の子にモテモテで・・・。」
   「え~っ!? うっそ! まいちゃんが!?
    なんだよ~~!! そーいうこと!? え~~!?」
   「あ、本気にしてる~・・・。」
   「え~~っ!? ちょっとなんだよそれ~!!
    またオレバカみたいじゃん! ・・・バカだけどさ~・・・!」

  ふたりで笑いあった。 もう不安なものは消えていた。

   「・・・本気に、していいよ・・・。」
   「・・・まいちゃん・・・。」

   「だって、相葉くんといるときって、
    いつもこんなカンジだったからね・・・。」
   「こんなカンジ・・・? オレは好きだよ・・・。」
   「私も・・・。 
    みんなの前で歌って踊ってる相葉くんも好きだよ。」
   「え~・・・? ホント? すっげーハデなカッコでも?」
   「・・・ハデなカッコ・・・?」
   「うん、今日は私服っぽかったけどさぁ~、
    コンサートだったら・・・、羽飾りが付いてたり、
    スパンコールがギラギラしてたり、
    ショッキングピンクだったり・・・スケてたりとか・・・。」
   「・・・う・・ん。 だいじょうぶ・・・。 見慣れれば・・・。」
   「あはは~・・・。 いいよ、ゆっくりでさ・・・。」
   「・・・うん・・・、ごめんね~・・・。」

  ついさっきまですごい焦ってたのが嘘みたいに、
  穏やかなきもちになっていた。

   「ホントにさ・・・、会えてよかったよ・・・。」
   「・・・ありがとう・・・。」
   「えっ?」

   「来てくれて・・・。 会いに来てくれて・・・。」
   「あたりまえだろ・・・。」

  仕事がキャンセルになったってことは、あえて言う必要ないっか・・・。

  公園でコクった時も、今日も、宛てもなく彼女を捜した。
  フツーは会えないんだろうけど、偶然彼女を見つけることができた。

  奇跡だと思ったけど、ホントは奇跡なんかじゃない。
  あの時公園で会えなかったとしても、今日ここでまだ会えなくても、
  ゼッタイ彼女を見つけてた。 時間はかかるだろうけど必ず・・・。

  だからきっと奇跡じゃないんだ。
  彼女のいつもの優しい笑顔を目の前にして、そう思った。


   「帰り道ね、ずっと考えてたんだよ。
    なんで帰って来ちゃったんだろうって・・・。
    会いたくて行ったのにね・・・。」
   「・・・・・。」

  言葉にならない想いに、胸の奥が熱く痛む。

  彼女の素直な気持ちに応えたいのに、
  何も言えずに・・・。


  最後のもう一歩、やっと彼女に近づいて、その手を取った。
  今日もまた、冷たい手をしていた。
  暖めるより先に、背中に手を回して抱き寄せる。
  スローモーションのようにゆっくり倒れてきた彼女を包み込んで・・・。

  このあいだ、勢いで抱きしめた時とは違う、
  静かな穏やかな気持ちで・・・。

  今、キツク抱きしめることには、何の意味もないんだって思った。
  チカラを込めなくても、大切な気持ちは伝わるって。

  そのことに気付かせてくれたひとに、やっと出会えた・・・。




  そして、腕の中にいる彼女のことを想う・・・。

  今日のあの場所で、不安な気持ちを隠して遠くで微笑んでいたよね。

  ふたりでいる時にだけ流れていた穏やかな時間。

  南の島で聞いた、優しく呼びかける声。

  初めて見た流れ星と、きっと傷つけたはずなのに変わらなかった笑顔。

  ついさっきまでは冷たかった彼女の手の温もりを、
  背中に感じながら・・・。




  嵐を応援してくれる人たち。
  ゲンキをくれるみんなの笑顔、歓声。
  全部大切なもの。

  でも今は、このひとだけが自分のすべてなんだ・・・。


  彼女の髪は、甘い花の香りがした。
  頬を寄せるとひんやりと冷たくて、
  ここまでひとりで帰ってきた彼女の寂しさに触れたようだった。

  胸の鼓動がどんどん大きくなって、指の先まで脈打つように聞こえた。

  暗闇の中、赤いテールランプだけが目の下にかすかに揺れている・・・。

  いつしか、ためらいながらもお互いに探し求めていた。

  その温かさだけを頼りに・・・。

  そして、やっとたどりついた・・・・・。







  車のクラクションに、ふと目が覚めたような気がした。
  どのくらい、そうしていたのかわからなかった。

  腕の中の彼女の様子を伺うと、ただじっと目を閉じていた。

   「・・・まい?」

  喉がカラカラで、声にならない息だけが漏れた。
  聞こえなかったのか、そのまま動かない。

   「・・・どうした?」

  少しして、柔らかな唇だけが動く。

   「・・・胸の音、聴いてた・・・。」
   「寝たのかと思ったよ~・・・。」

  顔を上げて少し微笑んで、

   「うん、眠たいよ、気持ちよくって・・・。」
   「えっ? な、なにが?」
   「・・・こうやって聴いてると・・・。」
   「あ・・・、そーいうことか~・・・。」
   「ホントに寝ちゃいそう・・。」

  彼女が小さく深呼吸する感覚が伝わってくる。
  その柔らかな感触に、急にまたドキドキしてきた・・・。
  それをごまかしたくて、また思わずふざけたことを言ってしまう。

   「ヘぇ~、そーなんだ~。 オレにも聞かせてよっ!」

  その瞬間、突然彼女の身体が離れて、腕がほどける。
  首を小さく横に振りながら、軽く睨みつけられた。

   「えぇ~~~っ!? なんでーーっ!!」

  吹き出した彼女とふたりで笑いあって、
  並んで手すりにもたれて車の流れを見下ろした。

   「今日はごめんね・・・。」
   「オレも・・・、ごめん。
    まいのこと守るって言ったのにさ・・・。」
   「私だって約束したのにね・・・。」

   「でもさ、実はすっげーアセッたよ~・・・!」
   「そうだよね・・・。」

   「いーじゃん、たまにはさ・・・。」
   「えっ?」
   「まい、かわいかったもん。 子どもみたいで。」
   「それって・・・びみょ~・・・。」

  不機嫌そうに顔を覗き込まれた。

   「え~? 怒ることないだろ~!?」
   「・・・怒ってないです・・・。」

  そう言って、柔らかに微笑んだ彼女とどちらからともなく近づいた。
  軽く唇が触れ合っただけで、微笑んだまま離れる。

   「え~~!?ちょっと待ってよっ!! もういっかい!」 
   「・・・もうダメ~。」
   「またかよ~・・・!」

  ついさっきまで、アセッたり
  不安な気持ちにつぶされそうになってたのが
  夢だったかのように
  彼女との時間に浸ってる自分がいた。

  ステージの上でライトを浴びて
  歓声に包まれてはしゃいでたのが、
  何時間もたってないのに、遠い昔のことのように感じる。

  でも、彼女がいるからこれからもっと頑張れる。
  また彼女の元に戻って来られるから・・・。


  会えてよかったよ・・・。

  今日のことだけじゃなくって、
  あの日、偶然、めぐりあえてよかったよ・・・。


  夜空を見上げると、大通りの明るさに星はほとんど見えなかった。

  でもいいんだ。 

  あの日、きれいな星空だったから・・・。


   「オレ、もっとがんばるよ。」
   「えっ?」
   「なんか、うん、なんでもやれる気がしてきた! 
    仕事も、もっとがんばる。」
   「・・・うん。 ステキなお仕事だもんね・・・。」
   「えっ? そう?」
   「うん。 誰にもできない、相葉くんじゃなきゃできないお仕事だもんね。
    なんて言ったらいいかわかんないけど・・・。
    みんなを元気にするよね・・・。」
   「まいちゃん~・・・。」

   「もっと見たいな。 相葉くんのお仕事。」
   「え~、ホント? コンサートなんかもっとすごいからなぁ~・・・。」
   「じゃあ私も大声で叫ぶよ、あいばちゃ~~~ん!って!」
   「あははっ! ・・・できないくせに~。」  
   「・・・う~ん・・・。」
   「いいって! 叫ばなくてもわかるから! まいがどこにいても!」
   「・・・うん。」

   「それよりさぁ~・・・相葉くんって呼び方、距離感じない?」
   「えっ? そう? 
    そういえば、さっきから“まい”って呼ばれてる・・・。」
   「いーじゃん、もう距離ないんだし!」

   「相葉くんって呼び方、好きなんだけどなぁ~・・・。」
   「じゃあ、・・・昼はあいばくん、夜はまさきで!!」
   「バカ・・・!」

  笑いながら、思いっきり肩を押されてカッコわるくよろけてしまった。

   「いってーっ! なにすんだよーっ!!」

  ふざけて助走をつけて、肩で彼女を押し返した。

  お互いに何度かやり返しながら悪ふざけしてると、人の気配がした。
  あわててふたりで手すりにしがみついて車道を見下ろす。
  通り過ぎた後姿を見ると、手をつないだカップルだった。
  小さく笑う声が聞こえる。

   「バカップルかよ、俺ら・・・。」
   「そう見えてるよ、きっと・・・。」

  同時に吹き出して、しばらく大笑いした。


   「あー、腹へった~!!」

  笑いすぎてなみだ目のまま叫んだ。

   「ほんと、忘れてた・・・!」
   「こないだの店、開いてるかな~。」  
   「・・・うん、まだ大丈夫だよ。」 
   「よしっ! そこ行こうっ!」

   「相葉くんっ!!」
   「えっ!? どーしたの!」

  振り返ると、不安そうな顔のまいちゃんがいた。

   「お仕事は・・・・?」

  思いっきり笑顔で答えた。

   「今日はぜーーんぶ終わりっ! 
    朝までフリータイムだぜーっ!!」
   「・・・そこまでは聞いてないよ~・・・。」

  呆れ顔で笑う彼女の手をとった。


  ついさっき、どうしようもなく不安な気持ちで駆け上がった階段を、
  ふたりで手をつないで降りていく。


  すぐ隣に、何よりも大切なひとの笑顔がある・・・。

  こうやってそばにいる時も、遠く離れていても、
  どんなときでも、この笑顔をゼッタイに守っていきたい。

  今まで誰に出会っても感じたことのなかった、
  何か大きな、あったかい気持ちで胸がいっぱいになった。



  これからどんなことがあっても乗り越えて行ける・・・。

  今日のこの気持ちを、忘れないでいよう・・・。  


つづく    14,Feb.2006



   ≪今回特別にひとこと・・・(言い訳)≫

    「アホなほど思いっきりのラブストーリーに挑戦したい!」
    っと宣言したからには、避けて通れない場面だと覚悟し、
    あま~い妄想♪どころか頭掻きむしり、唸りながら、
    羞恥心との格闘技のように取り組みました~。

    くっそ~~、これでもか~!って並べ立てたつもりですが、中途ハンパ?
    でも限界です・・・。 すっごい疲れた~・・・(笑)
    ○○ちゃ~ん、どうかこのくらいでカンベンしてください~(T_T)

    UP予定の直前にぐるナイの予告を見てしまい、一旦挫折・・・(爆)
    イメージはちょっとキレイめの、たとえば『Lai-Lai-Lai』の
    前髪長め(こだわり過ぎ?)な頃の彼だったので~・・・(>_<)

    今回かな~~り消耗したので・・・(^_^;)
    もう、あとはあっさりと、最終話に向けて粛々?と進めてまいります・・・。







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